グリシドール脂肪酸エステルの構造と生成について

食用の一般的な油脂はトリアシルグリセロール(TAG)であり、グリセリン分子は3つの結合部位(水酸基)のそれぞれを介して脂肪酸に結合しています。グリセリンとは異なり、グリシドールでは、それらの結合部位の2つが1個の酸素原子によって架橋されており、そのため1つの結合部位のみが遊離のものです。グリシドール脂肪酸エステルは、そこに1個の脂肪酸が結合しています。

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食用油の製造には、油の風味をよくするために脱臭と呼ばれる精製工程があります。脱臭は高温で減圧することで不要な味やにおい成分を除去する工程であり、グリシドール脂肪酸エステルはこの工程で生成することが分かりました。高温下では油脂中の脂肪分子内でグリシドール脂肪酸エステルが生成すると考えられていますが、詳細はわかっていません。未精製油脂中には、グリシドール脂肪酸エステルは存在していません。

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