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締め方がわからない!骨盤底筋トレーニングを正しくマスターして、尿もれ改善【専門家が解説】

2023.10.27

骨盤底筋トレーナー・北條裕紀恵さん
(骨盤底筋トレーニング【YUI】代表)

40代以上女性の約2人に1人は尿もれを経験という現状。その一方で、最大の対策と言える骨盤底筋トレーニングを行っているのは約1割のみ。「やり方がよくわからない」「骨盤底筋の締め方を実感できない」のが習慣化できない主な理由のようです。そこで、切実な尿もれのお悩みを抱えた女性たちを数多く指導されている骨盤底筋トレーナーに、その秘訣を伝授してもらいました。

*40~70代女性 1,370人(2021年5月 花王調べ)

そもそも「骨盤底筋」って、どこ?

私のサロンには、「尿もれ症状があるけど、自分だけでは骨盤底筋をうまく鍛えられない」といったお悩みを抱えた相談者が全国各地から多く訪れます。年齢は、30代~50代が8割近く。骨盤底筋トレーニングの必要性が身に染みてわかっているのに、うまくできない女性は多いのです。その理由は、骨盤底筋は見えない・動きが実感しづらい筋肉だから。骨盤底筋は体の深部にあるインナーマッスルなので、直接見ることはできません。

また、腕や脚と違って関節がないので感じにくく、正しく動いているかどうかがわかりづらいことも。まず、骨盤底筋とはどこにある筋肉なのか、を理解することから始めましょう。

骨盤底筋ってどこにあるの?

骨盤底筋群はハンモック状で、膀胱、直腸、子宮といった臓器を下から支えている筋肉の集合体。また、尿道、肛門の周囲にあり、排泄をコントロールする筋肉でもあります。骨盤底筋がゆるむと臓器が下がりやすくなり、尿道もグラグラしやすくなります。

骨盤底筋群が健康な場合は、腹圧がかかり膀胱内圧がかかっても、骨盤底筋群が収縮することで尿もれしません。骨盤底筋群がゆるんでいる場合は、腹圧がかかり膀胱内圧がかかると、骨盤底筋群が収縮するものの締める力が弱く、尿もれしてしまいます。

その骨盤底筋トレーニング、間違っていない?

頻尿・尿もれ改善のために必須なのが、ゆるんだ骨盤底筋を鍛えて整える骨盤底筋トレーニング。婦人科や女性泌尿器科などで指導されることも多いでしょう。しかし、頑張ってやっているのに、なかなか効果が現れない人も少なくありません。そんな方々の動きを確認してみると、間違ったやり方をしているケースが多々あります。

この骨盤底筋を意識しながら動かすことがポイントです。

例えば、骨盤底筋がまったく動いていない、余計な力を加えて骨盤底筋が間違った動きをしているなど。骨盤底筋トレーニングを実践している女性でも、骨盤底筋を正しく動かせていない人は一定数いるようです。

骨盤底筋トレーニングよくある間違い

  • 動かしているつもりでも、骨盤底筋がまったく動いていない 効果ゼロ
  • アウターの筋肉(表層筋)も動かしているせいで、骨盤底筋の動きが悪い 効果半減
  • いきむような力を入れ、骨盤底筋に間違った負荷をかけている 逆効果

 
正しく動かせていると、膀胱は引きあがる

サロンではエコーを活用して、実際に骨盤底筋を動かせているのか確認してもらいます。超音波画像で見ると、骨盤底筋を正しく動かせているかどうかが、一目瞭然です。
(※エコーによる診断は行っておりません。)

骨盤底筋を正しく動かせているときは、骨盤底筋が上がるので、境界にある膀胱の底も上がります。逆に骨盤底筋が下がる(膀胱の底が下がる)ときは、間違った動かし方をしているということ。

【通常時】○骨盤底筋を正しく 動かせている状態 膀胱の底が引きあがる ×骨盤底筋を間違って 動かしている状態 膀胱の底が下がる

※テルモポータサウンドで撮影

骨盤底筋を動かすコツは、呼吸にあり!

「骨盤底筋を鍛える」と言うと、筋トレのようにガンガン動かして締めることだけに集中しがちですが、それは大きな誤解です。骨盤底筋トレーニングが目指すのは、骨盤底筋を正しく柔軟に動かせる筋肉づくり。そのためには、骨盤底筋は締めるだけでなく、ゆるめることも大切です。

上手に「締めて」「ゆるめる」ためには、呼吸に合わせて骨盤底筋を動かすことがポイントです。なぜなら、体幹の深部にある横隔膜と骨盤底筋は連動して働く筋肉だからです。
息を吐いたときに横隔膜は上がり、それと共に骨盤底筋も引き上げられます(締まる)。そして、吸うときに横隔膜が下がり、骨盤底筋はゆるみます。「吐いて締める・吸ってゆるめる」と覚えましょう。

呼吸に合わせて、骨盤底筋を動かそう!トレーニング時の呼吸は、 静かなゆったりとした呼吸で。 腹部に強い力が入らないよう に注意しましょう。

骨盤底筋トレーニング最大のコツは、静かな、ゆったりとした呼吸で行うこと。腹部が極端に膨らんだり、へこむのはNG!

鍛えるべき骨盤底筋は「遅筋」「速筋」の2つ!

骨盤底筋には、持続的な収縮を支える「遅筋(ちきん)」と、瞬発的な収縮を支える「速筋(そっきん)」の2種類があります。遅筋は尿道・腟・肛門を締め続ける持続的な働きをし、速筋は咳やくしゃみなど腹圧がかかった拍子に尿がもれないように瞬間的に締める役割を担っています。この遅筋と速筋の両方を鍛えることが、頻尿・尿もれの改善につながります。

遅筋を鍛えるには、呼吸に合わせて骨盤底筋をゆっくり、「じわ~っ」と長く動かす運動を。速筋を鍛えるには、肛門を軽くリズミカルに、「キュッ、キュッ」と収縮させる運動を行います。

動作① 「遅筋」を鍛える

「じわ~っ」と長く動かす(締める)!

呼吸と連動させて、骨盤底筋が「じわ~っ」と引き上げられる(締まる)のを意識しながら行います。
息を吐きながら骨盤底筋を引き上げ(締め)、息を吸いながら骨盤底筋をゆるめましょう。このとき注意したいのが、いきむような力(腹部に力を入れてふんばる)を入れないこと。いきむと骨盤底筋が下に押し出される動きになり、逆効果です。

正しく動かせているか、確認しよう

指4本を、尾骨と坐骨を結んだ線の中央あたり(肛門の脇)の奥にぐっと差し込んで。そこが骨盤底筋の「遅筋」が多く存在する部分。骨盤底筋をうまく動かせていると、指に動きを感じます。

実際に自分の手で「遅筋」の動きを感じてみましょう。

動作② 「速筋」を鍛える

「キュッ、キュッ」と短く動かす(締める)!

約1秒ごとのテンポで、肛門を締める・ゆるめるを繰り返します。締めるときは、「ぎゅっ」と力を入れるのではなく、まばたきのように肛門を静かに閉じるイメージ。おしり全体が動くようなら力の入れすぎです。肛門だけ締めたら、ゆるめることも意識しましょう。

引き上げるイメージいろいろ

骨盤底筋を引き上げるためには、具体的なイメージを思い浮かべるのがコツ。ただし、正しい動きにつながるイメージは人それぞれ。どのイメージだと動かしやすいか試してみましょう。

膣まわりの皮膚を集めて、中に入れ込む。行きを履きながら尾てい骨を丸める。膣・肛門を体の中に引き上げるように。おへそ側に引き上げながら、膣や肛門をすぼめる。

骨盤底筋トレーニング【意識づけ編】

タオルを使って、鍛えるべき部位を意識しよう

骨盤底筋の動きを意識しづらい人は、まずはタオルを使って意識づけをするのが、おすすめです。筋トレ同様、鍛えたい(動かす)部位を意識しながら行うことで効果も上がります。

① タオルをまるめて、硬いイスの上に置く

薄めのバスタオル(もしくはフェイスタオル)を縦半分に折ってから、巻きます。

② 巻いたタオルを股間に当てて座る

タオルの上に尾骨から恥骨までが当たるように座ります。タオルが当たっているところが骨盤底筋の場所です。猫背にならないように姿勢は正して。

骨盤底筋の位置や動きを意識すると、効果大!背筋を伸ばした正しい姿勢で!タオルが当たる部分を意識しながら締める!

③ タオルが当たる部分を動かす

息を吐きながら、タオルが当たっている部分を腟の中に入れ込むようなイメージで引き上げる(締める)。吸う息と共に、ゆるめる。タオルが当たる部分に動きが感じられたら、骨盤底筋は動いています。

骨盤底筋トレーニング【基本編】

寝ながら、座りながら、目標は1日6セット

ここで紹介する骨盤底筋トレーニングは、立ったまま、寝ながら、座りながら、どの姿勢でもOK。通勤中やテレビを見ながら、起床時、寝る前など1日に何度でも、すきま時間を見つけて行いましょう。

効果が出始める時期は個人差もありますが、各10回×6セット程度を毎日続けると、早い人なら6週間くらいで効果を実感できるでしょう。実際、シニアの方でも効果は出ます。負担のない程度にコツコツと継続することが大事です。

基本の骨盤底筋トレーニング

「じわ~っ」10回+「キュッ、キュッ」10回で1セット

これで1セット!

  • 息を吐きながら骨盤底筋を引き上げるイメージで「じわ~っ」と締める、息を吸いながら骨盤底筋をゆるめる。これを10回繰り返す。
  • 約1秒ごとのテンポで、肛門を「キュッ、キュッ」と締める・ゆるめるを繰り返す。これを10回繰り返す。

目標は1日6セット

できるだけ早期の尿もれ改善を期待するなら、1日6セット前後を目安に。ただ、1日2~3セットになったとしても、何もしないでいるよりは骨盤底筋は鍛えられています。あまりできない日があったとしても、日々継続することが大事です。

慣れるまでは、時々、手を差し込んで骨盤底筋がちゃんと動いているかチェックを!

立った姿勢、座った姿勢でもOKですが、横向きやあお向けで寝た姿勢のほうが骨盤底筋の動きがわかりやすいでしょう。

動きを感じにくい人は、このポーズで

筋肉の動きが弱い人は、内臓の重みが骨盤底筋にかからない姿勢で行うと、骨盤底筋を動かしやすくなります。

息を吐きつつ、ゆっくり骨盤底筋(尿道・腟)をおへその方に引き上げる

足を肩幅ほど広げて。この時、お腹やお尻の筋肉に力を入れて動いてしまうのはNG。骨盤底筋だけが動いていることを意識して。

骨盤底筋トレーニングに関するお悩みQ&A

Q.

骨盤底筋トレーニングはどのくらいで効果が出るの?

A.

個人差はありますが、2~3カ月で尿もれ改善の兆候が
骨盤底筋のゆるみが原因で尿もれする場合、骨盤底筋トレーニングを正しいやり方で毎日行っていれば、2~3カ月くらいで効果が出てくる人が多いでしょう。ただし、尿もれ改善のスピードは、それまでの骨盤底筋のゆるみ具合や筋肉の回復力にもよるので、個人差があります。1カ月程度で効果が出てくる人もいれば、4カ月以上かかる人も。骨盤底筋トレーニングはあせらずコツコツ継続することが大事です。
また、骨盤底筋トレーニングは何歳から始めても効果を期待できます。70代で骨盤底筋トレーニングを始めて尿もれ症状が軽減した方もいます。

Q.

骨盤底筋トレーニングを頑張っていても効果がないのは?

A.

そもそもきちんと動かせていないか、筋肉が硬い可能性も
骨盤底筋トレーニングを頑張っているのに効果を感じないという方の中には、頑張り過ぎて腹圧をかけてしまい、逆効果の動きをしている人が少なくありません。また、骨盤底筋が硬くて動かせていない人もいます。
自分が正しく動かせているかを確認するには、会陰のあたりを触りながら骨盤底筋を引き上げてみて。指から会陰部が離れるような感覚があれば、きちんと動かせています。また、自分の筋肉が硬いかどうかを確認するには、腹式呼吸をしながら会陰のあたりを触ってみてください。呼吸に合わせて触ったところが動く人は柔軟性があり、動かない人は硬い可能性があります。

Q.

我慢できない尿もれにも骨盤底筋トレーニングは効果がある?

A.

切迫性尿失禁の人は、服薬や膀胱訓練の必要性も
骨盤底筋のゆるみが原因で尿もれする場合は、骨盤底筋トレーニングだけでも症状の改善が期待できます。一方、膀胱が過敏に活動しすぎて我慢できずに尿もれしてしまう「切迫性尿失禁」の場合は、骨盤底筋トレーニングだけで改善するのは難しいでしょう。その場合は、膀胱の柔軟性を回復させるための「膀胱訓練」も行います。ちなみに、私は膀胱訓練を指導する際、「(我慢するのではなく)あせらないようにトイレに行きましょう」と伝えています。トイレに行くのをギリギリまで我慢すると、あせって体が緊張し、ますます膀胱が刺激されて尿もれしやすくなるからです。
また、切迫性尿失禁の治療では、膀胱の過剰な収縮を抑える薬を使用することもあります。
いずれにせよ、泌尿器科を受診して、適切な治療を受けることが大切です。

Q.

尿もれを助長するトイレ習慣って?

A.

念のためトイレや、しぼり出す排尿はNG
トイレは、しっかり尿意を感じてから、リラックスして排尿するのが理想です。
尿もれが心配だからと、早め早めにトイレに行く習慣になっていると、膀胱の尿をためる機能が衰えてしまいます。また、尿を全部出しきろうと、腹圧をかけてしぼり出すように排尿するのもよくありません。急激な腹圧がかかると、かえって尿もれをしないように筋肉やその他の機能が働きます。そのため、排尿後の尿もれにつながることも。排尿時は腹圧をかけずにリラックスして排尿しましょう。

Q.

骨盤底筋トレーニングは、尿もれ改善以外にもいいことある?

A.

デリケートゾーンの不快症状(GSM)対策にもなります
デリケートゾーンが下着の刺激でヒリヒリする、自転車のサドルが当たって痛い、性交痛があるなどの不快症状は、デリケートゾーンの乾燥や萎縮が原因です。こうした症状及び、頻尿・尿もれは、とくに更年期以降の女性に多く見られ、「GSM(Genitourinary Syndrome of Menopause):閉経関連尿路生殖器症候群」と呼ばれます。
実は骨盤底筋トレーニングは、このGSMの改善にも役立ちます。骨盤底筋を柔軟に動かすことで、内陰部動脈などの血流が増加し、外陰部や腟の弾力性が改善されるため、デリケートゾーンの不快を軽減すると言われています。尿もれ改善のためだけでなく、デリケートゾーンの不快症状解消のためにも、骨盤底筋トレーニングを習慣にしましょう。

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今回お話を伺った専門家

北條 裕紀恵 さんの写真

骨盤底筋トレーナー/看護師
北條 裕紀恵 さん
骨盤底筋トレーニング【YUI】代表

2011年から四谷メディカルキューブ骨盤底筋トレーニング外来にて指導。2018年に骨盤底筋トレーニング YUIで独立し、近隣医療機関と連携して女性骨盤底トラブルをサポート。「骨盤底筋トレーニングをうまくできない方々」のためのカウンセリング&パーソナルレッスンには、全国から相談者が訪れている。日本女性骨盤底医学会所属。日本骨盤底医学会学術集会にて毎年演題発表。

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