第9回コンテスト(2018年) 審査風景・審査員総評・表彰式

審査風景

9回目となる今回の絵画コンテストには、44の国と地域から12,563点(国内848点、海外11,715点)の応募がありました。

イスラエルやモーリシャスなどからも初めての応募が寄せられた今年のコンテスト。まず、花王のデザイナー13名が1万点を超える全作品を審査し、その中から選ばれた約400点について、芸術や環境分野に造詣が深い審査員7名が審査を実施しました。

審査の基準となったのは、「地球環境に対する改善への願いや発想が感じられるか」「世界の環境問題を考えるうえで新鮮な視点を与えてくれるか」などです。自由な発想で環境保全への思いをポジティブに描いた作品や、自然のなかに伝統文化が息づくエキゾチックな表現にあふれた作品など、表現方法や着眼点は実に多彩。審査員の皆さんは一枚一枚を丹念に見ながら厳正に審査を進め、「“いっしょにeco”地球大賞」1点、「“いっしょにeco”花王賞」8点、「優秀賞」23点を決定しました。

予備審査の様子

予備審査の様子

本審査の様子

本審査の様子

審査員の総評

【益田 文和 先生】
(審査委員長、元 東京造形大学 教授)

年々、絵の稚拙さでは優劣つけがたいほどレベルが上がっている。そうなると、どうしても子どもたちが発するメッセージの内容に評価の重心が移ってくる。ここ1~2年、環境の問題に焦点を当ててその解決に向かおうとする作品と、自分にとって望ましい暮らしの心象風景を描く作品の二方向に分かれていっているようだ。
このコンテストのはじめのころに多く見られた、単純な環境保護のスローガン的表現が減っているのはよいことなのだが、一方でそれは今の世界の状況に対する子どもたちの戸惑いや不安の現れだともいえる。大人はその変化をある種の警鐘として受け取るべきだし、作品に込められた子どもたちの疑義と期待に応える責任がある。

【大久保 澄子 先生】
(美術家)

今回は世界中で頻繁に起こっている災害に対して危機感を抱いている子どもたちのメッセージを特に強く感じた。なかでも、災害に対して「自分たちも頑張ろう」というメッセージと、「美しい自然の中で、平和に生きたい」という、二通りのメッセージに分かれていたように思う。
世界中で起こっている環境問題や災害に対する子どもたちの感受性豊かなメッセージを、回を重ねるにつれて強く感じるようになってきた。今回の審査会ではそうしたメッセージの中でも、環境問題や災害を少し違う視点でとらえた作品や、自分の思いを素直に表現している作品を選出した。

【松下 計 先生】
(東京藝術大学 教授)

回を重ねるにつれて説明的な絵、ロジカルな絵がだんだん増えてきている。このことは一方ではよいことかもしれないが、環境問題やエコというテーマが非常に複雑化していて、簡単に表現できなくなっている時代の空気感が子どもたちの絵を通じて表れているのかもしれない。
私が子どもたちに望むことは、どこか大人びたよそゆきの言葉で話すのでなく、君たちの目線で何が幸せで、何を守るのか、ということを絵に素直に表現してくれることだ。私自身も、審査を何度も行なう中で、そうした子どもたちの素直な思いに共鳴しようという意識に変わってきていると感じている。

【オヤマダ ヨウコ 先生】
(美術家、イラストレーター)

今年は世界中で自然災害の被害がとても多かった年だと思う。こうした1年を通じて子どもたちはどんなことを描いてくれるのだろうかと思いながら審査に臨んだ。災害が起きた国の子どもたちは、自分の国のことを大切に思う気持ちを描いていた。一方で、不自由なく暮らしている子どもたちはその幸せを描いていた。今回の応募作品からはその両極を感じた。
全体的に絵のレベルが非常に高く、最後まで選びきれなかったものも多かった。それは思いや情熱の強さのほんの少しの差だったと思う。みなさんには、なぜこの絵が選ばれたのか、どんなことを描いているのかを楽しく読み解きながら鑑賞していただきたい。

【アンドレアス・シュナイダー 先生】
(デザイナー)

たくさんの応募作品を見ていると、作品の中に二つの異なる世界があるように感じた。ひとつは、コンテストのテーマに沿って課題にこたえる子どもたちの努力が反映された大人の世界。もうひとつは、作品裏面に貼られた「絵に込めた思い」の中に広がる、子どもたち自身の世界。たとえば、これまでの田舎のくらしや、自分の村での出来事、地元の祭りのお祝いなどである。副次的な要素と思われるかもしれないが、いくつかの言葉の中に広がる子供たち自身の世界に、豊かさや奥行きを感じた。
子どもたちが純粋な心で、また世の中を変える力を持っている人々を動かすことができる創造力を持って、自分自身の経験や、考え、未来へのビジョンをより積極的に表現するために、我々はどのように手助けできるかを考えていきたい。

【石渡 明美】
(花王株式会社 執行役員 コーポレートコミュニケーション部門統括)

去年よりもレベルが上がっている分、今年の審査はさらに集中力を要したように思う。子どもたちの思いが伝わってきて、最終選考はかなり悩んだ。
最近、世界中で台風や地震などによる被害が頻発し、みんなが地球に不安を抱いていたと思う。そうした状況下でも穏やかで幸せな表情をした絵が多くあり、私もそれらの絵に目が向いていたように思う。つまり、こうした生活を子どもたちが望んでいるということが心に響いたのだと思う。穏やかな生活を願う子どもたちの気持ちに応えられるような社会をつくっていかなければならないと感じた。

【片平 直人】
(花王株式会社 作成部門統括)

去年と今年では二つの変化を感じた。ひとつは描写の変化。去年は多くのメッセージを細かい描写で表現するものが多かったのに対し、今年はさまざまなメッセージを一見シンプルな描写で表現しているものが増えたように感じる。
もうひとつは題材の変化だ。温暖化やごみ問題など世界に共通するテーマがある一方で、自分の地域や身のまわりの問題を題材にしているものが増えているように感じた。これは、まずは自分たちの身の回りから見つめ直す、という気持ちからかもしれない。こうしたローカルな視点を世界で共有することの一助をこのコンテストが果せたら嬉しいと思う。

第9回コンテスト表彰式

2018年12月6日(木)~8日(土)に開催された「エコプロ2018」(東京ビッグサイト)の花王ブースにおいて受賞作品を展示し、最終日の12月8日には「“いっしょにeco”地球大賞」「“いっしょにeco”花王賞」に選ばれた8カ国9名の受賞者を招き、表彰式を行ないました。

審査委員長の益田文和先生は、「皆さんと同じような気持ちで絵を描いている子どもたちが1万人以上いるということは、とても心強いこと。互いに影響し合い認め合いながら、世界中の人たちに環境の大切さを伝えていってほしい」と語りました。続いて、社長の澤田道隆から受賞者へ、表彰盾と副賞を授与しました。

「“いっしょにeco”地球大賞」を受賞したのは、緑豊かな島でいきいきと暮らす人間や動物たちの姿を描いた竹見美保さん(10歳・日本)です。受賞者を代表したスピーチでは、「美しい地球のため、子どもたちもエコ活動を頑張らないと」というメッセージを伝えました。また、「みんなで活動をすれば、地球はどんどんきれいにはるはず」と語り、力を合わせることの大切さを訴えました。

表彰式後に行なわれたインタビューセッションでは、受賞者が自分の国・地域の紹介や作品に込めた思いを発表。また、交流会では益田先生や澤田が受賞ポイントや作品への感想を伝えると、どの受賞者も嬉しそうに絵に対する思いを語ってくれました。

受賞者を代表しスピーチを行なう大賞受賞の竹見 美保さん

花王賞受賞のFarhan Wibisono Widodoさんに
社長の澤田から表彰盾を授与

受賞者の皆さんのインタビューセッション

受賞者の皆さんと記念撮影
審査委員長の益田先生(左から3人目)、社長の澤田(右)、
ESG部門統括のデイブ・マンツ(左)

受賞作品のご紹介はこちらからご覧いただけます。

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