イノベーションストーリーズ
世界中で猛威をふるう新型コロナウイルス。日本では緊急事態宣言が解除されたが、今後、第2波が来ることも心配されており、ウイルスの終息まで長期戦となることは必至。
今後はこのウイルスから身を守りながら日常生活を送るという「共生」の道を考える必要がある。
決して予断を許さない日々だが、安全な日常生活を送るうえで、私たちはどこに気をつけておけばいいのか。正しい知識や衛生意識をバランスよく持つことが、今後ますます求められていく──。
まだ衛生という概念が定着していなかった明治時代から、生活を支える“モノづくり”で日本に衛生・清浄文化を浸透させ、多くの社会課題に向き合ってきた花王。
直近では、5月7日に北里大学、埼玉大学発のベンチャー企業とともに、新型コロナウイルスに感染抑制能を有するVHH抗体の取得に成功したと発表した。
花王が総力を挙げて収集し発信している衛生情報から、よりよい「共生」を実現するためのヒントをお届けしよう。
手洗いは爪のまわりをていねいに
花王の生活者研究部「くらしの研究」がサイト読者に行ったアンケートから、新型コロナウイルスが暮らしに与えたさまざまな影響が見えてくる。
アンケートに答えた方ほぼ全員が、「この冬、何らかのウイルス・感染症への対策をした」と回答するなか、もっとも多かった対策が「手洗いをする」(94%)
石鹸や洗剤に含まれる界面活性剤は新型コロナウイルスのエンベロープ(膜状の構造)を破壊する効果があるため、手洗いは感染予防策として有効である。
研究データから知る「花王 衛生科学情報」サイトの「手指の効果的な洗い方」によると、特に気をつけたいのが爪のまわり。
なぜなら、爪のまわりには手の甲、手のひらなどに比べて菌の数や種類が多いからだ。また、爪のまわりは洗いにくく、しっかり洗わないと菌が減らない傾向にあるため、時間をかけてまんべんなく洗うことが重要である。
花王では洗浄成分が手のすみずみまで行きわたり、爪まわりまで洗いやすい設計の泡タイプのハンドソープを勧めている。小さな子どもや高齢者も、泡タイプのハンドソープなら汚れが落としやすい。
今や“自宅除菌”が常識に。食卓まわりにも洗剤が効果的
テレワークやローテーション勤務、時差通勤……。新型コロナウイルスは私たちの生活スタイルを大きく変えたが、なかでもワークスタイルの変化は大きい。
withコロナには在宅ワーカーのさらなる増加が予測され、家にいる時間が圧倒的に増える。そこで気になるのが自宅での菌・ウイルス対策だ。
人間の暮らしの中には菌もウイルスも普通に存在しているが、感染力の高い新型コロナウイルスの場合はいっそう注意が必要だ。
家の中に持ち込まれたウイルスの除去方法として、研究データから知る「花王 衛生科学情報」サイトでは、掃除シーンでの正しい洗剤の使い方を紹介している。
ウイルスを除去する一助となるのがアルコールと界面活性剤。その効果的な製品の選び方と、ウイルスを広げない掃除法が重要だ。
花王では、食卓まわりの洗剤のステンレスやウレタン表面のウイルス除去効果を検証した。食卓まわりの洗剤を含んだペーパータオルで拭き取った5分後の対象表面のウイルス除去効果を測定すると、その効果が99%以上であることが確認できたという。
菌数が少ない家庭と多い家庭の違いとは
そもそも、菌数の少ない家庭と多い家庭の違いはどこにあるのだろうか。それぞれの行動例を比べてみよう。
食卓まわりに限らず、家の中の除菌には「除菌表示」のある製品を選び、拭き残しがないようにまんべんなく拭くことがポイントだ。
感染が拡大していた時期には品薄だったこれらの除菌グッズも、最近は入手しやすくなっている。安心して在宅ワークをするためにも、これらを有効に使いながら、ぜひ家庭内の除菌を徹底したい。
帰宅したら、まず手洗いと洗顔を
新型コロナウイルスは咳やくしゃみによる飛沫感染と、それらが付いたものに触ることで起きる接触感染がある。
新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は「新しい生活様式」の実践例として、「家に帰ったらまず手や顔を洗う。できるだけすぐに着替える。シャワーを浴びる」と提言している。
すぐにシャワーや入浴ができない場合は、せめて手洗いの際に洗顔も加えたい。
衣類用消臭剤でウイルス除去
脱いだ衣類には飛沫が付着している可能性がある。研究データから知る「花王 衛生科学情報」サイトでは、衣類用消臭剤でのウイルスの除去効果を検討し、布上でのウイルス除去効果99%以上を確認した。
帰宅したら、脱いだ上着は衣類用消臭剤ですぐにウイルス除去する。これはぜひ、withコロナの新しい習慣にしたい。
布マスクは衣料用洗剤と塩素系漂白剤でお手入れ
新型コロナウイルス感染防止の一つ、マスクの着用。一時期は入手困難だった不織布製の使い捨てマスクだが、再利用はおすすめしない。ウイルスをキャッチする性能が低下するからだ。
家庭ではマスク専用のごみ箱を決め、使用済みマスクはポリ袋に入れ、口を縛って捨てるようにしよう。
綿素材のガーゼで作った布製のマスクは、自宅で洗って繰り返し使用できるが、外で着けていたマスクには、ウイルスが付着している可能性が高い。
マスクのウイルスを除去するためには、衣料用洗剤で洗った後に塩素系漂白剤でウイルスを取り除くことが重要だ。
白い綿素材のマスクであれば、標準濃度の衣料用洗剤を溶かした洗たく液に10分浸してすすぎ、しっかり汚れを落とした後で、塩素系漂白剤を溶かした水の中に10分ほど浸し、その後、3回以上ためすすぎをしてしっかりすすげばOK。繰り返し使用できる。
花王 布マスクの洗い方
また、色柄物のマスクは塩素系漂白剤を使うと変色する可能性があるので、粉末の酸素系漂白剤を使用することをおすすめしている。
花王 色柄物の布マスクの洗い方
「洗浄剤」「物理的な力」「水またはお湯」の三要素が環境整備の基本
花王は「花王プロフェッショナル・サービス」サイトで食品業界や医療・介護の現場などに役立つプロフェッショナル向けの情報提供も行っている。
withコロナの時代にあらためて見直したいのが「洗浄」だ。食品業界だけでなく、さまざまな業種に必要な「洗浄の基礎知識」が公開されている。
不衛生で雑然とした環境は病原体が繁殖しやすく、感染のリスクが高まるため、事業責任者はさまざまなビジネスの現場を清掃しやすいように整理整頓する「環境整備」にも注力するべきだろう。
環境整備の基本は「清掃による汚染の除去」。花王によれば、十分な汚れを落とすために大切なのは、「洗浄剤」「物理的な力」「水またはお湯」の三要素。これらの共同作業で良好な衛生状態が生まれる。
また、汚れを効果的・効率的に落とすためには、
1 適切な洗浄剤の選定
2 洗浄剤を適切な使用量で使用する
3 適切な温度に調節
4 適切な時間に調節
5 物理的な力を加える
以上の5つが重要だという。
厚生労働省の通知や米国疾病予防管理センター(CDC)のガイドラインによれば、日常的な環境表面の清掃について高レベルの消毒薬を使用する必要はないことが示されている。
また、2020年6月1日からすべての食品等事業者に制度化されたHACCP(ハサップ)による衛生管理についても、わかりやすく解説している。
介護業界に向けては「感染対策の基礎知識」「環境整備の重要性」「緊急時の対処、汚物処理の仕方」などのコンテンツを公開中だ。スタッフへの教育や、経営の判断に迷ったとき、「花王プロフェッショナル・サービス」の「業務改善ナビ」が力強い味方となるはずだ。
新型コロナウイルスから身を守りながら日常生活を送る「共生」の日々はまだまだ続く。花王のサイトで衛生の正しい知識を常に更新しながら、QOLの向上を目指したい。
(制作:NewsPicks Brand Design 執筆:武田ちよこ 編集:奈良岡崇子 デザイン:小鈴キリカ)