スペシャリストが回答!
お悩み相談室 Q&A

Q.生理前になると頻尿になります。それって、PMS(月経前症候群)?

2023.11.29

生理1週間前頃からトイレが近くなります。普段は我慢できる程度の尿意でも耐えられなくて、ちょいモレしてしまうことも。これって、よくあることなのでしょうか?その時期だけ頻尿になるのを治すことはできますか?(30代女性)

A.月経前後は女性ホルモンの変化が激しい期間。いろいろな症状が現れやすくなります

石山 尚子 先生の写真

<回答したスペシャリスト>
産婦人科医師・石山尚子先生

女性ホルモンの変化が影響している可能性も

女性の体は、月経(生理)の周期に合わせて女性ホルモンの分泌量が変化します。月経期間は女性ホルモンがあまり分泌されませんが、月経期間を過ぎると女性ホルモンのエストロゲンが増え始め、排卵に向けて子宮内膜は厚くなっていきます。そして、エストロゲンの分泌がピークになると排卵が起き、もう1つの女性ホルモンである黄体ホルモンの分泌量が増えていきます。そこで妊娠しなければ、女性ホルモンの分泌は減って再び月経期間に入るというわけです。

頻尿になるのは、毎回月経1週間前くらいから数日間だけというのであれば、女性ホルモンの変化と関係している可能性は十分考えられます。中でも月経の1週間前ごろは黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量が上昇してから下降する時期。この黄体ホルモンには、尿道の開け閉めをコントロールする平滑筋をゆるめる作用があります。

また、月経前はエストロゲンや黄体ホルモンの影響で、わずかに子宮が大きくなります。こうした変化が頻尿につながっているのかもしれません。さらに、自律神経のバランスが乱れることが関係している可能性も。ただ、女性ホルモンと頻尿の因果関係ははっきりとわかっていないのが現状です。

PMS(月経前症候群)には200以上の症状が

PMSとは、premenstrual syndromeの略。月経の3~10日くらい前から始まる精神的あるいは身体的症状で、月経が開始すると軽減または消失します。その症状は人それぞれで、200以上もの症状があると言われています。ですから、ご相談者にとっては、頻尿もPMS症状の1つなのかもしれません。

PMSの代表的な症状

身体的症状

乳房の痛み・腹痛・おなかの張り・頭痛・腰痛・手足のむくみ

精神的症状

情緒不安定・イライラ・抑うつ・不安・眠気・集中力の低下

PMSの症状がつらくて生活に支障をきたす場合は、治療の対象となります。治療法は症状に合わせて、さまざま。カウンセリングやストレスを軽減するための生活指導もあれば、月経前の変調に対する対処療法も。また、薬で排卵を抑制する、漢方薬で体質を改善するなどの治療もあります。

月経のある女性の約7割は、何らかのPMSがあると言われています。「生理に伴うことだから、どうしようもない」と、あきらめている人もいるかと思いますが、PMSは女性のQOL(生活の質)を脅かす疾患です。改善できることも多いので、ぜひ、婦人科医に相談してみてください。

今のところ、PMSの原因ははっきりとはわかっていません。しかし、女性ホルモンの変動が関わっていて、ストレス、性格、食生活、嗜好、自律神経の乱れ、体力の低下などによって、症状が重くなる傾向があると考えられています。症状の緩和のためには、生活スタイルの見直しなど自分で実行できることも多いのです。

自分でできるPMS対策

  • 規則正しい生活を心がけ、睡眠を十分とる
  • 適度な運動を習慣にする
  • ストレスをためないよう、リラックスする方法をみつける
  • 喫煙を控える
  • カフェイン、糖質、アルコールの摂り過ぎに注意する
  • 心身を整えるサプリメントやハーブを試してみる
  • 多忙な場合は、仕事の量を調節する など

骨盤底筋トレーニング(体操)や吸水ケア用品も試してみて

頻尿になりやすい時期がわかっているのであれば、その期間だけ、吸水ケア用品(吸水ライナーや吸水パッド、吸水ショーツ)を利用するという対策もあります。万が一、トイレに間に合わなくても大丈夫だという安心感があれば、少しは気持ちがラクになるかもしれません。

尿もれケア専用品(吸水ライナー)を、おまもり代わりに着けておくと安心です。

また、骨盤底筋を鍛えることも、頻尿や尿もれ改善につながる可能性があります。原因がPMSであっても、そうでなくても、女性はだれもが加齢とともに骨盤底筋がゆるんで尿もれが起こりやすくなります。骨盤底筋トレーニング(体操)を習慣にして損はないので、ぜひ、試してみてください。

頻尿が激しくなったり、尿もれの頻度が多くなったりで、生活に支障があるようであれば、泌尿器系に特化した女性泌尿器科かウロギネ外来(泌尿器科と婦人科の境界領域を診療する外来)を受診してみるのもいいでしょう。婦人科から泌尿器科の専門医をご紹介することもありますので、「恥ずかしい」と思ってひとりで悩んでいる方も多いと思いますが、気軽に相談してください。

  • さらピュアLINE公式アカウントを友だち追加して、お役立ち情報を受け取ろう

女性医療のスペシャリスト

石山 尚子 先生の写真

産婦人科医師
石山 尚子 先生
対馬ルリ子ライフクリニック銀座院長

日本産婦人科学会専門医。対馬ルリ子ライフクリニック銀座勤務。女性がより快適に生活するための治療や対処法、セルフケアのアドバイスをわかりやすい言葉で丁寧に、を信条にされる女性医療(ウィメンズヘルス)のスペシャリスト。

骨盤底筋ゆるみ度セルフチェック

骨盤底筋のゆるみ
まずは自分で簡単チェック!

KEYWORD

Page Top