発表資料: 2010年04月23日

メタボと予備軍の人を対象に、
歩行運動への高濃度茶カテキンの効果を検証

1日当たり1,000歩増やした場合を比べると、
高濃度茶カテキンの継続摂取により体重減少1.3倍に

花王株式会社(社長・尾崎元規)ヒューマンヘルスケア研究センターは、同志社大学スポーツ健康科学部の石井好二郎教授、同大学健康体力科学研究センターの宮崎亮研究員と共同研究を行い、歩行運動による体重減少の効果が、高濃度茶カテキンを継続摂取することでアップすることを明らかにしました。

これまで、歩行運動が体重減少やメタボリックシンドローム防止に有効なことはよく知られています。また、高濃度茶カテキンの継続摂取によって、脂肪の燃焼量が増加することなどが報告されています。そこで今回は、歩行運動と高濃度茶カテキンの継続摂取の組み合わせが体重減少に及ぼす効果について検証しました。

試験は、メタボリックシンドロームおよびその予備軍と診断された男女44名(33~79歳)を対象としました。まずは摂取前に、被験者の現状の歩行数を歩数計により測定し、歩行数などに応じて被験者ごとに目標とする歩数を設定しました。そして高濃度茶カテキン摂取群と対照群に分けて歩行指導を実施し、試験開始時と約3カ月後に、歩行数、体重などを調べました。

その結果、両群ともに歩行指導により歩行数が増加し(高濃度茶カテキン摂取群:プラス1,498歩/日、対照群:プラス2,795歩/日)、それに伴い体重、BMI、ウエスト周囲径、ヒップ周囲径が有意に低下しました。また、高濃度茶カテキン含有飲料の継続摂取により、この歩行運動の効果がさらにアップすることが認められました。すなわち、体重は、たとえば厚生労働省が「健康日本21」で目標としている1日当たり平均歩数を1,000歩増した場合を比べると、対照群が約-1.4kgの体重減少に比べて、高濃度茶カテキン摂取群は-1.9kgで体重減少の効果が約1.3倍に増加しました。

また、高濃度茶カテキン摂取群は対照群に比べてメタボリックシンドローム改善の項目のひとつである善玉(HDL)コレステロール値が増加傾向にあり、メタボリックシンドロームの診断基準となる項目(ウエスト周囲径、脂質代謝異常、糖代謝異常、高血圧)の該当数の減少が有意に認められました。

本成果は、日本肥満学会「肥満研究」の2010年4月発行の第16巻1号に掲載されます。

研究背景

糖尿病や心筋梗塞・脳血管疾患などのいわゆる「生活習慣病」が増加しています。その対策として2005年には、メタボリックシンドロームの診断基準が発表され、それに基づいて行った厚生労働省による国民健康栄養調査では、40歳以上の男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボリックシンドロームおよびその予備軍ということがわかりました。

メタボリックシンドロームの主要因となる内臓脂肪の減少には、身体活動が有効といわれ、なかでも歩行運動は簡便で安全であることから、中高齢者のメタボリックシンドローム改善を目的とした運動処方に広く利用されています。

一方、緑茶などに含まれる茶カテキンは、脂肪燃焼効果や抗酸化機能など、さまざまな健康効果が報告されています。花王では、従来から高濃度茶カテキンの継続摂取が、体内脂肪量の変化に及ぼす影響をさまざまな観点から研究してきました。そして、高濃度茶カテキンを継続摂取すると日常生活時や食事時での脂肪燃焼量が増加し、また腹部全脂肪面積や腹部内臓脂肪面積、腹部皮下脂肪面積のいずれも減少し、さらにウエスト周囲径も縮小するという結果を得ています。

しかしこれまでに、歩行運動と高濃度茶カテキンの継続摂取を併用した場合の効果は調べられていませんでした。そこで今回は、日常生活をできるだけ変えずに、歩行指導をしただけの被験者に高濃度茶カテキンを摂取してもらい、検討を実施しました。

試験方法

以下の試験を、被験者のインフォームドコンセントおよび倫理委員会の承認を得て、2007年5月から実施しました。

【被験者】

●歩行運動に問題ないメタボリックシンドロームおよび、その予備軍と診断された男女44名
(男性20名:33~79歳、女性24名:39~76歳、平均年齢66.0±9.9歳、平均BMI 26.2±9.7)。

●被験者は、高濃度茶カテキン摂取群22名と対象群22名の2つに分けました。

【試験方法】

●試験期間を通して、歩数計を装着し歩数を測定してもらいました。4週間の観察期間を設け、そのうち、最初の1週間の歩数を現状歩行数としました。そのあとに、13週間の試験飲料摂取期間を設定しました。

●13週間の試験飲料摂取期間中の歩行については、4週間に1回、歩行数などに応じて、被験者ごとに目標とする歩数をつぎのように設定しました。
・5,000歩未満の者・・・1,000歩の増加
・5,000歩以上7,500歩未満の者・・・7,500歩
・7,500歩以上10,000歩未満の者・・・10,000歩
・10,000歩以上の者・・・現状維持

また同時に、歩行運動への動機づけとして、個人別歩数実績表と歩行運動の方法や期待される健康効果などについての情報リーフレットを提供しました。

●13週間の試験飲料摂取期間中の摂取については、高濃度茶カテキン摂取群には高濃度茶カテキン含有飲料(637.5mg/500ml)を、対象群にはカテキンの入っていない対照飲料(0mg/500ml)を、毎日1本、継続して飲んでいただきました。

●試験期間の前後で健康検査(身長、体重、血圧、血液検査〔中性脂肪、HDLコレステロール、空腹時血糖〕)を行いました。


石井教授コメント

歩行運動の指導を行うと体重の減少や善玉コレステロールの増加の効果があることは、これまでにも報告されております。ただ普段あまり歩いていない方にすぐに5,000歩も10,000歩も余計に歩かせるのは、現実的ではありません。厚生労働省も、「健康日本21」の中で、まずは1,000歩、歩数を増やすことを目標としています。少しの頑張りで効果を実感できることが、運動に対するモチベーションの維持・向上に結びつきます。

その意味で歩行による体重の減少効果を効果的に出す素材として、高濃度茶カテキンは大変優れていると考えられます。

今回の試験では、体重は、たとえば厚生労働省が「健康日本21」で目標としている1日当たり平均歩数を1,000歩増した場合を比べると、対照群が約-1.4kgの体重減少に比べて、高濃度茶カテキン摂取群は-1.9kgで体重減少の効果は約1.3倍に増加しました。また、歩数の目標は被験者に合わせて調整しましたが、各群の結果を計算して1,000歩当たりの体重変化を算出(最小二乗法)すると、対象群が約-170g/1,000歩の体重減少に対し、高濃度茶カテキン摂取群では約-310g/1,000歩の体重減少となり約2倍弱の効果がありました。

今回の結果は、誰にでも簡便・安全にできる歩行運動と高濃度茶カテキンの継続摂取を効果的に組み合わせることが、メタボリックシンドロームの効果的な予防になることを示唆したものと思われます。

※社外への発表資料を原文のまま掲載しています。