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お悩み相談室 Q&A

Q.出産経験がないのに尿もれがあるのはおかしい?偏見にモヤモヤします

2023.08.31

未婚/出産経験なしの40代ですが、尿もれが気になっています。ネットの記事などでは『尿もれは出産経験がある人に多い症状』と書かれており、「自分は子どもを産んでいないのに?」と思うと人にも相談できず、対策しようという気になれません。偏見がなくなるようにしてほしいという、このモヤモヤした気持ちをどうしたらいいでしょうか。(40代女性/N.Yさん)

A.出産経験があってもなくても、尿もれが気になっていたら対策を。モヤモヤとした気持ちは、心のケアもしていきましょう

及川 夕子 さんの写真

<回答したスペシャリスト>
メノポーズ(更年期)カウンセラー、医療ライター・ 及川夕子さん

尿もれは、出産経験がなくても起こりうる

日々暮らしていると、モヤモヤすることってたくさんありますね。
N.Yさんは、現在尿もれが気になっていて、対策が必要なことはわかっていらっしゃる。でも『出産経験がある人に多い』というフレーズが心に引っかかっているのですね。そして、子どもを産まなくても尿もれが気になる人はいるのだということを知ってほしい。そんな気持ちが伝わってきました。

出産経験者は尿もれの発症率が高いというのは事実ですが、実は出産経験がなくても、またどの年代でも多くの女性が尿もれを経験します。体の構造として女性は尿道が短いため、そもそも尿もれが起こりやすい。もう〝女性なら誰でも〟といっていいくらい身近な症状です。出産経験者だけの悩みでもなければ、年齢を重ねた人だけの症状とも限りません。

今回のご相談は、「N.Yさんが嫌な気持ちになった」ことに目を向けることも大切じゃないかな。そんな気がしました。

心の傷は放っておかない方がいい

今の日本は、国も自治体も企業も、妊活や子育て支援を充実させようと様々な施策を推進しています。少子化対策は社会にとって大事なことですが、一方で、独身者や子どものいない人にとっては、生きにくさや疎外感を感じることがあるかもしれません。

トラウマになる出来事って、実は日常にたくさんあふれています。事故や暴力に遭うこと、心ない他人の言動やひどい誹謗中傷を受けること、職場でのストレス、ハラスメント、異動や降格、仲間はずれ、悔しさや孤独感を感じる出来事も・・・

体の傷とは違って、心の傷は目に見えません。普段はなんでもないように過ごしていても、過去に心の傷になるような出来事を体験していると、ふとしたときに思い出してストレスを感じたり、つらくなったりします。自分が傷いた言葉や、過去に受けた傷の記憶、似たような嫌なできごとに敏感になり、ちょっとしたことに過剰反応してしまうこともあります。それらは、治っていない傷に、塩を塗るようなものだからです。

人は誰でも健康で幸せに生きる権利があり、安心して生きる権利があります。人生の選択は自由で、人と違っていても堂々としていていいのです。ただし、心がケガを負っているなら手当てが必要ですよね。心を楽にする方法がいくつかあるので、よかったら試してみませんか。

モヤモヤがつのるときに、心をケアする4つの方法

方法1:心の傷に気づく

N.Yさんの心の痛みは、N.Yさんにしかわからない主観的なものです。普段は心にフタをして忘れているけれど、ふとした瞬間にでてくるような古傷のような痛みもあります。

心がモヤモヤしたり、ズキズキしたりするときには、何が起きているのか、自分の心と向き合ってみます。「その言葉(あるいはこの場所、誰かの振る舞いなど)が、私には嫌なんだ。傷つくんだ」と、紙に書き出してアウトプットしてもいいですね。心の傷に気づくことで、次の手当や回復のステップへと踏み出すことができます。

方法2:しんどいときは世間から離れる

社会が押し付けてくる多数の意見やこうあるべきというイメージに当てはまらないことで苦しくなることって、少なくないと思います。そんなときはニュースやネット記事をしばらく見ないで過ごすのもあり。美味しいものを食べて、たっぷり眠ったら、世の中の多数の声と、自分が選んできた人生が一致しなくても、困ることってあんまりないな、と気づくことができるかも。とにかく、自分の人生を楽しむことに集中しましょう

方法3:誰かに話す

いまのN.Yさんには、安心して心のうちを話すことができ、肯定的な態度で聞いてもらえる場所があるといいかもしれません。孤独感や生きづらさを感じたら、N.Yさんをありのままに受け止めてくれる友人など信頼できる人に話を聞いてもらうのです。

1つ注意点があり、「気にしすぎだよ」「そんなこと気にしなくてもいいじゃない?」とジャッジしてくるような人には相談しないことです。かえって嫌な気持ちが募る可能性が大きいですから。周囲に相談できそうな人がいなかったら、カウンセラーに聞いてもらうのでもいいでしょう。

方法4:ないものではなく「あるものに」、できないことより「できること」に目を向ける

他人にはあって自分にないものや、できないことばかり気にしてしまうことってありますよね。でもそれは目に見えている部分だけのことで、他の人だって見えない部分で苦労しているかもしれません。人の自尊感情はその時々で上がったり下がったりするもの。自尊感情を回復するには、できるだけ具体的に「自分にあるもの」や「自分ができていること」に目を向けるようにしましょう

例えば、仕事がある、電車に乗れる、住む場所がある、健康である、毎月お給料を稼ぐことができる、大切な友達がいる、弱音を吐ける、誰かの力を借りることができる、お気に入りの場所がある、美味しいご飯を作れる、“推し”がいる、など・・・
自分も色々頑張ってきたなあと振り返るきっかけにもなり、自分を信じる力が湧いてくると思います。

自分を大切に。人生を楽しみましょう

今回「偏見がなくなるようにしてほしい」という想いを伝えてくださったN.Yさんは、様々な立場にある人たちの気持ちに寄り添うことができる優しい方だなと思いました。

「出産経験があってもなくても、尿もれが気になっていたら対策を」ということは、改めて強調しておきたいと思います。ゆるんだ骨盤底筋はトレーニングで鍛えなおすことができますし、外出時の尿もれの不快感は、吸水パッドなどの便利アイテムで快適にしていけます。日々のモヤモヤや不快感はできるだけ取り払うようにして、人生を楽しみましょう。モヤモヤするときほど、意識的に「自分を大切にする」ことをお勧めしたいです

心穏やかな日々が戻りますよう願っています。

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フェムケアのスペシャリスト

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メノポーズ(更年期)カウンセラー、医療ライター
及川 夕子 さん

新聞社勤務を経て独立。新聞・雑誌、WEBメディアなどで企画、編集、執筆を手がける。近年は女性の健康、更年期のヘルスケア、貧困、性暴力、ジェンダーといった女性の社会課題、HPVワクチンなど医療分野の取材、執筆を中心に精力的に活動。著書に『365日機嫌のいいカラダでいたい。現代を生きる私たちのヘルスケア・アップデートブック』他。メノポーズカウンセラー(更年期と加齢のヘルスケア学会認定)、女性の健康推進員(女性の健康とメノポーズ協会認定)

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