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お悩み相談室 Q&A
<回答したスペシャリスト>
産婦人科医師・石山尚子先生
閉経が近づいていることに気づくきっかけの1つに、月経の乱れがあります。月経の間隔がだんだん空いていき、経血量も徐々に減っていく場合はわかりやすいのですが、そうとは限りません。ご相談者のように、月経周期が短くなることもよくあります。
閉経に向かう月経の変化は、人それぞれ。どのパターンが正常ということはありません。なぜなら、女性ホルモンに対する感受性、自律神経の状態、体の機能、体質など、さまざまなことが月経に影響するからです。
更年期に卵巣が衰えてくると、排卵がうまくできず、女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の分泌が不安定になり、月経も乱れやすくなります。月経周期が短くなる理由は、老化して反応が悪くなった卵巣に対して、排卵するよう脳がそれまでよりも強く促すから。更年期の最初のころは、月経周期が長くなる人よりも、月経周期が短くなる人のほうが多いようです。
月経の乱れは、周期だけでなく経血量にも影響します。経血量は少ないけれどダラダラ続く人もいれば、貧血になるほどドバドバ大量の出血をする人もいます。
月経の乱れは加齢とともに誰にでも起こり得ることです。しかし、短いサイクルの月経や多量の出血で生活に支障があるようであれば、我慢せずに婦人科に相談しましょう。ホルモン補充療法(HRT)で変化をゆるやかにするなど、対策を検討できます。
不正出血とは、月経ではない出血を指します。月経が乱れてくると、月経なのか不正出血なのか、自分では判断に迷うこともあるでしょう。不正出血の原因の中には、がんもあります。万が一のために、迷ったときは早めに婦人科を受診しましょう。
■ 子宮筋腫
子宮にできる良性の腫瘍です。大半は無症状ですが、筋腫の影響で月経期間が長引く、月経量が増える、不正出血などの症状が現れることもあります。閉経したら筋腫は小さくなりますが、症状がつらい場合は、治療も検討しましょう。
■ 萎縮性腟炎
更年期以降に多い病気です。エストロゲンの減少によって腟が乾燥・萎縮し、腟壁が薄くなることで、出血が起こりやすくなります。おりものに血液が混じる、下着に少量の血がつくなどの場合は、萎縮性腟炎かもしれません。エストロゲン腟錠、腟内レーザーなど、いろいろな治療法があります。
■ 子宮体がん
子宮頸がんは20~40代がなりやすいのに対し、子宮体がんは50~60代に多く、初期の症状に不正出血があります。子宮体がんは女性ホルモンの乱れが主な原因なので、更年期女性はとくに注意が必要です。
月経か不正出血か、迷ったときは婦人科を受診することが大事です。それとともに、40代以降は年1回の子宮がん検診を習慣にすることをおすすめします。
婦人科クリニックなどにかかりつけ医をもっておくと安心です
産婦人科医師
石山 尚子 先生
対馬ルリ子ライフクリニック銀座院長
日本産婦人科学会専門医。対馬ルリ子ライフクリニック銀座勤務。女性がより快適に生活するための治療や対処法、セルフケアのアドバイスをわかりやすい言葉で丁寧に、を信条にされる女性医療(ウィメンズヘルス)のスペシャリスト。
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