第9回コンテスト(2018年)

花王グループでは、世界の子どもたちに、身近な生活のエコと地球の環境・未来について真剣に考え、絵画として表現してもらい、それを多くの人たちに伝えることで、世界中の人々が暮らしの中で環境を考えて行動するきっかけとなることを願い、2010年からこのコンテストを実施しています。

9回目となる今回は、世界44カ国・地域の子どもたちから12,563点のご応募をいただきました。その中から厳正な審査により選ばれた32点の入賞作品を、子どもたちのそれぞれの作品に込めたメッセージと共にご紹介します。

審査風景・審査員の総評・第9回コンテスト表彰式の様子はこちらからご覧いただけます。

受賞作品のご紹介

“いっしょにeco” 地球大賞

「未来へと続く道」
竹見 美保(たけみ みほ)さん(10歳/日本)

絵に込めた思い

青い海、きれいな緑の島が連なる。道は、とてもきれいな鳥や魚・動物が、いきいきしています。こんなきれいな地球をおとなだけがエコをするのではなく、わたしたち子どもも、エコをいっしょうけんめいがんばりたいです。きれいな、青い海の未来の地球になりますように。

審査員講評

子どもの目線から見た地域性と、そこにある文化がよく描かれている。日本らしい海に囲まれた風景が広がり、真ん中には道が続く。これは時間を現わしているのだろうか。上まで広がる緑、大きく描かれた動物などから、自然を大切にしたいという無垢な思いがストレートに感じられる。子どもらしい純粋な発想と豊かな色彩感覚で丁寧に表現されており、豊かな自然と一体になった日々の営みがありありと伝わってくる作品だ。

“いっしょにeco” 花王賞

「地球はわたしたちの家」
Alexandra Vyacheslavovna Alimovaさん(10歳/ロシア)

絵に込めた思い

わたしはポドリスクという名前の小さくて美しい町に住んでいます。前は、春にナイチンゲールが巣をつくって、わたしの家のそばでさえずっていました。でも最近は、アスファルト工場が空気を汚しています。ナイチンゲールは飛んでこなくなりました。大人たちは、町にきれいな空気を取り戻そうと運動しています。この絵で言いたかったことは、地球はわたしたちの家であり、大切にしなければならないということです。わたしはきれいな空気と、澄んだ川と、鳥のさえずりのある地球を、みんなのために守りたいです。地球のすべての人々がお互いのことを思いやって、幸せになって欲しいと思います。

審査員講評

色使いなどがロシアらしい作品。シンプルな構成だが、赤とブルーが画面を引き締めている。自然素材のウールで編んだ服を着ている人たちが、工場から出てくる煙や汚れた排水をろ過してきれいにしている。「自分たちがもともと身につけているものと、まったく同じ素材を使って自然はきれいになる。だから地球環境を大切にすることは、自分自身を大切にすることと同じ」というメッセージを感じた。

「大地を輝かせよう」
Farhan Wibisono Widodoさん(14歳/インドネシア)

絵に込めた思い

私がこの絵画に込めたコンセプトは、インドネシアの日々のくらしを描くことです。最近、インドネシアは森林伐採による自然災害を経験しました。私は農業の国としてのニックネームがある緑豊かなインドネシアを取り戻したいと思っています。この絵画はいくつかのステージで構成されています。一番下の段は豊かな土壌の生成と、樹木の植え付けです。2段目には地域の人々がみんなで仲よく水やりをする姿を描きました。3段目と4段目は最終ステージでは木々がよく育ち、人々が幸せな姿を描いています。地域の活性化と神への感謝の気持ちを表すため、レオグアートによる楽しいイベントを催しています。

審査員講評

構図はシンプルだが、細部を観ると土を一生懸命耕す人たちが細やかに描かれている。みんなで肥しを与えて植栽をすることで、緑が少しずつ茂っていくという流れがよくわかる。よく観ると、うしろには寺院や教会があるが、昨今問題となっている宗教間の対立を心配しているのであろうか。一緒に仕事をするコミュニティや街での共存の大切さを表現している。黒の中に群青色が点在しているなど、色の扱い方も目を引く。

「私の夢」
Hoi Ching Pangさん(6歳/香港)

絵に込めた思い

地球温暖化や人間の不注意な行動などが原因で、山火事がいろいろな場所で起きています。こうした災害は、森林やさまざまな動物の生息地に大きな被害をもたらします。私の夢は、平和の鳥に乗って、いろいろな場所へ行き、みんなで協力して魔法の種をまいて、もともと地球に存在していた森林の美しさを取り戻すことです。そうすれば、すべての人類やいろんな種類の動物たちは緑豊かで快適な環境の中、健康で幸せな生活を送れるでしょう。

審査員講評

絵全体に子どもらしさがあふれた素直な作品だ。森林火災に心を痛め、「魔法のタネを使ってなんとかしなくては」という自然への思いがひしひしと伝わってくる。平和を象徴する鳩の上の子どもたち、さらに右側には豊かな緑、芽吹く芽や花も描かれており、大胆な二面性を感じる。黄色い太陽が描かれている位置も、よく考えられている。色彩が美しく、ものごとをのびやかで感覚的にとらえる力を持っている子なのだろう。

「汚染をなくすことこそ解決策」
Manasvi Harlalkaさん(12歳/インド)

絵に込めた思い

プラスチックの再生利用はすばらしいと思います。それは今必要なことです。私たちにも後世の人々にも、今よりもきれいな空気を共有する資格があります。だから、秘密を教えましょう。地球をきれいにして、私たちの周りがすぐれた価値観であふれるようにしましょう。

審査員講評

毎年たくさんの地球の絵を観るが、地球を描く子にとってそれは大切な記憶として残る。このことを心に留めながら作品を観るようにしたい。この作品は、みんなで地球をきれいにしているというもの。今はシートで仮囲みされているが、いつかきれいになったら布が取り去られる日がくるのだろう。「地球を描く=エコ」という作品も多い中、自分たちで環境をよくしようという強い思いを感じさせる独自視点を評価した。

「わたしたちは環境愛好者」
Melika Ahadiさん(10歳/イラン)

絵に込めた思い

この絵に込めた思いと願いは次のとおりです。
私の住む町はとても小さいのですが、とてもきれいです。すばらしい場所や山、川、森がたくさんあり、私はそのどれも気に入っています。実際、私の絵は、川岸にいる友達と私の様子を描いたものです。私のお気に入りの場所です。この美しい場所が、将来、私たちの子どものためにも、ずっとそのままであって欲しいと思っています。だから、この環境を守ることが私たちの義務だと思っています。

審査員講評

水の中に女の子たちはゆったりと足を浸しながら、とても気持ちよさそうにしている。3人とも表情が穏やかなところが印象的だ。環境について何らかの警鐘を発したり、提案したりという内容ではなく、「私たちがめざすところは日々の生活の中にある」ということが上手に表現できている作品だと思う。自然の中で生きることの喜びを感じる。この作品を通じて、私たちとは少し異なる幸せのあり方や地域性というものを知ることができる。

「その影響」
Nattha Kaeokamkongさん(10歳/タイ)

絵に込めた思い

次から次へと積み上げられた箱の一番下にある箱を、人が引き抜こうとしているところを描きました。その結果、積み上げられた箱は崩れてしまいます。一番上(5段目)の箱は地球を、4段目は人間を、3段目は野生生物を、2段目は水を、最下段は樹木を表します。表現したかったのは、一番下の段にある箱を引き抜くと、ほかの段の箱もすべて崩れ落ちてしまうという絵です。つまり、伐採などで森林を破壊すれば、地球上のすべての生き物に影響が及ぶということです。

審査員講評

一見単純そうでいて、支えようとしているのか抜き取ろうとしているのかどちらにも受け取ることができ、奥深さを感じた。一体化を理想としているが、面の置き方や重なり方によっては崩れてしまう。こうした検証をしながら地球の問題を理解していっているのだろう。まるで考え込まれた教育玩具のようだ。この不安定さが、まさに今の状況を表しており、不安も希望も伝わってくる。

「水に映る地球のよき未来」
Sherly Vermont Kwerniさん(12歳/インドネシア)

絵に込めた思い

今から一緒に、環境に優しくする活動をしていきましょう。
今、わたしたちの地球は、さまざまなかたちの公害に脅かされています。たとえば、車の排気ガスや工場の煙による大気汚染があります。さらに、ごみや下水による水質汚染もあります……。干ばつも、新しい土地を拓くための森林焼却も、違法伐採もあります。これらは、間違いなく森の野生動物の生息地に問題を引き起こし、ダメージを与えます。
そのため、わたしたちは地球温暖化を克服する取り組みに参加し始めなければなりません。そのひとつの方法として、木を植えることや、ごみを適切な場所に捨てること、生分解しない廃棄物を何か有用なものに変えることが挙げられます。
わたしたちは、再生可能エネルギーと環境に優しい代替技術の使用を求めて運動を始めることができます。また、環境に優しい日々の行動についてよく知ること、そして環境を愛することです。このような活動はすべて、未来をよりよく、より環境に優しく、より涼しく、地球上のすべての生き物にとってより快適にするためのものなのです。

審査員講評

現実と未来を対比する作品はよく出てくるが、本作はそれとは異なり、現実の厳しさを描きながらも、いま自分ができることをしようと訴えている。ゴミを拾うことでよい世界になるということを、水に映した希望の世界で丁寧に表現。西洋神話では鏡や水で自分の顔を見るのは自己発見や自己理解という意味があるが、この作品も女の子の実際の表情と反射したものとでは違う。自身を理解することの大切さをも意味しているのではないか。

「ごみを食べるクジラ」
Yueheng Huさん(8歳/中国)

絵に込めた思い

海に流れ込むごみの量が年々急速に増え、美しい海の環境と、それに依存している海洋生物に大きな脅威をもたらしています。私の夢は科学者になって、この絵のようなごみ処理場を発明することです。本物のクジラのように海を泳ぎ、海のごみを自分で探しまわり、食べもののようにごみを飲みこんですぐに処理します。このような方法で、海のごみを自らの燃料や再生可能資源につくりかえるという処理場です。

審査員講評

細かくて何が描いてあるのか遠くからは見えにくいが、観ずしてもメッセージが伝わってくるほど、構図がすばらしい。海のクジラがいろいろなゴミを飲み込んでいるところまで、非常に細かな描写で描かれている。このクジラは「エコ8」というロボットで、「テクノロジーがすべて解決するぞ」という、非常に前向きな楽観主義が伝わってくる。カニや魚の描写などもおもしろい。

優秀賞

「自動清掃マシーン」
Aik Jie Quahさん
(7歳/マレーシア)

作品講評

分別マシーンをイメージした作品。「分別することから始めなくては」という環境への思いが作品に表れている。一生懸命描いていることが細部からも伝わり好感を覚えた。

「木を植えましょう」
Asra Abbasgholizadehさん
(12歳/イラン)

作品講評

木を植えるというシンプルな題材だが、二人はとても楽しそうで、セレモニーをしているかのよう。植樹をすることが幸せにつながることをドラマチックに表現した作品。色使いも美しい。

「自然環境」
Atena Hosseiniさん
(10歳/イラン)

作品講評

目が鳥だったり、魚に見えたりと、顔の中に自然の風景や環境に対する行動が描かれている。独創性の高い作品。この顔は自分であり、描かれた世界は環境についてのメッセージだと受け取った。

「緑豊かな公園」
Bach Tri Chauさん
(11歳/ベトナム)

作品講評

自然を遮るように中央に伸びた道路は、「コンクリート化する町に反対」という思いなのだろうか。右側からはつがいなのか、二羽の鳥が羽ばたき自然を謳っている。色彩や構図がよく考えられた、素直で美しい作品だ。

「水浸しの住宅団地」
Benjamin Yeoさん
(9歳/シンガポール)

作品講評

過去の大洪水がテーマ。浸水した階の人たちは水着で泳ぎ回っているが、そんな暮らしはあり得ない。自然災害を単純に「悲しみ」としてではなく、アイロニカルに表現するという工夫がユニークである。

「おとぎ話」
Bilyna Stanimirova Todorovaさん
(12歳/ブルガリア)

作品講評

王女様をクロコダイルから助けたり、地球環境を守ったりするためにはヒーローが一人必要。自分がヒーローにならなければ!という強いメッセージが伝わってきた。環境のとらえ方が今までの作品とは異なっていて印象的。

「紙の木」
Dayangku Hana Humaira Pengiran Zuainiさん
(15歳/ブルネイ)

作品講評

文明の象徴である紙を作るために木が切られ、結果として森に暮らす動物たちの行き場が失われていくという、この子なりの警鐘ではないか。丸められた紙はまた、動物たちにスポットをあてた灯りをイメージしているのかもしれない。背景をはじめ、色使いがよく考えられた力強い絵だ。

「強いのはだれ?」
Eva Novakhさん
(11歳/イスラエル)

作品講評

人間は自分たちが一番強い存在だと考えているが、そうではない、ということを訴えている。今問題となっているビニールのようにも見える魚の質感も含め、観る者を少し不安な気持ちにさせるのが今の時代ならではと感じた。

「小鳥の家」
Gabija Glineviciuteさん
(15歳/リトアニア)

作品講評

リトアニアの伝統である鳥の巣箱づくりは、自然保護にもつながっているという。伝統への想いや、みんなで飾り付けをするというヨーロッパらしいコミュニティのあり方を上手に描いている。

「みんなでいっしょにおふろ」
竹本 華子(たけもと はなこ)さん
(8歳/日本)

作品講評

一緒にお風呂に入ると家族円満の上に節約になるという、日本人だからこそ理解できる日常の幸せを描いた作品。外からはわかりにくい習慣の中に、智恵があるのだということが伝わってくる。

「おかしなトビウオ」
Hao Wangさん
(8歳/中国)

作品講評

大きな魚のそばに人間がポツンと描かれている。人間が環境を推進しているのではなく、環境の中に人間がいるのだということが表されていて興味深い。色使いや構図に乱れがなく、絵に力のある作品だ。

「地球の傷をいやす」
Harrison Maiさん
(13歳/カナダ)

作品講評

非常に考えられた描き方やテーマで、とても目を引く作品。病院の診察室で大真面目に地球を治療している情景に、大人の知識や技術に対する子どもの皮肉が見て取れる。

「電気をつくる工場」
村崎 遥香(むらさき はるか)さん
(11歳/日本)

作品講評

「風力発電で得た自然エネルギーの電気を皆で使おう」ということを伝えている作品。電線がいっぱい描かれていて単純明快。シンプルな題材と色使いだけで、これだけの絵がつくれるということがすばらしい。

「私と夢の生態系」
Hesara Induwara De Silvaさん
(6歳/スリランカ)

作品講評

直観的に描かれているが色彩感がよく、一つ一つのモチーフを伸びやかに描いている。画面全体がほのぼのとした子どもらしい素直さにあふれており、とても目を引く作品。

「わが家」
Jarupa Thaochooさん
(12歳/タイ)

作品講評

豊かな緑の中に赤の色が効いていて、対比が美しい作品。「森の中でポツンと住んでいるくらいの気持ちでいるのがいいのでは」と、シンプルな暮らし方の大切さを訴えているようだ。

「美しい自然の創造物」
Kanokrat Rueangratさん
(11歳/タイ)

作品講評

すき間なく描かれた自然や動物、人間の営みのすべてが、パズルのピースのようにぴたりとはまってバランスをとっている。曼荼羅(まんだら)の絵のような世界観。象の絵や色使いなどもお国柄が出ている。

「資源リサイクル(環境保護)」
Negin Yaraliさん
(12歳/イラン)

作品講評

ほのぼのとした牧歌的なよさがある。ボトルの色彩も秀逸。古タイヤとボトルで家をつくるというリサイクル建築が実際に行なわれているが、それを題材としたことに環境への関心の高さを感じる。

「ごみだらけにするのはやめよう」
Ng Ray Yang, Harryさん
(9歳/シンガポール)

作品講評

一見すると暗い印象の絵だが、中央にいる二人の表情はとても明るく、その暗い世界の中でも、力強さと自信をもって熱心に活動している。一生懸命さがよい形で表現された作品だ。

「みんな自然環境の友」
Parimah Kianiさん
(13歳/イラン)

作品講評

一見不気味な感じだが、表情はとても明るく、ハートからは緑豊かな木が生え、たくさんの魚が泳ぐほど澄んだ水が流れ出している。環境問題への取り組みはまず心が大切であると訴えているようだ。

「ビーチの清掃活動」
Ruo Ying Liさん
(8歳/台湾)

作品講評

台湾の作品に多く見られるが、国民性としてごみ拾いを大切にしているのだろうか。とても楽しそうに取り組んでいる。「ごみを拾うと海がきれいになるね」という、シンプルなポジティブさが心地よい。

「ハチを守ろう」
Sophia Hardjoeさん
(8歳/シンガポール)

作品講評

蜂が楽しそうに飛んでいて元気のある作品。ミツバチが減少している話を聞いたのかもしれない。花の配置や色の入れ方もよい。非常に対比の強い色彩感覚や生きものたちの描写が素晴らしい。

「いっしょに手を差しのべよう」
Tsun Hei Cheungiさん
(13歳/香港)

作品講評

観覧車の周りに「よいこと」「悪いこと」が描いてあり、悪いものには「NO」、よいものには「取り入れましょう」とある。シンプルだが工夫された表現に感心した。白黒とカラフルな色の対比も巧みで見事だ。

「ワヤンで環境保護のメッセージを広めよう」
Viola Arielle Suliandyさん
(14歳/インドネシア)

作品講評

インドネシアの伝統的な影絵を題材にした作品はこれまでもあったが、これは自国の文化を理解した子どもたちが自ら演じている作品。エコを楽しみながら自分たち自身で学ぶ情景を、よく考えて描けている。

下記より「第9回(2018)入賞作品集」をご覧いただけます。

審査風景・審査員の総評・第9回コンテスト表彰式の様子はこちらからご覧いただけます。

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