発表資料: 2011年06月06日

『幼児の歩数実態調査』 

~親の意識とさまざまなシーンでの幼児の歩数実態を調査・分析~

花王株式会社(社長・尾崎元規)ヒューマンヘルスケア研究センターでは、紙おむつの開発をとおして幼児が日常生活を快適に過ごせる状態を創造するためのさまざまな研究を続けてきました。このたび、もともと活発に動きたがる幼児が、現在のさまざまな社会的・文化的な環境下でのびのびと活動しているかを調べるため、日常生活における運動量を示す客観的な指標として歩数を用いて調査を行ないました。

日常的な運動である歩行実態を知ることは、健康の維持向上のためにも必要です。歩数調査に関しては、大人や小学生などでは健康増進や体力向上などの目的から1日の歩数が調査され、目標歩数などが示されていますが、歩き始めから2~3歳までの幼児の歩数調査はこれまでほとんどされていませんでした。

調査にあたっては、心身の成長が著しい時期の歩行実態だけでなく、親が自分の子どもの歩行をどの程度把握しているか、中学生までをも含めた全体の中で幼児の歩行実態がどうなっているか。さらに家族との生活シーンにおいて歩数がどのように影響されるかなど、できるだけ細かく調査・分析しました。

なお、本調査結果の中で、「調査2:子どもの歩数調査について」は、大分こども病院(藤本保先生・木下博子先生)との共同研究として2010年9月16~18日、日本小児保健学会で発表しました。

調査結果の概要

●幼児は、親が想像している以上にたくさん歩いている
●幼児にとっての歩行の重要性を親は認識している
●1歳児の1日の歩数の平均は約7,500歩、2~3歳児は大人の平均歩数を上回る
●保育者が多いと幼児の歩行活動は増加する
●好奇心を満たすための幼児の行動が歩数を増加させている

データトピックス

●幼児の歩行動作調査 
~股下のモコモコ感を低減することで足(股)を閉じて大きく歩行できる~

調査概要

今回の調査では以下の実態を調べました。

調査1
幼児を持つ母親の意識調査

調査2、3
家族との生活における幼児の歩数調査

【各調査方法】
調査1
●調査期間:2010年9月
●調査対象:0~9歳までの子どもを持つ全国の母親398名
●調査方法:郵送によるアンケート用紙に記入(回収率89%)

調査2
●調査期間:2009年10月~2010年7月
●調査対象:1~15歳の子どもとその母親74組
●調査方法:歩数計による歩数計測と質問紙記入

調査3
●調査期間:2010年12月~2011年1月
母親と過ごす日、両親と過ごす日(各2日以上)
●調査対象:3歳以下の歩行可能な幼児と暮らす家族(男児:1名、女児:6名、両親:5組)
●調査方法:歩数計による積算歩数計測と日誌記録(時間・場所・移動手段など)

調査結果

調査1:母親は幼児にとって「歩く」ことは特別な意味があると考えている

母親にとって、わが子の成長を目の当たりにするのはうれしいものです。寝返り、ズリばい、ハイハイなどの成長に合わせて行動範囲が広がり、右へ左へと移動する姿は母親を喜ばせます。そして何より大きな成長を感じるのは、ひとり立ちやひとり歩きではないでしょうか。

母親たちは「赤ちゃんの歩行」は単なる「移動」とだけ考えているわけではないようです。0歳から9歳の子どもを持つ母親に「我が子と同じ年齢の子どもが歩くことは、どのような意味があるのか」を確認しました。すると「体力をつける」「健康を維持する」といった体力増進やからだづくりだけでなく、「好奇心を刺激する」「知力/知能が発達する」といった精神面や知力面にもよい影響を与えると考えられているのは、特に自立歩行し始めた0~2歳の子どもの母親でした。さらに「歩行」の延長線上にあると思われる「走る」と比較すると、「歩く」と「走る」の意味の違いが一目瞭然で、この時期(0~2歳)の子どもの「歩行」には、特別な意味が込められているのではないでしょうか。(図1)

では、母親はわが子の歩数をどれくらいと考えているのでしょうか。
昨年9月に行なった調査によると、1歳の子どもを持つ母親の半数は、わが子の1日の歩数を4,000歩未満と考えていました。子どもの年齢が高くなるに従い想像される歩数は増えていきますが、2~3歳児でも大人の平均歩数以上だと想像したのは、半数にも満たない人数でした。(図2)

調査2:1歳児の1日の平均歩数は約7,500歩、2~3歳児は大人以上

子どもおよび母親の実際の歩数を調べました。子どもの歩数は個人差が大きいものの、1歳児では平均約7,500歩でした。2~3歳児では平均が8,000~11,000歩で母親よりもたくさん歩いていました。(図3)また前項で示した、母親が想像していた歩数(1歳児の半数は4,000歩未満)よりもはるかにたくさん歩いていました。母親の歩数は子どもの年齢や性別と相関は認められませんでした。(図4)
この結果から、幼児は日常生活で想像以上に歩いている実態が明らかになりました。

調査3:保育者が多いと幼児の歩数は増加し、大人より多くなる

親子が一緒の時に歩数計をつけてもらい、子どもの歩数に対して一緒にいる保育者の影響があるかどうかを調べました。調査した5組の家族すべてにおいて、保育者の多い時の方が幼児の歩数が増加し、その歩数は一緒にいた大人より多くなっていました。また母親も幼児と父親がいた方が歩数は増加しました。さらに1日中家族一緒に行動した場合、幼児の歩数が家族でトップであることが多く、幼児の歩数は 1.5~2倍以上になりました。(図5)

また、同じ距離を移動するとき、歩幅が短い幼児の歩数が大人に比べて多くなる傾向がみられます。しかし、自らが自由に歩く公園や室内でも大人の歩数より多くなることや、同行者が多いと歩数が多くなることから、幼児は好奇心を満たすために積極的に歩数を増やしていると考えられます。(図6)

データトピックス:幼児の歩行動作調査

股下のモコモコ感を低減することで足(股)を閉じて大きく歩行できる

幼児にとっては、日常生活の歩行が重要な運動となり、心身の発育に大きな影響を与えると考えられています。そのため幼児の歩行をできるだけ不自由なくしてあげることは、健康の維持・向上に重要な役割を果たします。

2005年に花王生活者研究センターが、母親に実施した「幼児が歩きやすい紙おむつの条件」に関する調査では、6割以上の母親が「股の部分がモコモコしない」ことを重視していることが判明しています。

そこで股下がモコモコする場合とそうでない場合で、幼児の歩行にどの程度の影響が現れるのかについて歩行動作の解析を行ないました。

【調査概要】

●調査対象:2歳の幼児10名
「従来品(09年改良品)」と「改良品(11年改良品)」をそれぞれ着用
無加圧下、人工尿(生理食塩水)160gをおむつ吸収体に注入
(「従来品(09年改良品)」:吸収体中央にスリットなし)
(「改良品(11年改良品)」:吸収体中央にスリットあり)
●調査方法:反射マーカーを皮膚表面上に10点貼付し、8台のカメラで歩行動作を撮影
●動作解析:「歩行速度」「ストライド長」「ステップ長」「歩隔」について3次元移動の程度を比較(図7)

【調査結果】

「歩行速度」では、「従来品(09年改良品)」と「改良品(11年改良品)」の間で有意な差は認められませんでしたが 「ストライド長」「ステップ長」「歩隔」においては、「改良品(11年改良品)」で大幅な改善がみられました。(図8)

この結果、股下がモコモコしないことで幼児の歩行は改善され、より自然な歩行が実現することがわかりました。

※社外への発表資料を原文のまま掲載しています。