参考資料: 2017年01月11日

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睡眠時間の短縮が肥満リスクを増加させるメカニズムを解明

-花王と早稲田大学スポーツ科学未来研究所のエネルギー代謝に関する共同研究成果-

花王株式会社(社長・澤田道隆)ヘルスケア食品研究所と早稲田大学スポーツ科学未来研究所(所長・内田直)との共同研究グループは、睡眠時間の短縮が、食欲抑制ホルモンの減少や空腹感の増加などの食欲に影響し、肥満リスクを増加させるメカニズムを解明しました。
ヒトの睡眠について、これまでの疫学研究では、睡眠時間が短いと肥満のリスクが高まることが知られていましたが、睡眠時間がヒトのエネルギー代謝に及ぼす影響については、さまざまな研究成果があり、そのメカニズムについては明確になっていませんでした。

花王は、長年ヒトの代謝に関する研究を行ない、2004年には、民間企業で初めて、メタボリックチャンバー(ヒトのエネルギー代謝を、日常生活に近い環境で長時間、正確に測定することができる部屋型の代謝測定装置)を導入し、食事・運動・睡眠などの日常生活がヒトのエネルギー代謝に及ぼす影響について本質を追究する研究を深く行なってきました。今後も、メタボリックチャンバーを活用して、ほかの研究機関と協働で、日常生活がヒトのエネルギー代謝に及ぼす影響について研究を深めていきます。その研究成果が、肥満やメタボリックシンドロームなど健康寿命の延伸を阻害する要因の解決や健康維持・増進に向けた取り組みに貢献することをめざしています。

なお、本研究成果をまとめた論文は、英国Nature Publishing Groupの電子ジャーナルScientific Reportsに2017年1月10日に掲載されました。
Effect of shortened sleep on energy expenditure, core body temperature, and appetite: a human randomised crossover trial, Scientific Reports, (2017) [DOI:10.1038/srep39640]

研究概要

睡眠時間を半分にする生活がヒトのエネルギー代謝に及ぼす影響について、若い健康な男性9名を対象として、メタボリックチャンバーを用いて試験を行ないました。

<試験条件>
対象者:若い健康な男性9名(平均年齢23.2歳、平均BMI22.2)
試験方法:ダブルブラインド・クロスオーバー試験(二重盲検交差比較試験)
測定装置:メタボリックチャンバー(部屋型の代謝測定装置)、脳波測定計、直腸温度計
測定項目:エネルギー消費量、基質利用量、深部体温(直腸温)、血液検査、食欲アンケート(VAS)
試験条件:決まった食事の生活をする中で、2週間の休止期間を挟んで、以下のAかBの試験条件をランダムな順番で行ないました。
試験条件A :3日間7時間睡眠を行ない、3日目の7時間睡眠および翌日の回復睡眠を含む48時間、代謝への影響をメタボリックチャンバーで測定
試験条件B :3日間3.5時間睡眠を行ない、3日目の3.5時間睡眠および翌日の回復睡眠を含む48時間、代謝への影響をメタボリックチャンバーで測定

研究成果

(1)睡眠時間の短縮は、夜間のエネルギー消費量の増加にもかかわらず、1日のエネルギー消費量や脂質利用量には影響を与えませんでした。

(2)3日間の睡眠時間の短縮には食欲抑制ホルモンであるPYYの減少や、1時間ごとに測定された空腹感の増加などの食欲への影響が明らかになりました。

(3)直腸で測定された深部体温は、睡眠時間の短縮によって有意に低下し、深部体温の日内リズムに影響することが明らかになりました。

まとめ

本研究では睡眠時間の短縮が、エネルギーバランスに影響していることを48時間にわたる代謝測定から明らかにしました。これまでに議論されていた、睡眠時間の短縮がなぜ肥満リスクを増加させるのかという問いに対して、本研究はエネルギー代謝の面からの生理学的メカニズムの一つを提供したものと考えられます。

お問い合わせ

花王株式会社 広報部

03-3660-7041~7042

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