(シミカバー)
「ベースメイクでシミを目立たなくしたいけれど、カバーするほど、かえってシミが目立ってしまう」は多くの女性の悩みです。
そこで、肌上に極細繊維が折り重なった極薄膜を形成する「ファインファイバーテクノロジー」を応用することで、これまでベースメイク化粧料だけでは難しかった、シミ部位の肌の質感や形状の違いを均一化させるアプローチをしました。(図1)花王は、シミ部位は、色差があるだけでなく、キメが乱れており、このためベースメイク化粧料がムラづきしていることを明らかにしています※1。
※1 2018年花王ニュースリリース
https://www.kao.com/jp/corporate/news/rd/2018/20181226-001/
まるでハンモックのように肌にフィットしながら粉体の肌凹部への落ち込みを抑制し、なめらかな塗膜をつくります。(図2)
ベースメイク化粧料に含まれる粉体がファインファイバー膜の細かな隙間にムラなく敷き詰められ定着します。
この肌上の粉体分布制御技術は、第71回コロイドおよび界面化学討論会にて発表し、オンライン優秀講演賞を受賞しました。
この塗膜を用いてシミを隠すメイクをしたところベースメイク化粧料だけの場合と比較して、シミの境目が目立たなくなりました。(図3)
このような化粧膜の状態をより詳細に観察するため、照明パターンを変化させて画像を撮影し、「空間周波数領域イメージング」と言われる手法※2 を用いてベースメイク化粧料の分布状態を算出しました。実験的に頬部の一定領域にベースメイク化粧料を同量塗布し、ファインファイバー膜によるシミカバー技術を施した化粧膜と通常のベースメイク化粧料のみの化粧膜を比較しました。
※2 素肌や化粧肌の光学特性の状態を可視化する方法
この手法を用いると、ベースメイク化粧料を塗布した部分が明るく浮き出るように観察されます。拡大しますと、ファインファイバー膜によるシミカバー技術を施したメイクでは塗布量は同じであるにも関わらず、化粧料の分布がより均一である様子が観察されました。(図4)
これは、ファインファイバー膜の繊維の隙間にベースメイク化粧料がムラなく敷き詰められるためだと考えられます。
通常、ベースメイク化粧料のみの場合、色の差を目立たなくするためにカバー力を上げようとするほど、粉の付着量が増え、素肌よりもキメの乱れが目立つ傾向にあります。一方、ファインファイバー膜があることで、皮溝にベースメイク化粧料がたまったり皮丘との付着量の差が大きくなりムラづきするのを防ぐため、色の差だけでなくキメの乱れも目立たなくすることが可能になりました。(図5)
※3 シミ部位と周辺部の色の差:色の明るさを算出しその差を計算
キメの目立ち度:多重解像度解析(画像の中のムラ成分を大きさごとに分解する手法)を用いて、キメに相当するムラを抽出