FemCare LABでは、読者を対象に「生理・閉経」に関するアンケート調査を実施。ご回答いただいた女性3,077人の2割にあたる634人が「閉経している(生理が1年以上ない)」と回答しました。女性たちの声からわかったのは、閉経前後には体の変化を感じる人が多く、その程度や悩みもさまざまだということ。快適に過ごすための対策・ケアについて、婦人科医によるアドバイスもご覧ください。
閉経前の前兆として最も多かったのが「生理期間の変化」で、4割近くの人が、生理が長くなったり、短くなったりするなどの変化を経験しています。続いて多かったのが、「生理周期の変化」で、こちらは3人に1人が経験。
そのほかにも、経血量の変化(増加・減少)など、閉経が近づくと生理に何らかの変化が起こることが多いとわかります。
その一方で、6人に1人は「症状はない」と回答。何の前触れもなく、いきなり閉経することもあるようです。
それまでは定期的に月経がきていたのに、50代に入ってから、生理がこない月が何度も。(52歳女性)
子宮筋腫の影響もあり、40代半ばから生理の出血が増加。毎回ナプキンからもれてしまうように・・・。(47歳女性)
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月経痛がひどくなりました。(53歳女性)
月経量が多い日は血圧が上がるようになり、頭痛もひどくなった。(52歳女性)
閉経間際に子宮筋腫の症状で出血が酷かったので、生理自体はもうよくわからなかった。(59歳女性)
腰痛や激しい排卵痛がありました。(43歳女性)
閉経前後、デリケートゾーンに起こる症状を聞いたところ、最も多かったのが「尿もれ・頻尿」で6割以上の人が経験しています。閉経はいわゆる更年期のタイミングなので、女性ホルモンの急激な減少、及び加齢による筋力の低下が、骨盤底筋のゆるみに大きな影響を与えていることが推測できます。
また、次に多かった「デリケートゾーンの乾燥・かゆみ・痛み」も女性ホルモンの減少と大きく関係する症状です。ほかには、「おりもの」の変化、ニオイが気になりだす方も多く 、何らかの対策・ケアが求められている時期のようです。
水分多めのおりものが増えてきました。もしかして、これって尿もれ?(59歳女性)
お風呂から出るとき、腟からお湯がポタポタと出ることがよくあります。(52歳女性)
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尿もれまではいかないが、漏れるような感覚になることがあり、今後心配。(50歳女性)
デリケートゾーンが、生理のときみたいに蒸れたようなニオイがするようになりました。周りの人にも気づかれそうで不安です。(60歳女性)
尿臭がキツくなったように感じます。(55歳女性)
時々、デリケートゾーンにできものができます。(59歳女性)
産婦人科医師
石山 尚子 先生
対馬ルリ子ライフクリニック銀座院長
女性の体は、卵巣機能が寿命を迎えると閉経になります。閉経年齢は個人差が大きいのですが、平均すると50歳前後。40代から閉経の前兆が現れることが多いようです。
閉経の前兆とは、「女性ホルモンの急激な減少によって起こる症状」と言い換えることもできます。女性ホルモンが不安定になると、月経(生理)周期の乱れや経血量の変化が起こりやすくなります。
経血量に関しては、少なくなる人もいれば、生活に支障が出るほど増える人も。100人いれば100通りの変化があると言ってもよいくらい違うのです。
女性ホルモン量が急降下していく更年期
また、女性ホルモン(とくにエストロゲン)の減少は、デリケートゾーンにも大きな変化をもたらします。その変化は、いわゆるGSM(閉経関連尿路生殖器症候群)と呼ばれるもの。外陰部が乾燥・萎縮することで、痛みやかゆみ、性交痛などの不調が現れます。
ほかにも、陰部が乾燥して自浄作用が低下すると細菌が繁殖しやすくなるので、ニオイやおりものの異常を経験する人も。さらに、骨盤底筋も衰えてくるので、尿もれの心配も出てきます。中には子宮などの臓器が下がって腟から出てきてしまう骨盤臓器脱になる人もいます。
デリケートゾーンのケアを見直す時期
デリケートゾーンのトラブルを予防するには、毎日のケアが大切です。デリケートゾーン専用の洗浄料や保湿剤を使用し、やさしく洗ったうえで保湿をしてみてください。
尿もれに対してナプキンを使う場合は、吸水ナプキンなどの尿ケア専用品を利用するとよいでしょう。尿もれに生理用ナプキンやおりものシートで代用していると、かぶれや炎症を起こしかねません。
また、取り替えるのが面倒だからと、吸収量が多い吸水ナプキンを長時間つけることも避けましょう。自分の尿もれ量に合った吸水量の製品を使用し、こまめに交換することが大切です。
生活に支障をきたすような外陰部のトラブルは、ぜひ婦人科に相談してみてください。
吸水ナプキンは状況に応じて「吸水量」で使い分けると快適です
ひとりで我慢せず、婦人科で相談を
また、閉経前後はホットフラッシュ、動悸、関節痛、胃腸の不調など、さまざまな心身の不調が起こりやすくなります。内科、消化器科など受診しても原因がわからなかった不調が、じつは更年期特有の症状だったということも。「病院ではどこも悪くないと言われたから…」「病院に行くほどでもないから…」とひとりで我慢しないで、婦人科(レディースクリニック)で相談してみてください。ホームページなどで月経困難症やPMS(月経前症候群)、更年期障害などの治療を案内しているクリニックがおすすめです。更年期症状の治療には、HRT(ホルモン補充療法)や漢方など、いくつもの選択肢があるので、きっと自分に合った治療法が見つかるはずです。
PROFILE
産婦人科医師
石山 尚子 先生
日本産婦人科学会専門医。対馬ルリ子ライフクリニック銀座勤務。女性がより快適に生活するための治療や対処法、セルフケアのアドバイスをわかりやすい言葉で丁寧に、を信条にされる女性医療(ウィメンズヘルス)のスペシャリスト。
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