花王株式会社(社長・尾崎元規)パーソナルヘルスケア研究所は、徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部口腔顎顔面補綴(ほてつ)学分野・市川哲雄教授と共同で、オーラルケア素材の1つとしてエリスリトールについて研究を進めています。 このたび、エリスリトールが、カンジダ菌が作るバイオフィルム*に対して、殺菌剤を浸透しやすくする作用をもつことを見出しました。 この作用は、同じ糖アルコールのキシリトールやソルビトールと比べて、高いことが分かりました。また作用機構は、エリスリトールがバイオフィルムの構造強度に何らかの変化を与えたためと考えられます(図1、2)。
カンジダ菌は口の中にも存在する日和見感染菌(普通は病原性を示さないが、人の抵抗力が弱ると感染する菌)ですが、義歯(入れ歯)の表面でバイオフィルム(カンジダバイオフィルム)を作ると、義歯洗浄剤等に含まれる殺菌成分などの薬剤がバイオフィルム内部まで浸透しにくいため、十分な効果が得られにくいことが指摘されています。 エリスリトールは、虫歯になりにくい(非う蝕性)糖アルコールであり、口内環境から全身の健康を考えたオーラルケア素材として応用が期待されます。 本研究成果は、第127回歯科保存学会(11月8~9日、岡山)にて発表いたします。
*バイオフィルム:細菌により作られる集合体で、様々な表面に付着します。義歯の表面に付着するバイオフィルムは、歯に付着する歯垢などの細菌の集合体と同じ構造で、細菌が産生した不溶性グルカン等の菌体外多糖からなる強固な付着物として存在しています。 |