シャンプーのきざみができるまで

シャンプーの容器にギザギザ状のきざみがついているのをご存知でしょうか?このきざみは、触っただけでシャンプーとリンスを区別できるようにつけられたものです。目の不自由な方だけでなく、目をつぶって髪を洗う時に誰でも区別がつきます。きざみ入り容器は次のように誕生しました。

消費者の声から (1989年)

「シャンプーとリンスの容器が同じで紛らわしい。形を変えて欲しい!」
「洗髪時、目をつぶっていても区別がつくといい。」
「目が不自由なので容器に工夫をしてほしい。」
毎年数件ずつ消費者相談窓口に寄せられるこのような要望を反映し、商品をよりよくするための容器研究が始まりました。

誤使用の実態、消費者の認識を調査(1990年)

誤使用の実態調査では、約6割の人が洗髪の時、シャンプーとリンスを間違えたことがあると回答しました。

Q:洗髪時、シャンプーとリンスを間違えたことがありますか?

市販品を用いた消費者の認識調査では、「シャンプーは背が高くスマートだ」「シャンプーは背が低く安定している」という相反する2つの認識が存在することがわかりました。

盲学校訪問調査(1991年)

お寄せいただいた声の中に目の不自由な方が数名いらっしゃったことから、盲学校の訪問調査を行ないました。

洗髪の時は、おもに触覚と位置で識別、さまざまな工夫をされていました。

  • 点字を刻印したダイモのテープを貼っておく。
  • ボトルに輪ゴムを巻いておく。
  • 同じ形の容器を使わない。
  • 家族全員が容器の置き場所を動かさない。 など

識別方法の探索(1990年~1991年)

こうした一連の調査結果より、「触ってわかる、新しい基準」の識別方法をさぐることになりました。質感の違い、凸マークによるものなど、さまざまな識別方法を試作・検討しました。最終的に、誰もが触ってわかりやすいように、またデザイン的にも完成度が高い「きざみ入り容器」を選定しました。

<容器肩部に凸点>

<容器正面にレリーフ>

<側面に凸パターン>

実用新案の出願(1991年7月)

きざみ部分によって触覚で識別できること、また、きざみを容器側面の中心線よりやや後ろに縦に入れることによって、正面からの美観を損ねず、印刷などの加工を阻害しないという特長を理由に、「きざみ入り容器」の実用新案を出願しました。

識別商品第1号発売から普及まで

1991年10月、ギザギザのついたシャンプーが市場に初登場しました。

業界全体へのはたらきかけ

次に、花王はシャンプー容器にきざみを入れるということが、業界で統一していないと消費者が混乱してしまうと考えました。そこで、実用新案の申請を取り下げ、シャンプーのきざみが業界統一のものとなるよう日本化粧品工業連合会を通じて業界各社にはたらきかけました。その結果、現在では業界各社の賛同を得て、ほとんどのシャンプーに「きざみ」がつくようになりました。

消費者の皆さまからは、喜びや感謝の気持ちを伝える声をたくさんいただきました。

  • 使う身になって考えられていて本当によい。
  • 目が不自由なので大変便利。
  • 目の不自由な人への配慮か?すごく感激した。
  • 間違えたことがあり、今後安心して使える。
  • 主人が数年前に失明。シャンプーのきざみが便利。アイデアに感謝。

きざみ入り容器の開発には、容器の金型が2倍必要になるなどコストの問題もありました。しかし、消費者の皆さまのご要望をベースに、調査に協力してくださった方、容器メーカー、業界各社など、多くの協力によって実現しました。

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