FemCare LABではオトナ女性を対象に「尿もれ」に関するアンケート調査を実施。その結果、40代以上の女性の約2人に1人*に尿もれ経験があることが判明!世代別にみると、シニアに限らず若くても悩む人も多く、もはや誰にでも起こりうる「あたりまえ」のような現状が見えてきました。女性たちの気になる本音、女性泌尿器科医に日常でできる対策などについて教えていただきました。
*40~70代女性 1,370人(2021年5月 花王調べ)
現在、尿もれ症状がある人を対象に、尿もれになった原因を聞いたところ「加齢」「骨盤底筋・筋力低下」が上位に挙がります。40代以降、女性は誰でも更年期を迎え女性ホルモンが急減する「ゆらぐ世代」。体の機能が落ちて、さまざまな不調が出てくる時期です。
とくに女性ホルモンの量が減ると、骨盤底筋などの筋肉が弱くなり、自律神経も不安定に。おまけに急に太ったり、重い荷物を持ったり、ランニングなど過度な衝撃を受ける運動、といった骨盤底筋を弱らせる負荷がかかると尿もれが!
また、妊娠・出産のタイミングで尿もれに悩む女性も多く、その際、骨盤底筋をトレーニングする等のケアをしていないと、更年期・シニア期になってから再発につながることも。女性にとって尿もれは身近なことなのです。
近年、尿もれ対策や腟トレとして注目されている「骨盤底筋トレーニング(体操)」。FemCare LABの調査でも、骨盤底筋トレーニングを知っていますか?という問いに過半数がYESと回答しています。しかし、実際に行っているか?については残念な結果に。
尿もれ・頻尿、便もれ、骨盤臓器脱…といったトラブルへの予防・対策として、骨盤底筋を鍛え続けることが有効であることは実証されています。
しかし、悩ましいのは「骨盤底筋を締めたりゆるめたり」が上手にできない!自覚できない!というリアルな声が多いこと。アンケート結果でも、尿もれ症状が既にある人であっても、骨盤底筋トレーニングを現在行っているのは1割ほど。習慣にできずに挫折する人が多いことがわかります。
出産後に骨盤のゆるみが原因なのか尿もれするように。この歳で恥ずかしいし、対処方法もわからないからとりあえず生理用ナプキンで代用してましたが、しばらくすると気にならなくなったから一時的なものだったのかな?(30代女性)
生理不順になってきて、年齢的にも更年期かなと。おりもので、下着の汚れが気になるからパンティライナーを使っているけれど、最近は尿もれも気になってきて、仕事で長時間トイレに行けない時とかは心配。(40代女性)
50を過ぎて閉経してから尿もれが少しずつ気になってきました。
重い物を持ったり、くしゃみや咳で力が入ったときに「あっ」と。骨盤底筋体操も見よう見まねでやっているけれど、やり方があっているか分からない。(50代女性)
尿もれ、これは何かの間違いだと最初は否定した。専用品は抵抗があったのでパンティライナーを使っていたけれど、心もとなくなり生理用品に変更。でも尿をはじくので、やっぱり専用品に。使い始めると安心感もあるし慣れました。(50代女性)
女性泌尿器科医師
佐藤 亜耶 先生
自由が丘ウロケアクリニック院長
尿もれや頻尿といった尿トラブルは、女性の身体の構造上おこりやすく、世代に関係なくクリニックに相談にこられる方は多いです。尿もれのタイプや程度に応じて治療は異なりますが、尿もれの主な原因である骨盤底筋のゆるみは、毎日のトレーニングによって鍛えることができます。
骨盤底筋をトレーニングで強化すれば、30~40代の場合、1カ月程度で効果を実感できる人もいらっしゃいます。尿道、腟、肛門を正しく意識し、骨盤底筋を締めたりゆるめたりできるように根気よく続ければ、多くの人が2~3カ月で効果がわかるようになります。
ただし、骨盤底筋トレーニングは継続することが重要です。効果が出たからといって、トレーニングをやめてしまうと、すぐ元に戻ってしまいますので毎日の習慣にしましょう。 もし、骨盤底筋トレーニングを続けても改善せず、生活に支障が出る場合は、泌尿器科(女性泌尿器科)やウロギネ外来(泌尿器科と婦人科の境界領域を診る科)に相談してみましょう。
PROFILE
佐藤 亜耶 先生
日本泌尿器科学会認定専門医、医学博士。日本大学医学部卒業後、研修医を経て同大学泌尿器科に入局。以降、関連病院で診療経験を積み、2019年に女性泌尿器科・小児泌尿器科に特化した自由が丘ウロケアクリニック開院。日本泌尿器科学会、小児泌尿器科学会、女性骨盤底医学学会、日本夜尿症学会所属。
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