第8回コンテスト(2017年)

花王グループでは、世界の子どもたちに、身近な生活のエコと地球の環境・未来について真剣に考え、絵画として表現してもらい、それを多くの人たちに伝えることで、世界中の人々が暮らしの中で環境を考えて行動するきっかけとなることを願い、2010年からこのコンテストを実施しています。

8回目となる今回は、世界41カ国・地域の子どもたちから11,048点のご応募をいただきました。その中から厳正な審査により選ばれた入賞作品を、子どもたちのそれぞれの作品に込めたメッセージと共にご紹介します。

審査風景・審査員の総評・第8回コンテスト表彰式の様子はこちらからご覧いただけます。

受賞作品のご紹介

“いっしょにeco” 地球大賞

「きれいな澄んだ水のために一つになろう!」
Suriya Patoomwanさん
(8歳/タイ)

絵に込めた思い

私たちの村には池が1つあります。村の人たちはその池に生ごみを捨てています。がらくたを投げ入れる人もいます。そういう姿を見るたびに、私は悲しくなります。私は、ごみを池に投げ入れてほしくありません。村では、料理やお風呂、植物への水やりなどにその池の水を使わなくてはなりません。そういう気持ちを込めて、子どもが小舟に乗って生ごみを集める絵を描きました。水をきれいに保つためには、みんなの協力が必要だということを伝えるためです。水がきれいだと海藻の量が増え、魚やカニなどが水中で幸せに暮らすことができます。どこにいても飲料水が飲めます。くつろげる場所になります。私たちの体を健康に保つことができます。

審査員講評

水上のごみを拾うと蒼く美しい水面が現れ、魚が集まってくるという非常にユニークな構成だ。「きれいな水を今ならまだ取り戻せるよ」というメッセージが伝わってくる。清掃という具体的行為が作品にインパクトを持たせている。一つの船で行なう共同作業はコミュニティを表わしているかのようで、皆で協力し合って取り組むというタイ人の国民性がよく表現されている。水色の濃淡が美しい色使いも印象深く、動画を見ているようだ。

“いっしょにeco” 花王賞

「世界を変えよう!」
Alexandra Teodorescuさん
(12歳/ルーマニア)

絵に込めた思い

人々の中には世界を変えたいと強く思っている人がいるということを伝える絵です。
少女とその妹がよりよい世界を願っているのに、その願いがかなっていないことを絵で表そうと思いました。少女はエコ・ボランティアになることで世界を変えようとしたのですが、うまくいきませんでした。これは、「人間は変わらなければならない」ということを伝える警告です。

審査員講評

中心に描かれた樹木は地図か地球そのものだろうか。人や動物、自然との共存を細密に描いた世界から環境保全への強い思いが伝わってくる。木を取り囲むように並べられた畑では種まきや植栽が行なわれている。それぞれの畑の上に広がる夢や未来図は緑や人々の笑顔にあふれ、空や宇宙の色彩が美しい。ミクロとマクロが一体になった不思議な世界感を楽しませてくれる。発想力と想像力が光る作品だ。

「美しい自然を守るきれいな手」
Evgeni Bogdanov Dimitrovさん
(9歳/ブルガリア)

絵に込めた思い

この絵では、生命を表すものとして木を描きました。2本の手を木の幹にみたてて描き、その指を木の根として表現しました。その手は網を使って、汚れた海で苦しんでいる魚を救おうとしています。海から救出された魚は、きれいな水にあふれた樹冠へと運ばれます。海の水がきれいになって海に戻れるようになるまで、魚は安全な場所にとどまります。木が魚の命を守っているように、一人ひとりが自然を守る必要があります。魚と同じような状況に私たちもいつかなる可能性があるからです。

審査員講評

ブルガリアからの応募は物語の挿絵のような絵が多いが、今年はメッセージ性のある作品が届いた。テーブルに置かれたこの作品を最初は日本人の感覚で魚を左向きにして見てしまったが、右向きに泳いでいる。天地を返すと葉や樹木は水の中を泳ぐ魚と天を仰ぐ手のように見え、青のグラデーション部分は水から空になるなど、だまし絵のよう。見れば見るほど不思議な絵だ。魚を紫に、魚に見立てた葉の背景をグレーにする色使いもすばらしい。

「美しい自然の中にある幸せ」
Ganniga Sook-Saiさん
(14歳/タイ)

絵に込めた思い

環境や自然は私たちの住む世界や人間にとって有益です。その環境や自然とうまく付き合っていくためには、この世界の豊かさを永遠に維持する責任が私たちにはあります。
みんなで幸せに暮らし、天然資源を活用し、エネルギーとしての天然資源の価値を理解することが、この世界がつくり出すパワーとなります。

審査員講評

明るい兆しを思わせるスポットライトを当てたような中庭で、少女たちが祈りを捧げている。さまざまな植物が実る木の上半分のオレンジ色は明るい未来や希望を、下半分の青色は水=命の源を現わしているのだろうか。豊穣の世界を囲むように並ぶ植栽をしている人たちの、主張しすぎない描き方が絶妙である。はっきりとした色彩で描写された中心と、繊細なタッチで描かれた周辺とのコントラストもすばらしい。

「母なる地球を解放しよう」
Kin Gi Lauさん
(11歳/香港)

絵に込めた思い

「環境にやさしい(エコ・フレンドリー)」という言葉は、大切な地球環境を守るために何かをするということを示す言葉です。そこで、このメッセージを絵で伝えようと思いました。大きな木の枝には、地球環境を守るために何かを行なっている人たちの姿を描いています。でも、この絵のポイントは下の部分になります。木の根が描かれている部分です。この木の根が表しているのは、私たちの住む地球を困らせる迷路のように入り組んだ公害を解消するための人々の取り組みです。

審査員講評

木や花、文字などのモチーフを使い、難しく考えがちな環境問題を楽しい物語風に描いているのが印象的。自分の目に映るシーンを散文的に集め、しっかりした構図で巧みにコラージュしている。人間を上手に取り入れており、未来を感じさせる作品。地球をテーマにしながらもその姿を地下に描くところが、地球全体に目を向けずに目先の環境保全に取り組むわれわれの環境に対する姿勢を指摘しているようで、ハッとさせられる。

「海の中で」
Nurinsyirah Imnani Mohd Harithさん
(15歳/マレーシア)

絵に込めた思い

この絵は、石油汚染や、無責任な人々が海に投げ入れた生ごみのせいで死んだクジラの悲しい話を描いたものです。クジラはそのごみを食べ、海面が石油で汚染されたために息ができなくなりました。海を巨大なごみ箱のように扱い、生ごみを捨て続けた結果をこの絵は表しています。一人ひとりがそれぞれの役割を果たして、汚染されていない、きれいな海を保つ必要があります。石油会社は石油を流出させてはいけません。生ごみはごみ箱に捨てて、きちんと処分してください。

審査員講評

クジラの胃の中から人間が投棄したプラスチックの袋や破片が大量に見つかったという衝撃のニュースが今年北欧から伝えられたが、この作品はそのクジラを描いたのだろうか。一見すると模様のように見える腹の部分にはさまざまな廃棄物が線画で描かれている。蛍光の紫、黒、深い青という色使いとシンプルな構図、環境汚染の深刻さを伝える強いメッセージ性が合わさって非常にインパクトのある作品となっている。

「花たち」
Polina Zababurinaさん
(6歳/ロシア)

絵に込めた思い

花はきれいです。花は生きています。呼吸をしています。虫たちの食料の泉です。こういう考えが、絵のインスピレーションになりました。花は虫に食料となる蜜を与え、虫は花粉を運びます。花と虫は生きるためにお互いに相手を利用しています。同じように、自然や都市や人間はお互いに依存しています。きれいな空気を保ち、都市を住みやすい場所にするためには自然が必要です。自然には、その豊かさを守るための土地や人が必要です。人も自然から食べ物や生地をもらいます。
だから、私たちはお互いに依存しながら自然と穏やかに共存する必要があるのです。

審査員講評

芝生から咲いた花の上に家や風車が載っていたり、昆虫がいたり。独特な発想と子どもらしい世界観がうまく合わさって表現されている。物事を俯瞰(ふかん)して見る子どもたちが多い中で、人工的なものと植物を同じレベルで描くという自分の目線を大切にすることで、未来を想起させる強い力が生まれた。空を背景にするのではなく、茶色を塗ったところがユニーク。難しい画材に挑戦して背景を描いたことで、絵に深みが増している。

「緑の中に住む」
藤田 汐海さん
(15歳/日本)

絵に込めた思い

私たちはいつも自分たちの世界と自然を分けて考えています。そうして自分たちの生活を優先するあまり、知らないうちに自然を破壊しているのではないでしょうか。しかし、緑は人間にとってなくてはならないものです。私たちは緑と共存する方法を考えていく必要があります。

審査員講評

建ち並ぶビルの屋上で女の子が緑化未来図を広げているという発想がおもしろく、何人もの同志を画面の中に点在させた構成力もすばらしい。エコのメッセージを伝えているのだろう。ビルを黄色とグレーのみで描くなど色彩の使い方も上手。工場の煙に水をかけて森を守りながら屋上に植栽して緑を増やしていくというプロセス。一つひとつを確実に成し遂げていこうとする使命感や責任感、環境保全の美しい思いが浮かんでくる不思議な作品だ。

「おばあちゃんのすてきな部屋」
Zahra Gharibiさん
(14歳/イラン)

絵に込めた思い

私は自然が大好きです。自然のすばらしさを見ているとうれしくなります。自然は私に平和と安らぎをくれるからです。この絵を描いて、自分の考えを説明したいと思いました。
『自然と調和するには、自然を家に招待して仲良くなり、家中の窓やドアを開けて、世界全体が自然と自然の美しさに敬意を払わないとだめなんだよ』と、私のおばあちゃんは教えてくれました。おばあちゃんの部屋には自然の美しさが詰まっています。おばあちゃんは夢を込めて編み、それを人にプレゼントしています。
私の願いは、むかしの人々の信仰を今の子どもたちの生活に結び付けることです。そうすれば、今の世代も、常に心の中に自然と友だちになるという平和な気持ちを持つことができます。

審査員講評

シンプルなストーリーの中で、室内と室外の対比が上手に描かれている。外は薄暗く、建物の煙突から煙が出ていて寂しさを感じさせるが、室内は鳥や太陽が描かれたカーテンや絵画、緑のパターンの壁紙、動物柄の編み物に囲まれ、明るくぬくもりに満ちている。暮らしにもっと自然を取り入れようと呼びかける一方、窓の外の世界が現実の世界とならないように警告しているかのよう。やさしさにあふれながらもメッセージ性の強い作品だ。

優秀賞

「ハチさん」
Aleksandra Tomaszek さん
(6歳/ポーランド)

作品講評

緻密な作品が多い中、おおらかな世界観でひときわ個性を放っている。大人びたグレイッシュな色彩と、満面の笑みで仲間と遊ぶ丸々としたハチの対比がすばらしく、シンプルな構成ながら味わい深さがある。

「未来のために地球を守ろう」
Alexia Stefania Stanciuさん
(10歳/ルーマニア)

作品講評

少女のもとに集まった動物たちはおだやかにくつろぎ、幻想的な空を蝶や鳥が軽やかに舞う。あえて具体的なメッセージを持たせず、鑑賞者にストーリーの続きを問うているような鋭さが感じられる作品。

「自然を満喫」
Antonio Paladinoさん
(6歳/アルゼンチン)

作品講評

背景のオレンジに補色の緑を合わせた温かみのある色彩の森の中を鳥が舞い、きれいな彩りの車が乗り入れている。家族での思い出を描いたのだろうか。子どもならではの素直な表現が目を引く作品。

「みんなにとって環境は大切」
Asal Mirzaeiさん
(7歳/イラン)

作品講評

輪郭線が際立つ構成でありながら全体が調和しており、世界が一つになることをめざしていることがきちんと伝わってくる。ポジティブに未来や物事をとらえるという素直な感性にあふれた作品。

「使うエネルギーも、出す二酸化炭素も減らして地球を大切に」
Bo Han Wangさん
(6歳/台湾)

作品講評

楽しそうに自転車をこぐ女の子たちの明るい表情やカラフルな色づかいが、見る者をワクワクさせる。環境によい乗り物で遊ぶ子どもたちを天から見下ろす太陽の表情が印象的だ。

「再利用」
I Wayan Amerta Nur Pradnyanaさん
(15歳/インドネシア)

作品講評

ごみの象徴ともいえる空き缶の中から、木が力強く伸びている。相反する二つのものも、私たちの行動次第でうまく共存していけるというメッセージを、高い表現力で訴えていて説得力がある。

「全世界が同じ気持ち、同じ考え」
Iris Yon-En Tsaiさん
(9歳/台湾)

作品講評

環境に配慮した取り組みから悪影響を及ぼす問題まで、さまざまなシーンがカタログのように見事に描かれている。教育的要素に楽しいゲーム感覚を取り込んだような表現がインパクトを高め、目を引く作品に仕上げている。

「いっしょに取り組もう!」
Isabel Bo Wang さん
(12歳/台湾)

作品講評

のどかな風景が広がる地域で、ごみ拾いや植栽といったエコ活動が行なわれている。手前と奥を色で分けて主役であろう人を墨色で描くなど色使いや構成力に優れ、じわりとよさが伝わってくる作品だ。

「鮮やかな色の蝶々が住む森」
Jia Yu Gohさん
(14歳/マレーシア)

作品講評

青と明るい黄色の美しいコントラストが印象的。明暗がはっきりと分かれていて、蝶が光のほうへ向かって飛んでいく描写が明るい未来を示唆している。生き生きとした木々の造形もすばらしい。

「地球にシャワーを」
Lucas Letian Dingさん
(6歳/USA)

作品講評

画面に一部しかおさまらないほど大きな太陽に照らされた、環境によいモチーフや環境を象徴する自然や動物たち。笑っているはずの地球の顔にあるのは涙だろうか。見れば見るほど味わい深い。

「幸せにあふれた世界」
Maria Nectaria Constantinさん
(14歳/ルーマニア)

作品講評

平和の象徴である鳩を囲んで寝転んでいる女の子たちの幸せそうな表情から、環境がきれいになるとこんなに幸せになるよ、という未来へのメッセージが感じられる。

「いっしょに環境を分かち合って、幸せいっぱいの地球に」
Max Masato Middlemiss
(8歳/ニュージーランド)

作品講評

自然や動物と共存する明るい世界が今にも雲におおわれそうで、太陽が泣いている。この深い構成力に驚かされる。ヒマワリの中の細かい描写と外のおおらかな描き方のバランスがよい作品。

「雨の水のしぜん水」
豊野 真弓さん
(6歳/日本)

作品講評

輪郭の中を丁寧に塗る作品が多いなかで、勢いのある描き方が光る作品。水の循環をテーマに描いているが、エモーショナルな感じ、動きや思いの丈があって、豊かな自然水を楽しみたいという純粋な願いが表れている。

「環境との調和を失った私たち」
Md Towsif Rounak さん
(6歳/バングラデシュ)

作品講評

見る者に疑問を投げかけるような表情豊かな鳥と魚の多様なストーリーが潜んでいるようだ。水の中と外の生き物の関係性はどうなっているのだろうか。6歳の子の作品とは思えないほど強い発信力を感じる。

「自然保護を楽しむ」
Orra Ketan Patelさん
(13歳/インド)

作品講評

豊かな緑と澄んだ海が広がる美しい地球を囲む人間たち。皆で水を循環させて環境問題を解決しようという、ポジティブな発想と夢に満ちた作品だ。あふれる笑顔からエコに対する積極的な姿勢が伝わってくる。

「みんなでいっしょにエコ」
Pyae Suu Myat Khinさん
(13歳/ミャンマー)

作品講評

森を再生しようと植樹に取り組む人々の目が一つしかない。一つ目で世界の片側しか見ていないから森が消えて行く。植樹によって再生される森の未来が想像できれば二つの目が揃うと訴えているのだろう。

「さとやまのあき」
坂本 壮さん
(7歳/日本)

作品講評

落ち葉の中で遊ぶという四季のある国ならではの一コマを情感豊かに描き、こういうことをできる自然を大切にしようといっている。笑いながら、ではなく真剣に遊んでいる表情がすばらしい。

「環境を守る思い」
Venuka Lochana Wijebandaraさん
(13歳/スリランカ)

作品講評

15〜19世紀ごろの文化様式を研究し、手の形や模様など独特の表現形式を再現しようと試みている。その子どもながらに真摯な姿勢から、環境に対して意識の高かった当時の精神性を取り戻したいという気持ちが読みとれる。

「私たちの手によってよみがえる自然」
Viola Arielle Suliandyさん
(13歳/インドネシア)

作品講評

ドアの中から出てきた植物が、木に水をやったりごみを拾ったりしている。自然の思いやりに満ちた行動を植物が自ら行なうというファンタジーの世界を、独創的な手法で描いている。

「泣いている海」
Yuan-Ling Linさん
(7歳/台湾)

作品講評

海一面に浮いたごみという重くなりがちなテーマを、青空や白い砂浜、あえてカラフルなごみを効果的に描くことで印象的に表現。人間やビーチパラソルを取り入れることで動きのある作品に仕上がっている。

「大好きな自然」
Yuan Tung Weiさん
(6歳/台湾)

作品講評

まっすぐに伸びる木々は大きな花を咲かせ、その上を軽やかに鳥が飛び交う。躍動感のある画面構成と散りばめられた豊かな色彩から、未来に向けての夢を持っているという確かな思いが伝わってくる。

「みんなでいっしょに海を守ろうよ」
Yu-Ning Shihさん
(8歳/台湾)

作品講評

環境汚染が深刻化するいま、海の暮らしにも希望と大変さの両面があるということを濃淡のある色彩で豊かに表現している。ごみが入った網の周りで笑いを浮かべた魚が、まずはごみをなくそうよと訴えているようだ。

※主催者側の判断により、作品1点の掲載を見合わせました。

審査風景・審査員の総評・第8回コンテスト表彰式の様子はこちらからご覧いただけます。

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