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お悩み相談室 Q&A

Q.最近、眠りが浅く夜中にトイレに行きたくなります。夜間頻尿でしょうか。寝不足気味です。何か対策は?

2024.06.20

それまでは朝まで熟睡できたのに、50代に入ってから、夜中に1回トイレに行くのがルーチンに。目が覚めたとき、トイレに行っておかないともらしそうで…。でも、トイレに行くとますます目が冴えて、寝不足気味。これが夜間頻尿と呼ばれるもの?治すことはできませんか?(50代女性)

A.夜間、トイレのために1回以上起きるのなら「夜間頻尿」です。原因によって対策は変わってきます。

佐藤 亜耶 先生の写真

<回答したスペシャリスト>
女性泌尿器科医師・佐藤亜耶先生

“とりあえずトイレ”の習慣をやめてみましょう

夜間頻尿というのは、トイレのために起きる回数が1回以上あり、生活に支障をきたしている状態を指します。ただし、夜間頻尿と言っても、その原因によって対処法は変わります。ここで大事なのは、“トイレのために起きざるを得ないか、どうか”ということ。尿意で目が覚めてしまうのであれば、膀胱機能の問題が考えられます。中には、トイレの夢を見て目が覚めるという人もいます。
一方、ご相談者は、眠りが浅くて目が覚めてしまい、モレるのが不安だから、起きたついでにトイレに行っているというご様子ですね。この場合、眠りの質が原因だと言えます。

眠りが浅くなる原因は、心理的なものや身体的なものなど、いろいろ考えられます。更年期症状の1つとしての不眠もあります。いずれにせよ、起きたときにトイレにちょっと行きたい程度であれば、無視して、もう1回寝てしまいましょう。ここでトイレに行ってしまうと、目が覚めたらトイレに行くことが習慣になってしまいます。我慢できるなら我慢するのは、膀胱訓練。しっかり尿をためられる膀胱にしましょう。

ところで、どのくらいたまってから排尿するのがよいか?という疑問をお持ちの方も多いかと思います。「膀胱に200~300㏄ためてから、排尿するのが理想」というのが答えです。しっかり尿をためられているか気になる人は、100円ショップなどでも買える調理用計量カップを使って、自分の排尿量をチェックしてみましょう。

就寝3時間前から夜間の尿量を増やさない工夫を

夜中に目が覚めてもトイレへ行かずに済ますためには、夜間の尿量を増やさないことも大切です。水分を摂った3時間後には、その8割が尿になります。以前は、「脳梗塞など血栓予防のために夜寝る前にしっかり水分をとったほうがいい」と言われていたこともありますが、近年は「かえって夜間頻尿や睡眠障害につながる」とも言われています。就寝3時間前ぐらいから水分摂取はほどほどにしましょう。

頻尿に悩まされている場合は、アルコールやカフェインなど利尿作用のある飲み物にも注意しましょう。コーヒー、紅茶はもちろん、緑茶やウーロン茶、ほうじ茶にもカフェインは含まれます。患者さんの中には、「夜に緑茶を飲むのをやめたら、朝まで起きなくなりました」という方もいます。

緑茶など利尿作用のある飲み物は寝る前に摂らないように

骨盤底筋トレーニングは一生ものです

途中でトイレに起きることなく、朝まで熟睡。起きたら膀胱に尿がたまっているから、トイレに行く…これが本来の健康な状態です。就寝中にモレるのが不安だから、夜中に目が覚めたらトイレに行くという人は、過去に尿もれ経験があるからかもしれませんね。
例えば、朝、布団から体を起こした拍子にモレちゃった!ということであれば、それは腹圧性尿失禁の可能性あり。膀胱や尿道を支えている骨盤底筋が弱っているから、ちょっと腹圧がかかっただけで尿道が開いてしまうのです。こういう方は、日中、くしゃみをした拍子やジャンプしたときなどにも、尿もれしやすいでしょう。

女性の場合、骨盤底筋を鍛えることで、頻尿・尿もれを改善することができます。衰えてきた筋肉はトレーニングによって強化することができ、人によってはトレーニング開始後1カ月くらいで、通常は2~3カ月で効果が出てくることが多いでしょう
ただし、トレーニングをやめてしまうと筋肉はすぐ元の状態に戻ってしまいます。骨盤底筋トレーニングは、一生ものです。

骨盤底筋群が健康な場合は、腹圧がかかり膀胱内圧がかかっても、骨盤底筋群が収縮することで尿もれしません。骨盤底筋群がゆるんでいる場合は、腹圧がかかり膀胱内圧がかかると、骨盤底筋群が収縮するものの締める力が弱く、尿もれしてしまいます。

おしっこのトラブルは、骨盤底筋群を鍛えることが大切

今すぐできる対策として、吸水ケア用品を

なお、尿もれがあるようでしたら、尿もれケア専用の吸水ナプキンや吸水ライナーを使用するのもよいでしょう。抵抗のある方もいるでしょうが、使うことによるメリットが大きいと思います。尿もれケア専用品を上手に使いながら、水分摂取の仕方や骨盤底筋トレーニングをしっかり続けて頻尿の根本的改善を目指しましょう。

おりものシートと同じくらいの超薄型の吸水ライナー。
こんなに薄くても、尿もれケア専用品ならではの安心感が。

夜間のトイレ回数が多い場合は過活動膀胱かも

夜間頻尿の場合は、糖尿病など何らかの病気が関係していることもあれば、尿が十分にたまっていないのに膀胱が勝手に収縮してしまう過活動膀胱が原因のことも。夜間にトイレへ行く回数が多い方は、泌尿器科を受診し、適切な治療を行うことが大切です。

こんな場合は過活動膀胱かも…

  •  突然、我慢できないほどの尿意に襲われる
  •  トイレに駆け込んでも、間に合わずモレてしまうことがある
  •  1日に何度もトイレに行きたくなる
  •  夜間に1回以上、トイレに行きたくて起きる

夜間頻尿の原因が過活動膀胱の場合は、泌尿器科で治療することで、改善が期待できます。治療には膀胱の収縮を抑える薬などを使用するとともに、骨盤底筋トレーニングや膀胱訓練、水分コントロールなどの指導を行います。
また、過活動膀胱の症状には波があり、「昨日は3時間トイレに行かなくても大丈夫だったのに、今日はさっき行ったばかりなのに我慢できない尿意が起こる」ということも。一度治療で治まったのに、寒い季節になって再発するということもあります。過活動膀胱は症状の波に合わせてうまく付き合っていくことが必要です。

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女性ウロケアのスペシャリスト

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女性泌尿器科医師
佐藤 亜耶 先生
自由が丘ウロケアクリニック院長

日本泌尿器科学会認定専門医、医学博士。日本大学医学部卒業後、研修医を経て同大学泌尿器科に入局。以降、関連病院で診療経験を積み、2019年に女性泌尿器科・小児泌尿器科に特化した自由が丘ウロケアクリニック開院。日本泌尿器科学会、小児泌尿器科学会、女性骨盤底医学学会、日本夜尿症学会所属。

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