


スペシャリストが回答!
お悩み相談室 Q&A
2026.07.15

最近、突然動悸がしたり、カーッと顔が熱くなったりします。これがホットフラッシュと言われるものでは?と思い、ネットで調べたところ、「若年性更年期障害」という言葉を見つけました。更年期はまだ先のことと思っていましたが、30代でも更年期になることはあるのでしょうか?(30代女性)

<回答したスペシャリスト>
産婦人科医師・石山尚子先生
30代から動悸やホットフラッシュなどの不調が起こると、心身ともにつらいと思います。自律神経の乱れが原因である場合が多いので、整えるための生活習慣などを意識してみるとよいでしょう。
更年期症状の例としてよく挙げられるのがホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)ですが、ほかにも、動悸、めまい、イライラ、気分の落ち込み、不眠、頭痛、尿もれなど、更年期症状はじつに多種多様です。中でも更年期に一番現れやすい症状が、自律神経症状(自律神経の不調から起こる症状)。だからといって、自律神経症状=更年期症状ではありません。
自律神経症状は自律神経がうまく働かなくて現れる症状なので、年齢に関係なく起こり得ます。一方、更年期症状は卵巣機能が低下し、女性ホルモンの分泌が大きくゆらぎながら減少することが主な原因なので、閉経前後の10年間に起こりやすいと言われてます。
ところで、なぜ更年期には自律神経症状が出やすいのでしょう?それは、女性ホルモンのエストロゲンの分泌を調整している場所も、自律神経をコントロールしている場所も、同じ脳の視床下部にあり、お互いに影響を受けやすいからです。
更年期になって卵巣の機能が低下すると、エストロゲンの分泌量が減少するので、脳からは「もっとエストロゲンを出して!」という指令が出ます。しかし、その指令に卵巣が応えてくれないので、脳はパニックになり、その結果、同じ視床下部にある自律神経の働きも乱れてしまうというわけです。

自律神経の不調が慢性化すると「自律神経失調症」と診断されます。この自律神経失調症は、心身のストレスと生活習慣の乱れが主な原因ですが、更年期障害はエストロゲンの急激な減少が主な原因です。原因は違いますが、共通する症状は下記のようにたくさんあります。
自律神経は、呼吸や消化、血流など生命活動に欠かせない機能をコントロールする神経です。この自律神経は、活動モードのときに優位になる「交感神経」と、リラックスモードのときに優位になる「副交感神経」に分かれています。この2つの神経のスイッチがうまく切り替わらないと、心身に不調が現れます。こうした不調が慢性化した状態が自律神経失調症です。
20代・30代で更年期のような症状がある状態を指して「若年性更年期障害」と呼ぶこともあるようですが、じつは若年性更年期障害という病名はありません。「更年期症状ではないけれど、自律神経症状の現れ方が更年期と似ている」という意味で使われているようです。自律神経の乱れが原因で月経が乱れることもあるので、月経不順や無月経など心配な症状が続く場合は早めに婦人科を受診しましょう。

自律神経が乱れる原因としてまず考えられるのが、心身のストレスと生活習慣の乱れです。
自律神経を整えるには、ストレスや疲労をためないことが重要です。また、自律神経を整える生活習慣も大切です。
自律神経を整えるために、下記のポイントを参考にしながら生活習慣を見直しましょう。
■バランスのよい食事
とくにストレスに対抗するホルモンの分泌に欠かせないビタミンCを含め、代謝活動の要となるビタミン・ミネラルは意識的に摂取しましょう。また、不足しがちなカルシウムもストレスを和らげる働きがあります。
■質のいい睡眠
睡眠中に成長ホルモンが分泌されたり、新陳代謝が活性化したりするので、質のいい睡眠は体を整えるために欠かせません。できれば夜11時には就寝し、7時間は睡眠を確保できるようにしましょう。
■適度な運動
運動して交感神経を活性化することで、交感神経と副交感神経のスイッチングのリズムがつきやすくなります。とくにウォーキングなどの有酸素運動、スクワットなど下半身の筋肉を鍛える運動は、基礎体力の強化や基礎代謝の向上におすすめです。
■夜はぬるめの湯温で入浴
シャワーで済ませず、できるだけ湯船につかるようにしましょう。副交感神経を優位にしてリラックスできるよう、38~40℃のぬるめのお湯がおすすめです。
疲れやすい、多汗、冷え、動悸、イライラ、不眠、めまい、消化不良、下痢…どれも更年期症状として現れることがありますが、じつは更年期ではなく、病気が原因の可能性もあります。とくに甲状腺の病気は、更年期症状との共通部分が多くあります。更年期世代ではないのに更年期のような症状が続く場合は、病気の可能性も視野にいれましょう。
不定愁訴と呼ばれるような「何となく、多様な不調が続く」ときは、何らかの病気である可能性もあります。どの診療科を受診するべきか迷った場合、まずはいちばんつらい症状に関係のある科を受診してみましょう。例えば、胃腸の調子が悪ければ消化器内科、胃腸の調子がメンタルの状態と関連していそうであれば心療内科という選択肢もあります。

イライラ、頭痛など、複数の症状があったとしても月経の不調が絡んでいるのであれば、まずは婦人科を受診しましょう。いくつもの不調の原因はPMS(月経前症候群)だったというケースも少なくありません。漢方薬やホルモン治療によって複数の症状が改善することもあります。また、婦人科でも甲状腺の検査は可能なので、甲状腺の病気が疑われるようであればまずは月経の相談とあわせて受診してみるのもよいでしょう。

産婦人科医師
石山 尚子 先生
対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座院長
日本産婦人科学会専門医。対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座勤務。女性がより快適に生活するための治療や対処法、セルフケアのアドバイスをわかりやすい言葉で丁寧に、を信条にされる女性医療(ウィメンズヘルス)のスペシャリスト。
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