参考資料: 2018年08月23日

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油中に水滴が分散しているタイプの乳化物(W/O型エマルション)における保湿持続技術の開発

花王株式会社(社長・澤田道隆)スキンケア研究所は、2018年7月12日に開催された、第82回SCCJ*1 研究討論会にて、以下の研究知見を発表しました。
1. 敏感肌意識者の割合が年々増加傾向にあること
2. 油中に水滴が分散しているタイプの乳化物(W/O型エマルション)において、架橋型高分子シリコーン乳化剤を用いることによって、内相となる水滴中にラメラ構造を形成することができ、高い水分保持性を有するエマルションが開発できたこと

花王は今後も、敏感肌意識者の肌悩みに対応したスキンケア研究および開発を進めていきます。

  • * 1 The Society of Cosmetic Chemists of Japan (日本化粧品技術者会)

敏感肌意識に関する調査

近年、敏感肌意識者の割合(%)が増加しています(図1)。乾燥等の外部刺激により角層のバリア機能が低下しやすい「敏感肌」では、ボディクリームを使用していても、時間が経つにつれて乾燥が気になりやすいといった悩みがあることが、調査によりわかっています。そのため、保湿持続性の高いスキンケアが求められています。

図1【敏感意識者の割合(冬)】

20180823-001-01

※花王調べ
「敏感」・「やや敏感」・「敏感ではない」のうち、「敏感」・「やや敏感」計
12才~69才の女性 2000年 n=641、2005年 n=496、2017年 n=502

保湿持続性技術の開発

W/O型エマルションは、O/W型エマルションに比べ、一般的に保湿効果が高いとされています。しかし、従来のW/O型エマルション*2 では、内相の水分が蒸散することで、塗布後時間が経つと塗布膜の閉塞性が低下するという課題がありました。
そこで、角層の保湿バリア機能の要となる細胞間脂質(セラミドなど)のラメラ構造*3 を模倣した「高含水αゲル」が持つ、水分の蒸散を防ぐ性質に着目。ラメラ構造を形成したセラミド機能成分を含む水相を、さらに油相で乳化したW/O型エマルション(ラメラインオイル)の開発を進めました。さまざまな検討の結果、「架橋型高分子シリコーン」乳化剤を用いることで、高含水αゲルを維持しながらW/O型エマルションを調製できることを見出しました(図2)。

図2

20180823-001-02

  • * 2 乳化剤としてイソステアリルグリセリルエーテルを用いた花王従来のW/O型エマルション
  • * 3 層状構造 脂質の層と水分子の層が、交互に規則正しく何層も重なっている構造

水分保持効果の評価

ラメラ構造を有する高含水αゲルを内相にしたW/O型エマルション(ラメラインオイル)と従来のW/O型エマルション*2 を同じ条件で乾燥させ、エマルション中の水分量の比較を行いました*4 。従来のW/O型エマルション*2 が2時間で乾燥するのに対して、ラメラインオイルは8時間経っても乾燥しにくく、水分保持性が優れていることがわかりました(図3)。

  • * 2 乳化剤としてイソステアリルグリセリルエーテルを用いた花王従来のW/O型エマルション
  • * 4 温度23℃、湿度40-50% 厚さ約0.3mm・直径50mmの円形容器にて、経時での重量変化を測定

図3【エマルション中の水分量】

20180823-001-03

お問い合わせ

花王株式会社 広報部

03-6745-3150

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