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お悩み相談室 Q&A

<回答したスペシャリスト>
産婦人科医師・石山尚子先生
「PMSが重いと更年期も重いのでは…」と不安になると思います。ただし、更年期とPMSは起こる仕組みが異なります。まずは両者の違いを理解し、ライフステージに合わせた治療を選んでいきましょう。
PMS(月経前症候群)も更年期症状も、女性ホルモンの急激な変化が関係している点は同じです。しかし、「どの女性ホルモンが」「どう変化したときに起こる症状なのか」には大きな違いがあります。
PMSは月経開始の3~10日くらい前から始まって、月経開始とともに落ち着く精神的・身体的症状を指し、排卵後にプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が急上昇・急降下することで起こります。また、この時期に精神症状が強く現れる場合は、PMDD(月経前不快気分障害)と診断します。

一方、更年期は閉経5年前から閉経5年後までの10年間を指し、エストロゲン(卵胞ホルモン)がガタガタと乱高下しながら急激に減少していくことで起こります。

このように症状が起こる原因の違いから、PMSの重さと更年期症状の重さに関係があるとは一概に言えません。
ただし、エストロゲンに似た働きを持つ「エクオール」を体内で作れない女性は、PMSやPMDDになりやすく、更年期症状が出やすいなど、一部の症状については関係性が示唆されています。
PMDDは比較的新しい概念で、2013年に米国精神医学会で「抑うつ障害」の1つとして正式な疾患名に認定されました。PMDDの発症時期はPMSと同じで月経開始の3~10日くらい前ですが、PMSよりも精神症状が強く現れるのが特徴です。抑うつ気分がひどい、不安や緊張感で追い詰められる、拒絶や批判に過敏になる、イライラや怒りが抑えられないなどの症状がある場合は、PMDDの可能性があります。

更年期に入ると、PMS・PMDDにも変化が現れる場合があります。症状が重くなるケースもあれば、逆にラクになるケースもあり、その変化は人それぞれです。
PMS・PMDDは排卵がある限り続くため、更年期の前半(閉経前の約5年間)と時期が重なります。そのため、これまで以上にPMS・PMDDの症状がつらくなる人や、PMS・PMDDが現れない期間にも更年期症状が加わり、常に不調が長引く人もいます。(※一方で、PMS・PMDDがあっても更年期症状はほとんど出ない人もいます。)
更年期に入って卵巣機能が衰えると、排卵したりしなかったりすることで、PMS・PMDDが現れる回数自体が減っていくため、ラクになったと感じる人もいます。
PMSの症状は、身体症状(乳房の痛み、ガスがたまるようなおなかの張り・腰痛、頭痛、手足のむくみなど)と精神症状(抑うつ気分、怒りっぽくなる、イライラ、不安、混乱、引きこもりなど)の両方がありますが、その症状はじつに多様で200種以上とも言われています。
一方、更年期症状も、ホットフラッシュ、多汗、倦怠感、頭痛、めまい、腰痛、不眠、抑うつ気分など、身体的なものから精神的なものまで多種多様です。
PMS・PMDDと更年期症状は似ているため、40代・50代だと、その不調はPMS・PMDDなのか、更年期症状なのか、迷う人もいるでしょう。その場合、症状が月経周期に連動しているかどうかが、1つの見分ける目安になります。周期に連動して症状が強く出る場合はPMS・PMDDの影響が大きいと考えられます。
中には、PMS・PMDDの治療で低用量ピルを使用していたけれど、ある時期から低用量ピルを服用していてもホットフラッシュが出るようになり、それがきっかけでPMS・PMDDではなく更年期症状のほうが重くなっていることに気づいた人もいます。女性ホルモンがゆらぐ40~50代は、今の不調の原因を自分自身で見極めることが非常に困難なのです。更年期に入ったら、これまでの治療法を継続してよいか再検討したほうがよいでしょう。
PMS・PMDDの代表的なホルモン治療である低用量ピル(低エストロゲン・プロゲスチン配合薬)は、排卵を抑えてホルモンの変化を小さくすることで症状を緩和します。しかし、これは血栓症のリスクを考えて40代から慎重な判断が必要になり、50歳以降は原則服用できないことになっています。そのため、45歳前後には治療方針を見直すことが必要になるでしょう。
不調が気になるときは、一度婦人科を受診することをおすすめします。超音波(エコー)検査で子宮内膜や卵巣の状態を確認したり、血液検査でホルモンの数値を調べたりすることで、不調の原因がPMSなのか更年期なのか、あるいはそれらが混ざっているのか、知ることができます。
また、30~40代は子宮頸がん、50代は子宮体がん、40代からは乳がんのリスクが高くなるので、あわせて婦人科検診と、乳がん検診も受けておくとよいでしょう。
健やかな更年期を過ごすため、気軽に婦人科へ相談する習慣をつけておくと安心です。


産婦人科医師
石山 尚子 先生
対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座院長
日本産婦人科学会専門医。対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座勤務。女性がより快適に生活するための治療や対処法、セルフケアのアドバイスをわかりやすい言葉で丁寧に、を信条にされる女性医療(ウィメンズヘルス)のスペシャリスト。
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