発表資料: 2017年10月05日

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皮膚のハリ感を定量的に測定できる技術を開発

-加齢によるハリ感の低下を数値で確認-

花王株式会社(社長・澤田道隆)スキンケア研究所、包装容器開発研究所、加工・プロセス開発研究所は、今般、皮膚の柔軟性(弾性)と硬さ(粘性)を測定して、皮膚のハリ感を定量的に測定できる装置を開発しました。
また、この装置を用いて、全国47都道府県の20代~60代の女性を対象に、2016年の1年間(2016年1月1日~12月31日)収集した、皮膚の柔軟性(弾性)と硬さ(粘性)の測定データ(149,235人*1 )から、加齢による皮膚のハリ感の低下傾向を定量化し、ハリ悩みとの関係性を明らかにしました。

  • * 1 ハリ感測定データ
    調査期間:2016年1月1日~12月31日、対象地域:全国47都道府県、対象者:20代~60代の女性、149,235人、
    測定箇所:対象者の右頬の化粧肌を1回測定

研究成果

【研究結果-1】 皮膚のハリ感の測定装置を開発
“肌のハリ感”を測定する方法として、従来、皮膚の柔軟性や硬さを測定してハリ感を数値化する方法が報告*2 されていますが、“加齢にともなうハリ悩みの状態”を反映した結果は得られていませんでした。
そこで、皮膚の柔軟性や硬さを測定する方法として、検出感度が高く、簡便な操作性で正確な変位を短時間で測定するために、超音波振動子方式(主に弾性を測定し、皮膚の柔軟性を評価)と圧搾方式(主に粘性を測定し、皮膚の硬さを評価)を組み合わせて、皮膚の最表面から深部の弾性と粘性を同時に測定することによって、皮膚の柔軟性と硬さを数値化し、皮膚のハリ感を測定する装置を開発しました(図1)。

  • * 2 これまでの代表的な測定方法
    【皮膚の柔軟性・硬さ測定装置(Cutometer)】方式:吸引法、測定領域:主に表皮(皮膚変位 約0.4mm)

図1 皮膚の弾性・粘性を測定することによる皮膚のハリ感測定装置

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表1 女性の肌悩みに関する意識調査結果

20171005-001-02

【研究結果-2】 女性の肌悩みの意識調査結果
首都圏在住の女性247名(20代101名、40代146名)を対象に、2016年の1月と7月に、肌悩みの意識調査を行ない、その結果を表1にまとめました。その結果、日本人女性の肌悩みは多岐にわたることがわかりました。
その中で、“肌にハリがない”という意識は、加齢とともに増加傾向の悩みの1つであることがわかりました(表1)。
(2016年、花王調べ)

【研究結果-3】 “肌のハリ悩み”意識と皮膚のハリ測定データ[柔軟性(弾性)・硬さ(粘性)]との関係を解析
今回開発した測定装置を用いて、全国47都道府県の20代~60代の女性を対象に、2016年の1年間(2016年1月1日~12月31日)に収集した、皮膚のハリ測定データ[皮膚の柔軟性(弾性)と硬さ(粘性)のデータ、149,235件*1 ]を得ました。

  • * 1 ハリ感測定データ
    調査期間:2016年1月1日~12月31日、対象地域:全国47都道府県、対象者:20代~60代の女性、149,235人、
    測定箇所:対象者の右頬の化粧肌を1回測定

得られたデータ結果から、20代と40代の皮膚の柔軟性(弾性)と硬さ(粘性)を比較し、加齢にともなう、肌のハリ悩みの意識とハリ測定データ[皮膚の柔軟性(弾性)と硬さ(粘性)のデータ]の関係性について解析しました。さらに、20代~60代の加齢変化にともなう月ごとの変化についても解析しました。


【解析結果-1】 20代と40代の皮膚の柔軟性(弾性)と硬さ(粘性)を比較し、以下の結果が得られました(図2)。
・20代と40代の柔軟性(弾性)と硬さ(粘性)を比較した結果から、表1の結果(“肌にハリがない”という意識は、加齢とともに増加傾向の悩みの1つであること)と同様の傾向の結果が得られました。

図2 20代と40代の弾性と粘性の比較

20171005-001-03

【解析結果-2】 皮膚の柔軟性(弾性)と硬さ(粘性)の加齢変化および月ごとの変化から、以下の結果が得られました(図3)。
・柔軟性(弾性)は、加齢にともなって低下し、さらに1月から10月まで年代に関係なく低下傾向を示しました。
※12月から1月のところで、柔軟性(弾性)は大きく変化することも確認しています。
・硬さ(粘性)は、加齢にともなって失なわれ、柔軟性(弾性)と比較して、月ごとに大きな変化はありませんでした。

図3 皮膚の弾性・粘性の加齢変化と月ごとの変化のまとめ

20171005-001-04

(まとめ)
皮膚のハリ感を定量的に測定できる装置を開発し、加齢による皮膚のハリ感の低下傾向を定量化し、ハリ悩みとの関係性を明らかにしました。

なお、本研究内容は、平成29年度 第35回日本美容皮膚科学会総会・学術大会(2017年7月29~30日、大阪府)にて発表した内容で、優秀演題賞を受賞したものです。
また今回の成果を活用して、“肌のハリ感”の各都道府県での違いなどを解析して、加齢による皮膚のハリ感についての研究に積極的に取り組んでいきます。

お問い合わせ

花王株式会社 広報部

03-3660-7041~7042

※社外への発表資料を原文のまま掲載しています。

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