トップメッセージ

強くてしなやかな新生花王への変貌を急ぐ

花王株式会社 代表取締役 社長執行役員 長谷部佳宏です。
2023年に入っても混沌とした世界情勢が続いています。2020年から起きたパンデミックをはじめ、世界の人々は多くの困難に晒され、地球という限られた空間に存在する私たちがいかに密接につながっているかを知らされたのではないでしょうか。私たちの暮らしの土台は、人々が不安なく毎日を過ごせる環境にあるはずです。そして、今だからこそ、明るい笑顔で生活できることの大切さを感じている人たちは少なくないはずです。このような混迷の時代だからこそ、花王は「豊かな共生世界の実現」というパーパスのもと、「未来のいのちを守る~Sustainability as the only path」をビジョンに掲げ、事業改革を推進しています。

原材料高騰や為替の変動、デジタル化や脱炭素化の加速といった外的因子の影響の中、再び成長路線に戻すために、改革のスピードをさらに加速させていきます。まずは、稼ぐ力を最大化するEVA経営の深化です。そのために事業を特性に基づいて分類し、戦略を変えていきます。そして、すべての事業はESG視点を必須とします。なぜならば、社会における未来の存在価値を高めず、短期的な経済性のみの追求では、決して人々や社会が応援する事業にならないからです。これらの方針のもと、既存の事業の再生(Reborn Kao)と、未来の成長エンジンとなる新事業の創成(Another Kao)を両利きで進めていきます。このふたつの事業群に共通する方針は、独創的な技術を根幹に据えてグローバル発展をめざすことであり、ゆえに両者をスパイラルアップさせる構想の実現が可能です。

Reborn Kaoにおいては、最小限の消費で最大限の価値を実現するための「ESG視点でのよきモノづくり」を基軸に、カテゴリーリーディングブランドを強化するためのメリハリある投資を実行すると共に、DXによるお客さまとの絆を重視するロイヤリティ・マーケティングへのシフトを進めています。グローバル化に関しては、競争に巻き込まれにくいオンリーワン価値を追求すると共に、現地製造を基本とした地産地消モデルへの転換に引き続き取り組んでいきます。
Another Kaoは、今までの花王がやらなかったこと、やれなかったことをテーマにしており、その目標は「未来への5つの約束」です。志を同じくする多くのパートナーとの協業を通じて、既にいくつかの新しい事業も始まっています。2023年度は、これらを強いビジネスに育成すると共に、新たなビジネスでの社会への貢献を加速していきます。

花王は、消費を前提としたモノづくりから、資源を循環させるモノづくりへと変革していきます。「数」と「量」の線形型経済から、「質」と「絆」の循環型経済への移行です。そのために、発展する循環型のビジネスモデルの構築をめざします。2023年度も厳しい環境の中での事業改革になると予想されます。しかし、この混沌を意識改革の好機と捉え、花王グループ社員の活力を最大化し、強くてしなやかな新生花王への変貌を急ぎます。

2023年8月
花王株式会社
代表取締役 社長執行役員

長谷部 佳宏

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