発表資料: 2011年01月11日

泡状ヘアカラーの泡制御技術を深化

■泡立ちと泡安定性を向上し、さらに使いやすく。
■この技術を活用し、グローバルな商品展開を加速。

花王株式会社(社長・尾崎元規)ビューティケア研究センターは、簡単にきれいに染まるヘアカラー技術の検討を行なっています。このほど、スクイズフォーマー* を使用した泡状ヘアカラー(染毛剤)の泡制御技術を深化させ、特定の活性剤とゲルの応用により、泡立ちと泡安定性(泡が壊れにくい)を向上させることに成功しました。これにより、より泡を広げやすく、かつ泡が垂れにくくなり、さらに使いやすくなりました。

スクイズフォーマーを使用した泡状ヘアカラー技術は花王が初めて開発し、2007年夏より日本では「プリティア」や「ブローネ」のブランドで商品化して多くの消費者から支持を得ていますが、この技術を活用してグローバルな商品展開を加速させてまいります。

* スクイズフォーマー
ボトルをスクイズする(容器を軽く押す)ことにより、ボトル内の内容液と空気を混合器内で混合し、泡を吐出する容器。

この泡状ヘアカラーは、第1剤と第2剤の混合液をスクイズフォーマーから押し出すだけで豊かな泡が得られ、泡のボリュームやなめらかさにより、手に取って髪全体に塗り広げて指先でもみ込み、髪のすみずみまで浸透させることができます。また髪にとどまりやすく、髪の根元や頭の後ろ側などの塗りにくい部分もムラなくきれいに染めることができます。この泡は塗り広げたあとに髪に色を定着させるため20~30分間放置する間も泡がほとんど壊れません。そのため液垂れせず、肌や周辺を汚しにくく安心して使えます。

今回の成果は、世界中の多様な髪質、ヘアスタイル、色のバリエーションなどに対応した商品開発に活用し、グローバルな商品展開を加速させています。アジアでは香港、シンガポール、マレーシアで販売し、2011年春にはタイで販売予定です。欧州でも2010年秋から販売を開始しました。

今回の技術は、IFSCC(国際化粧品技術者会連盟 The International Federation of Societies of Cosmetic Chemists、2010年9月20~23日、アルゼンチン・ブエノスアイレス)で、発表しました。

研究背景

ヘアカラー(染毛剤)は、白髪染めやカラーリングを楽しむため、世界中で広く使われています。その技術は2剤式が主流で、第1剤には染料や溶剤、第2剤には過酸化水素が配合され、髪の脱色と染毛を同時に行ないます。使用法は、使用直前に第1剤と第2剤を混合して、髪に塗布し、髪に色を定着させるため通常20~30分程度放置して染毛し、洗い流します。

スクイズフォーマーを使用した泡状ヘアカラーが販売された2007年頃までは、代表的なヘアカラーの剤型はクリーム状や液状でした。これらは、染毛中に剤が髪から垂れ落ちないよう、粘度が比較的高めに設計されています。しかし髪の全体や根元などのすみずみまで剤を塗り広げるため、クシやハケなどの道具を使って髪を少しずつ分けながら塗るので、手間と時間がかかることに加え、髪の根元や頭の後ろ側などの塗りにくい部分に剤が均一に塗布できず色ムラができることがありました。実際に自宅で染めている女性を対象とした当時の調査では、39%が「後ろや髪の内側が染められない」、27%が「ムラになってしまう」、19%が「髪を分けながら染めるのが面倒」といった不満があがっていました。(花王調べ、2007年11月、首都圏女性107名)

そこで、髪のすみずみにまで剤を浸透させることを目的にさまざまな剤型や道具を検討し、泡のボリューム、やわらかさ、広がりやすさ、指先の器用さを利用し、泡を手で髪に直接塗り広げることが、髪のすみずみにまで剤を浸透させる手段として適当と判断しました。

このときの主な課題は2点あります。ひとつ目はスクイズフォーマーを用いて液状の剤に空気を含ませて泡立たせたときに豊かな泡立ちが得られること、2つ目は髪に塗り広げ中とその後の20~30分間の放置時間中に泡が消えずに液垂れしないことです。また、ヘアカラーは2つの剤を混合して使用しますが、第1剤には染料や溶剤などの泡を消す作用(消泡作用)を持つ成分を多く含み、また第2剤には過酸化水素などの他成分を分解しやすい成分も含みます。これより、この2剤式の系に適合した起泡剤や泡安定化などの泡制御技術を中心に深化させてきました。

研究結果

泡立ちの向上を目的に、第1剤中に染料や溶剤の消泡作用に影響されにくい起泡剤として特定のアニオン活性剤(AGS:アシルグルタミン酸ナトリウムなど)を見いだして添加しました。これによりスクイズフォーマー吐出時に、従来よりキメの細かい豊かな泡立ちが得られました。

泡安定性(泡が壊れにくい)の向上を目的に、第2剤中に過酸化水素の酸化作用に影響されにくいSTAC(塩化ステアリルトリメチルアンモニウム)とCetanol(セトステアリルアルコール)などによるゲルを、低濃度で安定に分散させました。このゲルは低粘度のため、スクイズフォーマーで使用できて泡立つ低粘度の液の設計に有用であることがわかりました。またゲルは、泡立て後の泡を形成する泡膜中に分散し、ゲルにより粘性(構造粘性)が付与されることで、泡膜内の粘度が上がり排液(液の流動)が抑制されます。さらには、ゲルの種類と濃度を調整することにより、泡の広がりやすさを保ちながら、塗り広げたあとの放置中に消えない、従来より高い安定性を持つ泡構造の設計が可能になりました。

以上の技術により、使用時に、より泡を広げやすく、かつ泡が垂れにくくなり、さらに使いやすくなりました。


※社外への発表資料を原文のまま掲載しています。