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あの人と“いっしょにeco(エコ)”

Interview Vol.3 四代目・江戸家猫八さん/タレント 何がきっかけでもいい。まず、野山へ出かけよう!“ちょうどいい”エコ生活を自然から学ぶ

鳥、カエル、虫の音と、さまざまな生きものの声帯模写(ものまね)で人々を魅了する、四代目・江戸家猫八さん。右手の小指をくわえてさえずるウグイスや、両手のこぶしを巧みに使って鳴くカエルは、祖父の代から受け継ぐ十八番の伝統芸で、世界で唯一、江戸家が継承する芸なのです。その名乗りのとおりの粋な江戸っ子気質で披露する、多彩な生きものの鳴きまねは、それを耳にした小さな子どもからお年寄りまで、すべての人を豊かな大自然に連れ出してくれます。自然環境やごみ問題、生物多様性を守る活動(地球いきもの応援団)にも積極的に取り組まれ、ものまねと自然をテーマにした講演会も全国で展開。そんな猫八さんが考えるエコについてうかがいました。

鳥のさえずりひとつが、野山全体の自然まで教えてくれる

鳴きまねに興味を持ったのは、小学校に上がる前の4、5歳の頃。親父がやっているのを見て非常に強いインパクトを受けまして、「これはすごい」と、非常に魅力を感じました。「僕もやりたい」と言うと、親父が、「無理に継ぐことはないんだよ。この仕事は好きでないと続かないからね。でも、お前が自分からやりたいと言うなら、俺はうれしいよ」と言ってくれたのを今もハッキリと覚えています。自分から意欲的に練習した最初の動物は、カエルでしたね。犬や猫の鳴きまねは簡単に想像がつくけれど、親父のやっているカエルの鳴きまねがおもしろくて、あんなふうに自分もやってみたいと思いました。「教えて」と頼むと、親父は、右手を拳固にして口の前に持っていき、左手を合わせて、楽器のようにして音を出す技術を、それこそ、手を取りながら教えてくれました。うれしかったですね。その光景を昨日のことのように鮮やかに思い出します。親父から習ったのは一度きりで、あとは一生懸命に自主練習をしましたね。

「猫八といえば、ウグイス」と、祖父の代から受け継ぐ十八番の芸をすぐに連想していただけるのは、ありがたいことです。このウグイスをはじめ、オオルリやキビタキといった、珍しい鳥の鳴き声をステージでさえずると、お客さまの反応が2とおりあるのが、表情からわかるんです。まず、懐かしんでおられるお客さまです。「いいもんだなぁ」「うちの田舎でも鳴いていたなぁ」と。鳥の鳴きまねには、故郷を思い出させる効果があるんですね。それともうひとつは「へぇ~、そんな鳥もいるんだ!」と、新たな発見に目をキラキラさせるお客さま。客席にいながら、野山で野鳥に出会ったかのような驚きの表情です。大学で環境を学ぶ学生さんに向けて講義することもあるんですが、講義後のレポートに、「こんなに鳥がいることも知らないし、ましてその鳴き声なんてまったく聞いたこともなかった」「野山に出て実際の声を聞きたくなった」と書いてあったりすると、この講義をしてよかったなぁって思うんですよ。声がきれいだな、鳥はかわいいな、という気持ちが、自然を慈しみ、自然環境に興味を持つひとつのきっかけになっていく。教室での勉強ばかりでなく、野山で学べることも、たくさんあると思います。あの鳥はどこに住んでいるんだろう?どんなえさを食べているんだろう?と、興味はどんどん広がる。一羽の鳥のさえずりが、山じゅうの生態系まで想いをめぐらせるきっかけとなるんです。

“相変わらず”居心地のいい場所であり続ける、ということの大切さ

ここ10数年で、野鳥のレパートリーを少しずつ増やしてきました。趣味とも仕事とも言えるバードウォッチングを続けてきて、多くの野鳥たちと出会ってきたんです。あんなにきれいな声で鳴く鳥たちが、地球にはまだまだたくさんいるってことを、鳴きまねで紹介していきたいんですよ。皆さんにそれを知ってもらうことで、鳥たちに恩返しがしたい。さしずめ僕は野鳥のプロモーターです(笑)。

毎年必ず出かけるのは、野鳥観察がしやすいところだと、日光や、長野の戸隠。それと島にもよく行きます。三宅島、奄美大島、西表島、山形の飛島、北海道の天売島などです。こうした島に行きますと、島の常連の鳥たちがいるのが楽しいですね。日本海の島は渡り鳥が通過していくので、これがまた醍醐味。ふだんはなかなか見られない渡り鳥が、電線にズラーッと止まっているんです。渡り鳥は気候に左右されるので、タイミングも運。昨日までいなかった鳥が、翌日窓を開けるとたくさんいたとか、その逆もあります。僕はまだバードウォッチング歴は20年そこそこですが、もっと長い先輩方に聞くと、「最近、すこ~し渡り鳥の数が減ってきたかな」と、おっしゃっていました。僕も今年は石川の舳倉島に行きましたが…、うーん! もうちょっといてもいいかなって、思いましたね。鳥との遭遇率が下がったような、やっとこさオオルリを見たよ! という感じが残念でしてね。あと、島固有の鳥は、「ここが気に入ってるんだ」とばかりで、そんな鳥たちの表情は満足げに見えるんです。渡り鳥をまねて、たまには旅に出てもいいんじゃない? とこっちは思わなくもないけど、「ここが相変わらず居心地がいいんだから、ほかにはいかないよ」なんて決め込んでいるようで・・・(笑)。そんなふうに考えたりするのも、バードウォッチングの楽しみですね。

そういった自然が残る場所に行くと、“相変わらず”居心地のいい場所であり続けるということがいかに大切か、ということを改めて感じます。そして、その居心地のよさを守るためには、外から余計なお世話をし過ぎないことも大事じゃないかとも思います。人間の日常の話になるんですけど、たとえば、用が済むと勝手に水が流れるトイレの自動洗浄。あれ、余計なお世話じゃないですか?(笑) だって、便は健康のバロメーターだから、自分の目でちゃんと見て確認し、それからお別れの言葉をかけて、僕は自分の手で見送りたい。それなのに勝手に流れてしまうと、自分の健康の変化を見逃しかねないでしょ。便利であることはすばらしい、でも、便利過ぎると、時として、人間をなまけ者にしてしまう気もします。ほかにもありますよね、ボタンひとつで何でもできちゃうように、便利に電化、機械化されていることや、コンピューター任せのこと。確かにありがたいこともたくさんありますが、何でも便利づくめにしないで、少しくらい不便でもいいじゃないですか。ちょっと不便だと、人間は知恵をしぼって頑張るし、今ある物事に感謝できるようになりますし。改めて、“相変わらず”であることのありがたみが身に染みますもんね。

謙虚な気持ちで、自分にちょうどいいエコ生活を!

僕が野山を歩いて学んだのは、地球上に生きている生きものたちの、何とも言えない謙虚さです。必要なだけの食物を食べて、木々に巣をつくり、食物連鎖の中に身をおいて生きている。そんな命の謙虚さを、人間の僕らも思い出せるようになれば、ぜいたくをし過ぎない、ちょうどいい豊かさを知り、生きていけるのではないかと思います。ルールや条例で縛るより、楽しく野に出て動物たちから学んだほうが、長く前向きに取り組めると思いませんか?

江戸っ子の学問というのがありまして、僕ら「江戸家」を名乗ってるくらいですから、非常に興味があるんです。あの頃の人は余分なお金は取らなかったんだそうです。聞いた話だと、江戸の職人さんたちはどっさりもらえば返すんですって。すばらしい仕事をしてくださったんだから納めてくださいと言われても、「こんなにもらっちゃ困ります。この半分で十分です」と、約束の分だけもらって余分なお金は取らない。もしかしたら話半分かもしれませんけど(笑)、それって、いいじゃないですか! 粋ですよね。これは江戸っ子ばかりではありません。昔の人たちは余分なものは取らずに必要な分だけを使っていた。そして、もしゆとりがあったら、足りないところに回す。この発想は、現代にもおおいに参考になるんじゃないですか。たとえばエネルギー問題にしても、独り占めやぜいたくに走らず、みんながちょうどよくムダなく使おう、そんな気持ちにまずなることが、賢いエコ活動につながる。それが、“相変わらず”居心地のいい地球でいられる基本かもしれませんね。

わが家の自慢は、食べ残しがなく、食事のあとにはお皿や器だけしか残らないということ。そこには大変な努力がありまして、まずは、女房がちょうどいい分量でつくってくれるんです。食べ残さないと同時に、生産抑制をするんですね。ごみ問題は非常に深刻ですが、とくに生ごみの問題は、毎日のテーブルでも意識できるんですよ。それから、お風呂の浴槽の湯は、最初は少なめに入れておき、シャンプーしながら、お湯を使わない時はシャワーを浴槽に突っ込み、湯をムダにしないようにしています。お米一粒、水一滴たりともムダにしないための、ちょっとした工夫が大切だと思っています。

四代目・江戸家猫八さんのいっしょにeco 「地球の生きもの達といっしょにeco」、野に出ていっしょに学びませんか!

自然界には余分なものはなく、動物も草木も頑張って生きています。自然界はある意味で人間界より厳しいから、みんな生きることに一生懸命なんですね。そんな自然から、僕たち人間も、自分にできることを一つでも二つでも学びたい。その入り口になれたら、と僕は鳥をさえずります。鳥の声っていいもんだなって思ってくれて、さらに自然や地球へと思いを馳せてくれたなら、とてもうれしいです。地球上の自然の中で、誰もがちょうどよく生きられるといいですね。

プロフィール

四代目・江戸家猫八さん/タレント
1949年東京都生まれ。’59年に10歳でテレビ初出演。玉川学園卒業後、父の三代目・猫八に弟子入りして、伝統のものまねの修業を積む。’72年落語協会加入、寄席に出演。主な受賞に、’81年放送演芸大賞、’90年ベストファーザー賞、2004年文化庁芸術祭優秀賞。自然環境とものまねを合わせた講演会や講義の開催、地球いきもの応援団所属など、環境問題にも尽力。2009年10月20日に四代目・猫八を襲名。先代から、生前、「俺が88歳になったらお前が猫八になれ。俺は八十八(やそはち)を名乗るから」と言われていたことから、先代が存命なら88歳の同年に、自らも還暦を迎えて襲名を決意。2011年3月、長男が二代目・江戸家小猫を襲名。

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