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130年の技術魂

NEWS PICKS Brand Design 花王130年の技術魂 #01

  • #技術ヒストリー #SDGs #洗濯・衣類ケア #掃除・キッチンケア #美容・健康

社会課題と花王の技術史をインフォグラフィックス化
花王130年の技術魂図解版

  • 2019/03/28 | NewsPicks Brand Design

1887年に創業し、「花王石鹸」に起源をもつ花王。その成長はいつも技術魂に支えられてきた。
洗剤やシャンプーなどで家庭生活にイノベーションを起こしてきたのに加え、コンクリートやトナーなど、
産業材にも活躍の領域が広がる花王の技術がどんな社会問題に向き合ってきたのかを図解する。

花王の技術魂 社会課題に応え続けて130年 一日で一回はどこかで使うことがあるのではないだろうか? 花王の革新的な技術力は、私たちの日常に様々な「豊かさ」をもたらしてきた その背景にはどんな技術者魂が根付いているのだろうか?

Topics1 2018年11月 「Fine Fiber技術」発表

ファインファイバーを直接肌に吹き付ける様子のアニメーション

極細繊維を肌に直接噴きつけることで、肌表面に、積層型極薄膜をつくる「Fine Fiber技術」を開発。あわせて使用する化粧品の保持力や均一性に、飛躍的な進歩をもたらす技術 → スキンケア、メイク領域で常識を超える提案の可能性

2 2019年1月 新界面活性剤「バイオIOS」発表 親水基と親油基(疎水鎖)のイラスト 植物油脂を原料として特殊な分子構造で以下を実現

[油になじむ性質]油汚れの洗浄力が高い [水に溶ける性質]すすぎも早く、洗剤残りがしない 原料は、ヤシの実のほぼ使われていなかった部分だから、環境にやさしい → これまでと一線を画すサステナブルな界面活性剤へ

▼ 革新的な技術を連発する花王 花王の技術は、創業130年以上、「社会課題」に応え続けている その歴史は、19世紀末に生まれた高級化粧石鹸「花王石鹸」にさかのぼる…

『社会課題 その① 健康と衛生』 創業期からの精神“カラダのキレイを日常に”

1887年 初代・長瀬富朗が、花王の前身の洋小間物流「長瀬商店」を創業 “よきモノづくり”を通じて「人々の豊かな生活文化の実現に貢献する」 「身の回りを清潔に保つこと」が、生活の課題だった 石鹸職人の村田亀太郎、薬剤師の瀬戸末吉と協力し、 花王の技術スタート

▼ 買い求めやすい価格で顔も洗える国産石鹸を開発 ¥=輸入石鹸の3分の1程度 社名の由来 化粧石けんが「顔洗い」と呼ばれていたことから、 「カオ(顔)石鹸」と名付け、 → 「花王」という文字をあてた

▼ 当時、洗髪料は「髪洗い粉」と呼ばれ、白土に粉石けんや炭酸ソーダを混ぜたものを利用。洗髪は難しく月2回程度だった 当時の女性の髪型 髪型のイラスト ▼ 楽にしたいという思いで、界面活性剤の技術を使って、なじみがよく油が落ちやすい石けんベースのシャンプーを開発

1932年 「花王シャンプー」発売 「シャンプー」という言葉も定着

▼ 石けん、シャンプーを通じて「界面活性剤」が花王の成長基盤技術に! 界面活性剤とは… [界面活性剤分子モデル]のイラスト 「親水性」水になじむ部分 「親油性」油になじむ部分 この構造が、本来、水と油のように混じり合わないものを混ぜ合わせるのに役立ち、汚れを落とす洗浄の働きをする 界面活性の技術は、洗剤、化粧品、工業用製品、幅広い産業の多様なニーズで活用されている

1934年 「家事科学研究所」の設立 花王は家事全般に科学的かつ合理的な手法を開発し、生活文化を提案する研究所を設立

『社会課題 その② 家事労働の軽減』

おむつ洗たくからの解放 [1970年代] アメリカでパルプ製の紙おむつが発売され、女性がおむつの洗濯から解放されると、一気に普及し始める

▼ パルプ資源に限りのある日本で同じものを作っても、勝てない! 給水ポリマーの研究者のイラスト 高給水ポリマーの特徴 100~1000倍もの量の水を吸収 一度水分を給水すると戻らない 高吸水性ポリマーを紙おむつに採用

▼ 1983年 新しいタイプの紙おむつ「メリーズ」発売 透湿シートを採用したのは花王が世界初 透湿シートの技術 技術のイラスト 水は通さない 空気は通す

▼ オムツの洗濯にかかっていた時間が不要 パルプ製の紙おむつよりも薄くて軽い 赤ちゃん連れでも外出しやすくなった

洗剤をコンパクトに [1980年代] 洗たく洗剤はお徳用と銘打って、パッケージが大型化。主婦が洗剤を持ち帰る負担が大きかった

▼ 和歌山研究所 アルカリセルラーゼと研究者のイラスト そんな問題をアルカリセルラーゼの優れた洗浄力と粉体加工技術で洗剤容量を少量化することができないかと考え、検討に着手

▼ 1987年 8年の研究の末、「アタック」発売 それまでのものより、大幅にコンパクト化 洗剤容量1/4に 箱の体積80%減 重さ62%減

▼ 時代の流れとともに、洗剤は粉末→液体 粉末と液体の販売金額比較のグラフ

▼ 水は減、有効成分は2.5倍増のイラスト 液体洗剤の水分を減らす濃縮技術によって、超コンパクト液体洗剤へ

個人の暮らしを豊かにしてきた花王の「技術魂」は地球環境の課題にもこたえてきた

①洗剤の無リン化 社会的背景 洗剤に含まれる「リン」が、湖や海の赤潮の一因と問題視 → 1979年 琵琶湖条例:無リンが義務化 ▼ しかし、リンを使わないと洗浄力が落ちてしまう…

▼ 無リン化洗剤が普及する中、より高い洗浄力を目指し研究を深め、洗剤に「アルカリセルラーゼ」という酵素を加えることで、洗浄力がアップすることを発見します 洗剤+アルカリセルラーゼ アルカリセルラーゼは菌から作られるが、… 低コストで大量に作る最適な菌が見つからない… 全国の山や畑から菌を調査した結果、栃木研究所の近くの土から、弱アルカリでも働くアルカリセルラーゼを生産する菌を発見 ▼ 高い洗浄力を持った洗剤を開発!

②省資源とゴミの削減 1991年 環境に配慮したつめかえ容器を開発 ゴミを減らし誰でもエコに貢献 その比率は1997年から急速に増え、現在ではほぼ80%強で推移(本数ベース) 20年の積み重ねで… 1990年代から2000年代、2010年代でプラスチック消費量74%減

③土木・建築分野で環境負荷を下げる コンクリートの特性 水が少ないと… [メリット]強度が高まる [デメリット]流動性が落ちる ▼ 花王の界面科学を応用!

▼ 高機能なコンクリート用薬剤「マイティ」の開発に成功 少ない水でも流動性が確保できる

1970~80年代 [高度成長期] トンネル、高速道路、新幹線、などの建設に欠かせない存在に ▼ さらに進化を続け… ▼ 2010年代  水辺の工事でコンクリート材料の分離が発生を抑制するため、水中でも飛散することのない、環境を汚染しない工事を可能に 無添加と花王の増粘剤ありのイラスト

④低燃費タイヤ 低燃費タイヤ ゴムに「シリカ」を混ぜることで 低燃費性能アップ ウェットグリップ性能アップ しかし… [ゴム]油に近い性質と[シリカ]水に近い性質のイラスト 親和性が低く、均一に混じり合わない…

▼ 花王 界面制御技術×ブリヂストン ナノブロ・テック 「新シリカ分散性向上剤」を開発 [従来型分散剤]と[新シリカ分散剤]のイラスト ゴムとシリカの親和性を飛躍的に高め、ゴム内にシリカをより均一に配合・分散させる ▼ タイヤの低燃費性能とウェットグリップ性能を両立させ「CO2削減」に貢献している

その他、花王は感染症から社会を守る研究も続けている

抗体なしと抗体ありのイラスト [抗体なし] 感染 [抗体あり] VHH抗体 感染抑制 花王は、北里大学、さいたま大学発のベンチャー企業EMEとともに、新型コロナウイルスに感染抑制能を有するVHH抗体の開発に取り組んでいる

身の回りの清潔、女性の社会進出、健康、環境、130年間、花王の技術魂はその時代の社会課題と向き合ってきた

※2019年3月に掲載した記事の内容を2021年3月に一部改訂しています。

(制作:NewsPicks Brand Design 編集:久川桃子 インフォグラフィック構成:九喜洋介 デザイン:ソートアウト)

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