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花王技術図鑑

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低温印刷でCO₂削減と印刷対応素材の拡大に貢献

熱応答性カプセル型トナー

  • #省エネルギー・CO₂削減 #低温プリンター印刷 #トナー印刷 #保存安定性 #顔料カプセル化(コアシェル) #熱応答性材料 #低温印刷 #界面科学 #有機合成化学
  • 2025/11/14

トナーと呼ばれる粉状のインクを用いる「レーザープリンター印刷」のエネルギー使用量を大幅に低減する技術。従来は、印刷機の中で高温で溶かして紙などに定着する必要があったトナーを、熱応答性の異なる材料を用いたコアシェル構造でカプセル化。これにより保存安定性を保ちながら、印刷時の低温融解を実現。省エネルギー化やCO₂排出量の削減、熱に弱いフィルムやラベルなど幅広い媒体への印刷に貢献する。

オリジナリティ・特徴
(unique points)

トナーの品質課題は、輸送中のコンテナや保管中の倉庫内の温度では溶けださず、粒子が凝集しないこと。このため従来は、印刷機内の高温(170℃以上)の加熱ロールで初めて溶けるように過剰な安定性を施されていた。

溶ける 印刷機内の加熱ロールで熱が加わると「溶ける」ことが必要 溶けない 輸送中のコンテナや、保管中の倉庫では「溶けない」ことが必要

そこで顔料を含む低融点のコア(核)を高耐熱性のシェル(殻)で包んだ“コアシェル“構造を開発。シェルが輸送中・保存中の凝集を防ぐ。

コアシェル構造(電子顕微鏡写真)

印刷時にシェルは簡単に潰れ、コアの中に分散している熱応答性材料が低温で(100℃以下)で瞬時に融解、広がってトナー中の顔料を定着させる。

トナーの断面イメージ(直径約5μm) コア内部 低温でとける シェル 印刷時につぶれやすい とけた後はしっかり広がる 100℃以下で瞬時にとける

これがあると何が変わる?
(future view)

  • 印刷時の消費電力とトナー使用量を削減できるため、全体としてCO₂排出量を約40%低減
  • 熱に弱く従来のプリンターでの印刷が難しかった素材(フィルムやパウチなど)にも対応でき、印刷の自由度が広がる。
  • トナーが低温ですばやく定着するため、定着工程の効率が高まり、高速印刷にも対応しやすくなる。

詳しく見てみる
(link to other contents)

花王ケミカル 多様な印刷を可能とする環境配慮型次世代トナー
https://chemical.kao.com/jp/digital-printing-materials/lunatone/

花王 サステナブルケミカル
https://chemical.kao.com/jp/sustainability/eco/article_02/

関わった主な研究分野
(concerned division)

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