第7回コンテスト(2016年)

花王グループでは、世界の子どもたちに、身近な生活のエコと地球の環境・未来について真剣に考え、絵画として表現してもらい、それを多くの人たちに伝えることで、世界中の人々が暮らしの中で環境を考えて行動するきっかけとなることを願い、2010年からこのコンテストを実施しています。

7回目となる今回は、世界45か国・地域の子どもたちから13,739点ものご応募をいただきました。その中から厳正な審査により選ばれた33点の入賞作品を、子どもたちのそれぞれの作品に込めたメッセージと共にご紹介します。

受賞作品のご紹介

いっしょにeco 地球大賞

「森の鼓動」
小林 晃さん
(15歳 日本)

絵に込めた思い

森に入ると木の鼓動が聞こえる気がする。エネルギーがもらえる。心が元気になる音にならない木の鼓動を表現したかった。一つ一つの点に、木の鼓動とエネルギーをこめて森林の声を表現した。森林によって、人間や生き物が生かされている事を表現したかった。声にならない森林の声を表現したかった。

審査員講評

モチーフの取り上げ方は樹木のみとシンプルだが、細部にいたるまで表現は非常にデリケート。人物は描かれていないのに、その背後にある土壌づくりや剪定といった、木を大切に育てるための大勢の人々の行動までをも感じさせる。繊細でありながらもダイナミックで力強いエネルギーにあふれている。説明的な表現の作品も多い中、人物や動物をも排して樹木の生命力だけでメッセージを強く伝え切っており、地球大賞にふさわしい作品である。

いっしょにeco 花王賞

「友だちを思い合う場所」
Ayda Afzaさん
(7歳 イラン)

絵に込めた思い

昔、いるのは神さまだけで、人間は誰もいない時がありました。小さなクジラが、海で遊んでいました。船とキリンも、地球で遊んでいました。首の長いキリンは水の中を見て、魚とクジラにあいさつしました。一緒に遊ぼうよ、と、キリンは言いました。ここにいないと生きられないんだ、ここから出たら死んじゃうんだよ、と、小さなクジラは言いました。君は水の中にいて。ぼくは陸にいるよ。そして、一緒に遊ぼう、と、キリンは言いました。

審査員講評

地上の緑にはキリンやウサギ、ヒツジやウシ、水中の青の部分にペンギンや魚。自然界や生命のすばらしさをシンプルに伝えてくれる作品だ。きっと自分がいちばん平和に感じる世界を描き出しているのだろう、明るさや力強さに満ちている。色彩感覚にも優れており、ウサギやヒツジ、ウシの白色、キリンの黄色、家や魚の紫色など、随所にアクセントとなる色味が配されている。バランスのよい色づかいも天性のセンスを感じさせる。

「動物は生き物だよ!」
Gayle Pow Kai Xinさん
(6歳 シンガポール)

絵に込めた思い

私はウサギが大好きです。ほかの動物もそうですが、毛皮や、牙や、肉を取るために狩られてしまっています。中には、もういなくなってしまいそうな動物もいます。私は、ただの「ぬいぐるみ」ではなく、本物の動物がいっぱいのところで大きくなりたいです。この絵の中では、子どもたちはリビングでぬいぐるみとして動物をかわいがるだけで、本当の姿を見ることができません。ぬいぐるみのようにかわいいけれど、私たちは、動物を大事にして、守っていくことを学ばなければいけません。私がぬいぐるみを選ぶ時は、本物の毛皮を使っていないかどうかにも気をつけています。

審査員講評

みんなぬいぐるみのウサギをかわいがるけれど、本物のウサギはどうしているのだろう、と作者は思いを馳せている。それなら両者を一緒に外で遊ばせてあげようという優しい発想の作品だが、ぬいぐるみも本物も、そして人間も、すべてが幸福に混じり合った世界観が描き出されている。ほのぼのとしたウサギの表情やハートのかたちをした鼻はかわいらしく描かれ、にじんだ赤色と青色がこの絵が持つ素直で可憐な雰囲気を上手に盛り上げている。

「森の美しさの本質」
Nicholas Low Kai Tengさん
(11歳 マレーシア)

絵に込めた思い

木々に、いったい何が起こってしまったのでしょう?世界は木々でいっぱいでした。でも今は、オフィスビルに代わってしまっています。この木は以前、私の家のそばにあって、かくれんぼの時はこの木の後ろに隠れたものです。その後、この木は切り倒されてしまいました。木々は美しいものです。これを残さなければ、後の世代がこの美しさを見ることはありません。それに、木々は酸素を生み出します。
つまり、私たちは木々を守り、切り倒すのではなく、植えるべきなのです。森はきれいなままでしょう。木々は美しいままでしょう。人間は気持ちよく息ができるでしょう。酸素とオフィスビル、私たちに必要なのはどちらでしょうか?

審査員講評

みんなで森に行くというシーンを描写している。特別なメッセージ性は持たせていないにも関わらず、まるでその場に立っているかのような森の臨場感や画面全体にみなぎる木々の躍動感によって、自然に対する愛情が胸に迫ってくるような作品だ。実際に森を訪れ、大自然の中に自分の身を置くことで、あらゆることに気づいたり、考えたりすることができるはず。この作品の個性でもあるナチュラルな表現によって、そのことに気づかされる。

「環境を考えよう!」
Kameliya Danailova Nikolovaさん
(12歳 ブルガリア)

絵に込めた思い

私たちは毎日、何かの形で自然の資源を使っています。私の絵は、人間の考え方を変える必要があることを表しています。私たちは、自然のためになるよう、考え方を変えなければならないのです。私たち自身を変えなければ、私たちの宝物を失ってしまうからです。宝物、それは、新鮮な空気、自然の色、世界の多様性です。
私が伝えたいのは、環境を考えよう!自然のサインに従おう!ということです。

審査員講評

さかさまの子どもと対になるように木のようなものが描写されている。背景にある道は未来へとつながるのだろう、標識には我々人間がやるべきメッセージが書き込まれている。この子どもにとって標識に書かれた行為はどれも当然のことで、なぜ今まで大人は取り組んでこなかったのかと不思議に思っているのかもしれない。現代の課題に向き合おうとする姿勢を感じさせながら、「誰が世界をこんなふうにしてしまったの?」と、社会に対して鋭く問いかけているかのようだ。

「大好きな自然の力」
Nelson Mac Rivoalさん
(8歳 フランス)

絵に込めた思い

毎日の暮らしで使う電気を生み出す風の力と太陽の力は、空気を汚さない、きれいなエネルギー源です。こう考えて、自然が生み出すエネルギーを楽しんで使っている、うれしそうな人たちの絵を描きました。自然のエネルギーで、人は自然を身近に感じ、空気や水を汚すことなく、健康で幸せに暮らせるのです。

審査員講評

環境にやさしいものを生活に取り入れようというメッセージがきちんと伝わってくる。自転車と風車、回転という共通項を持つモチーフの組み合わせ方もユニーク。画面に点在する青色の葉や茶色の幹、家の赤色の屋根、黄色の風車の羽など、色づかいや構図はシンプルながらも個性を感じる。さりげなく描かれた紫色のゾウや鳥等もかわいらしい。風車の羽の回転に沿うように、細く、やわらかなタッチでサークルが描かれているが、これは風を表しているのだろう。表現力も高い。

「まなざしの力」
Rucsandra Oana Sabauさん
(8歳 ルーマニア)

絵に込めた思い

この作品は、人間と自然との調和を表しています。自然がどのように花や、くちびるや、目に映っているか・・・。
ルーマニアの古いことわざに、『目は心の鏡』というものがあります。この絵の中に描かれたものは、決してたまたまここにあるのではありません。前だけを向いているフクロウは、ヨーロッパの文化では昔から知恵と理性のシンボルで、人間がすることをしっかり見つめています。
たくさんの色を使っているのは、私の心の中にある喜び、私の年令の純粋さ、無邪気さを表したものです。

審査員講評

フクロウやミミズクと共存できるような環境を守っていきたいという思いがストレートに伝わってくる。堂々と描かれた人物は表情が豊かで、何かを訴えかけようとしている。よく見ると、目が花になっていたり、太陽になっていたりと、何かを訴えようという力も感じさせる。フクロウとミミズクもきちんと描き分けられており、その知識の深さや観察眼には感心させられる。表情豊かな表現で、じっくりと眺めたくなる作品だ。

「関心を寄せれば、自然はほほえむ」
Viola Arielle Suliandyさん
(12歳 インドネシア)

絵に込めた思い

どんな方法でも、環境について学ぶことはできます。これは、環境保護の大切さと、自然を守る方法についてのお芝居を上演しているところです。
このお芝居は、私たちが自然を気づかい、守ろうという気持ちを持てば、木々も、山も、鳥も、太陽も、自然のすべてが幸せそうにほほえむということを、子どもたちに教えてくれます。

審査員講評

近年、インドネシアは経済成長が進むにつれて環境汚染が問題になりつつある。しかし、この国の人々はそのことをいち早く勘付いており、きちんと学びたいという意識を持っている。画面中央に描かれたステージでは、エコのこと、未来を守るためにやらなければならないことを劇にして生き生きと伝えている。ともすれば押し付けがましくなりがちな環境問題だが、劇にしてみんなで楽しみながら共有するという姿勢が表れている。その発想や着眼点に感心させられた。

「神話のような時」
Zi Ying Diongさん
(7歳 マレーシア)

絵に込めた思い

何もかもが完ぺきに美しかった時がありました。自然が汚されることもなく、何の心配もありませんでした。今でも、その時に戻ることはできます。私たちがたった1つ、簡単なことをすれば。リサイクルをすることで、あの神話のような時に戻ることができるのです。

審査員講評

カエルは生物多様性や環境の「質」のシンボル。このカエルが元気でいるうちは環境が健全である様子を表現しているのだろう。ほがらかな表情で上を見つめるカエル、卵やオタマジャクシの描写によって、未来へと続く希望を感じさせる。子どもたちは生き生きとしたカエルの姿を見つけて安心しているのかもしれない。葉や花びらは一枚一枚異なるパターンが描かれているが、そのすべてが見事に調和しており、画面構成力もすばらしい。

優秀賞

「自然との融合」
Aidjan Useinova Asanovaさん
(15歳 ブルガリア)

作品講評

詩的かつ私的な表現が秀逸。個々の人間が幸せになれば、いずれ世界中が幸せになる、そうした深いメッセージが込められている。非常に孤独に見えるが、実は希望に満ちた作品である。

「雨ごい」
Alexandra Ciucuさん
(11歳 ルーマニア)

作品講評

国に伝わる文化を大切にしたいという思いを感じさせる。生の喜びや季節の移り変わりという壮大なモチーフが見事な画面構成力で一枚の絵の中に描きこまれている。

「環境を考える私のメッセージ」
Amelyn Ng Hwee Ernさん
(12歳 シンガポール)

作品講評

じょうろには節水のアクション、植物が根を張る地中にもさまざまなヒントが描写されている。日々の生活の中での工夫で地球環境は維持できることを笑顔の花が物語っているかのようだ。

「私たちの農村の美」
Chathushka Jeewantha Pereraさん
(11歳 スリランカ)

作品講評

豊かな自然や美しい空気、生き生きとした動物など、モチーフの大きさや遠近感はばらばらだが、一つの作品としてきちんとまとめ上げられている。幸せに満ちた世界を感じさせる作品でもある。

「木を植えて世界をつくろう」
Cholada Tarbtongreangさん
(10歳 タイ)

作品講評

みんなで苗を植えるというシンプルな行為だが、人物が黄金に輝いて見える。まるで神が宿っているかのようだ。それぞれの人物はきちんと描き分けられ、表情が豊か。個性や性格までも伝わってくる。

「電気の使いすぎをやめて、環境を守ろう」
Diandra Rifky Rahmayaさん
(9歳 インドネシア)

作品講評

モチーフは電球。その中には美しい山や海、そこで遊ぶ人々が生き生きと描かれている。電球自らが節電しようとしているのか、灯りのスイッチを押しているなど、発想が豊かな作品。

「幸せは身近なところに」
Janice Dorothea Hendraさん
(9歳 インドネシア)

作品講評

夜、ホタルの光さえあれば遊ぶことができるということが表現されている。ホタルが生息できる環境を自分たちで守っていきたいのだろう。やさしく輝く光が未来への希望をも感じさせる。

「ふるさとを守ろう!」
Jeremy Lu さん
(12歳 台湾)

作品講評

幸福と不幸、相反するものが入り混じりながら画面を埋め尽くすようにぎっしりと描き込まれ、独特の奥深さと密度がある。中央の人物が手にする若葉に未来につながる希望が託されているのだろう。

「自然」
Jo Xin Liewさん
(7歳 マレーシア)

作品講評

フクロウを中心に、夜の森の昆虫の営みや美しい月が伸び伸びと描かれている。飛び交っているホタルの表現が見事。電気が無くても明るい世界があることを示唆している。色彩感覚もすばらしい。

「失われた色」
Katherine Chuさん
(11歳 台湾)

作品講評

鮮やかな色づかいの作品が多い中、モノクロームな中にさりげなく淡い色が配され、生命の息吹や未来への希望を感じさせる。繊細な表現技法を複数組み合わせている点も見事だ。

「優しい気持ちで自然とひとつに」
Kennard Alvaro Hadinataさん
(8歳 インドネシア)

作品講評

人間と動植物が楽しそうに共存している。眺めていて温かな気持ちになれる作品だ。人間だけが幸せになれればいいのでなく、万物がそうであってほしい。そうした願いがひしひしと伝わってくる。

「生命の花」
Maryia Leshakovaさん
(11歳 ベラルーシ)

作品講評

植物を慈しんでいるように見える反面、コンクリートに囲まれていることから、数少ない植物を懸命に再生しようとしているようにも見える。シンプルな構成でありながら多角的な見方ができる作品。

「水を大切にしよう」
Melany Bustamanteさん
(7歳 アルゼンチン)

作品講評

作者なりに一生懸命に環境問題について思いを巡らせているのだろう、素直な描写からそのことが伝わってくる。水滴には表情が描き込まれ、無垢な発想力に満ちている作品だ。

「家はいつもきれいに清潔に」
Nattha Kaeokamkongさん
(8歳 タイ)

作品講評

躍動感にあふれた作品。リサイクルできるものを拾っているのだろうか、大切そうに手に取ったり、頭上に掲げたりする描写に感銘を受けた。楽しみながら行動している雰囲気にも満ちている。

「サイクリングに行こう」
Sheren Valerie Hartoさん
(14歳 インドネシア)

作品講評

急速に車社会が進むインドネシアでは交通事故が多発している。道を占める大勢の人の描写に安全な社会や環境を取り戻したいという強い意志を感じる反面、人々のおだやかな表情の描写に心が和む。

「緑の再生」
Shwu Dyi Tiongさん
(15歳 ブルネイ)

作品講評

モチーフは葉。上部は工場の煙突とそこから排出される煙、下部には動植物が描かれている。豊かな発想力と高い画面構成力を感じさせる。かすかにグラデーションがかった色彩感覚や描画力も秀逸。

「自転車に乗り換えて、美しい地球を守ろう」
Taniella Lieさん
(12歳 インドネシア)

作品講評

家族のフレンドリーな雰囲気がよく出ている。温かい雰囲気や一人ひとりの表情も魅力的だ。4人乗りの自転車というユニークな発想には家族愛を感じる。

「私たちの地球を守ろう!」
Vo Thi Thanh Thaoさん
(13歳 ベトナム)

作品講評

大きな葉の上に万物があり、家族もいる。豊かな自然や平和な暮らしを守りたいという思いがひしひしと伝わる作品だ。モチーフも色合いもさまざまだが、一つの作品として上手にまとまっている。

「森を守れば私たちが守られる」
Wacharakorn Kwinramさん
(8歳 タイ)

作品講評

人々が協力して1本の大木を支えている。一人でも手を放してしまうと、もう元には戻らないことを示唆しているのかもしれない。みんなで自然を守りたいという思いがシンプルに伝わってくる。

「自然保護」
Wiruwat Wiratchindaさん
(15歳 タイ)

作品講評

情感あふれる作品。豊潤な世界観が見事にまとめ上げられている。メインのモチーフのゾウはタイで幸せの象徴とされているが、大胆かつ多幸感にあふれる描写がすばらしい。

「私たちの木々を守ろう」
Yong Qi Leeさん
(9歳 マレーシア)

作品講評

ピンク色の装いの人物は、もしかしたら森の妖精ではないだろうか。魚やカエルを慈しんだり、じょうろで水やりをしたりと、一人ひとりの思いやりや行動が環境保護につながることを想起させる。

「自然」
Zhi Hao Leeさん
(11歳 マレーシア)

作品講評

悠々とした自然の様子が豊かな色彩で見事に描かれ、いつまでもこれを守っていくという覚悟が伝わってくる。この川は理想の未来へとつながっているのだろう、前進する船がそれを示唆している。

「もし木が1本しか残っていない街だったら」
Zixuan Wangさん
(9歳 中国)

作品講評

赤色や黄色など、彩度の色合いが目を引く。街中に林立するビル群の中に1本だけ木が現れ、そこに巣をつくる鳥。ここから徐々にこの光景が広がっていくのではないか、そうした希望を抱かせる。

「酸素カー」
Zubaida Afroz Raytaさん
(10歳 バングラデシュ)

作品講評

背景にはドロッピングのようなフィジカルな表現手法も取り入れながら生き生きと描写。色数を絞りながら、自然と文明が融合した理想の社会をわかりやすく表現している。

下記より「第7回(2016)入賞作品集」をご覧いただけます。

審査風景

第7回を迎えた今回の絵画コンテストには、45か国・地域から13,739点(国内1,407点、海外12,332点)の応募がありました。予備審査を経て、2016年10月17日、本審査会を行ないました。
さまざまな国・地域から寄せられた絵画作品がずらりと並んだ審査会場の様子は、まさに圧巻。審査の基準となったのは、地球環境改善への願いが感じられるか、環境問題を考える上で新鮮な視点を与えてくれているかなどです。
6名の審査委員は1枚1枚の絵画を細部に至るまで丹念に眺め、子どもならではの素直な表現に感心したり、時に驚かされたりしながら、厳正に審査を進めていきました。
環境問題という共通のテーマはあれど、表現方法や着眼点は実に多種多様。その国の文化など、お国柄ををひしひしと感じさせる作品も多くあり、なかには絵画そのものが異文化交流の一端を十分に担えるパワーを秘めた作品もありました。
最終的に、約400点の中から「いっしょにeco地球大賞」1点、「いっしょにeco花王賞」8点、「優秀賞」24点を決定しました。

予備審査の様子

予備審査の様子

本審査の様子

本審査での討議

審査員の総評

【益田 文和 先生】
(審査委員長、元 東京造形大学 教授)

この絵画コンテストは今回で7回目となる。回を重ねるにつれ、コンテストの個性や方向性が明確になってきた。特に今回はその兆候が顕著に感じられた。環境保護をストレートに訴求するものに加え、強いメッセージ性を密かに潜ませているような絵画的な作品を数多く見られたことは収穫だった。作品のクオリティもさることながら、参加国・地域、応募数ともに増え、審査のやりがいも感じている。子どもたちのためのコンテストでありながらも、世界各国の生活や環境に対する意識が見える機会として、このコンテストが周知されていくことを願う。

【大久保 澄子 先生】
(美術家)

近年はスマホが普及し、インターネットやゲームなど、機械の中に人間が入り込んでいくような行為に危機感を感じている。それらを全否定するつもりはないが、自然と共存することの大切さがだんだん軽んじられてきているように思う。しかし、今回の絵画コンテストの応募作品を見ているうちに、そうした思いは徐々に払拭されて安心感を覚えた。手を動かす、物を見る、自然と真剣に向き合う。今を生きる子どもたちこそ、こうした機会を得ることが望ましい。その為にも、このコンテストがますます広がっていくことを期待している。

【松下 計 先生】
(東京藝術大学 教授)

近年、グローバル化が叫ばれているが、文化はローカリティに根差している。グローバルに目を向けすぎると、自分たちの本来あるべき姿を見失ってしまう可能性もある。今回の応募作品には、社会を変えるための具体的な提案よりも、日常を感じさせるリアリティのあるものが多くあった。世の中はロジックではなく、まずはイメージからできている。そのイメージは、自分の目線の高さで見ている地域に根差したビジュアライゼーションなのだ。世界中のそれぞれ異なる幸せのかたちが子どもたちの絵から垣間見えた。

【オヤマダヨウコ 先生】
(イラストレーター)

自国の文化を大切にしたり、日々の暮らしを掘り下げたりといった作品が目立ち、よい兆候だと感じている。15歳までの子どもを募集対象にしているが、第1回に出品した15歳は、今年で22歳。社会に出ているかもしれない。このコンテストを通じて真摯に環境問題と向き合いながら作品をつくり上げたことがきっかけとなり、環境関連の仕事に就くなど、具体的なアクションを起こしているかもしれない。そうした時代にさしかかっていることを考えると、このコンテストの存在価値はますます高まっていくのではないだろうか。

【石渡 明美】
(花王株式会社 執行役員 コーポレートコミュニケーション部門統括)

2009年に花王が「環境宣言」を発表してから7年が経つが、社会的にも環境やエコに対する考え方は変わりつつある。以前は「やらなくては」という義務感からやっていた行為も、次第にやることが当たり前になってきた。今回の応募作品を見ていても、それがありありと感じられ、意識の高さに感心させられた。今の子どもが大人になったとき、どんな社会になっているのだろう。私たち大人の態度や振る舞いが子どもの環境への意識を育んでいるという責任とともに、次世代を担う子どもたちに企業として何をすべきかを考えさせられる契機になった。

【片平 直人】
(花王株式会社 作成部門 部長)

回を重ね、過去の作品に影響を受けたり、環境問題へのヒントを得たりと、互いの視点を学ぶよい機会になっているように感じる。今回はその上で、自国の文化や取り組みを改めて見つめ直したような作品が出てきた。その国には今まで見られなかったような表現でありながらも、まさにその国ならではという新しい視点や発想が生まれていることがすばらしい。今回選ばれた作品も、見た子どもたちに新たな刺激を与え、自分たちの国や文化にもこんないいところがある、と再び応募してくれる契機になればうれしく思う。

第7回コンテスト表彰式

2016年12月8日(木)~10日(土)に開催された「エコプロ2016」(東京ビッグサイト)の会場内の花王ブースにおいて受賞作品を展示し、最終日の12月10日には、受賞者代表を招いて、表彰式を行ないました。

当日は「いっしょにeco 地球大賞」「いっしょにeco 花王賞」に選ばれた上位9名が参加。表彰式が始まる前には交流会を行ない、審査委員長の益田文和先生、社長の澤田道隆が、子どもたち一人ひとりに作品の感想を伝えると、どの受賞者も満面の笑みで作品に込めた願いや絵に対する思いをたっぷりと語ってくれました。

続く表彰式では、益田先生から「環境へのメッセージ性を密かに潜ませているような絵画的な作品が数多く見られ、大変感心させられました」との講評をいただきました。過去最多の応募があった今回のコンテストですが、益田先生の言葉からは、作品のレベルの高さもうかがい知ることができました。

澤田から受賞者に表彰盾と記念品が授与された後、「いっしょにeco 地球大賞」を受賞した小林晃さんによるスピーチが行なわれました。小林さんは自身の作品について、「学校の美術室の窓からいつも見ていた大木がモチーフです。でも、切り倒されてしまって、今はもうありません。僕の心に今も残っているあの木の姿を描きました」と語ってくれました。生命力にあふれた大木が印象的な小林さんの作品ですが、そのエピソードからは小林さんの自然に対する優しさとあたたかなまなざしが伝わってきました。

表彰式後のインタビューセッションでは、それぞれの受賞者から自分が暮らす国・地域の環境や、絵に込めた思いなどが語られました。

受賞者を代表しスピーチを行なう大賞受賞の
小林 晃さん

花王賞受賞のAyda Afzaさんに
表彰盾を授与

受賞者の皆さんのインタビューセッション

受賞者の皆さん、審査委員長の益田先生(左)、
社長の澤田(右)と記念写真

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