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発表資料:2006年3月23日 戻る
犬用体脂肪計を、開発!
小型軽量で簡単に体脂肪率が測定でき、全犬種に対応


 花王株式会社(社長・尾崎元規)のペット研究グループは、大和製衡株式会社(社長・川西勝三)と共同で、犬用体脂肪計を開発しました。
 犬の健康のため肥満防止は人と同様に大切と言われていますが、これまで犬の体脂肪率を測定するには特殊な機器や設備が必要で、簡単な測定方法はありませんでした。
 今回、開発した犬用体脂肪計は小型軽量で、測定者や犬にもほとんど負担を与えず、数秒で簡単に測定できます。また全ての犬種の、体脂肪率の測定ができると考えられます。これにより、犬の肥満度合いを評価するだけでなく、肥満に対する食事や運動の影響を正確に把握することが可能になると期待されます。
 本機器は今秋に、動物病院の先生方を中心に、ご紹介する予定です。
本成果は、第141回日本獣医学会学術集会(3月18日、つくば国際会議場)で発表いたしました。



■研究の背景
 獣医師の方々への調査(獣医師向け雑誌info VETS;459動物病院、2004年4~5月)によると、来院する犬の20~30%が肥満と判断されています。また肥満が犬の寿命を短くすることが知られており(J Am Vet Med Ass 220 1315- ,2002)、犬の肥満防止の重要性が言われています。
 しかし、犬の体脂肪率を測定するには、DEXA等のX線による方法、重水を用いた重水希釈法*などがありますが、いずれも特別な機器や設備が必要です。また獣医師が触診と視診によって犬の肥満度を5段階または9段階に分けて、スコア化するBCS(Body Condition Score)法と呼ばれる方法もありますが、体脂肪率を簡単に測定する方法はありませんでした。
 一方、人用の体脂肪計は多く市販されていますが、その原理は、脂肪が電気を通しにくく、筋肉が電気を通しやすいことを利用したもので、体に微弱な電流を流した時の電気抵抗値から体脂肪率を算定しています。電流は流れる距離や断面積の影響を受けるので、測定時に身長・体重などの数値を入力し、換算して体脂肪率を測定しています。しかし犬の場合は、犬種や個体差が様々で体長や体重の差が非常に大きく、体脂肪率換算式の推定は非常に難しいと考えられます。このため体長や体重で換算する必要のない測定方法が必要と考えられました。

*重水希釈法 :動物に水を投与すると、その水は体内の脂肪以外の組織に希釈分散します。この原理に基づいてトレーサーとして比重の重い水である無害の重水を投与して、血中の重水濃度を測定することで体脂肪率を測定する安全な方法です。



■本研究の成果
 花王では、犬の背部の皮下脂肪厚みと体脂肪率に高い相関関係があること(MARCK R. SCHELTINGらの論文より)と、電流-電圧電極間の距離を狭くすると皮膚表面付近の脂肪が影響した電気抵抗値が得られることに着目しました。そこで、犬の様々な部位について、電流-電圧電極間の距離を変えたときの電気抵抗値と重水希釈法で測定したときの体脂肪率の関係を検討しました。
 その結果、電流-電圧電極間の距離を15mmにして微弱な電流を流したとき、背中の特定部位の電気抵抗値と重水希釈法で測定した体脂肪率が、高い相関関係を示すことを見出しました。このデータに基づき、大和製衡株式会社と共同で実用化を検討し、人用の体脂肪計と同等の精度で、体脂肪率が測定できる犬用体脂肪計の開発に成功しました。
 この犬用体脂肪計は、小型軽量で、また皮膚に当てるだけなので、測定者や犬にもほとんど負担を与えないで測定できます。また体長や体重などの入力は不要で、犬の体型の大小の影響もないため、全ての犬種で測定が可能と考えられます。これにより、犬の肥満度合いを評価するだけでなく、肥満に対する食事や運動の影響を正確に把握することが可能になると期待されます。
 本機器は今秋に、動物病院の先生方を中心に、ご紹介する予定です。

お問い合わせ
花王株式会社 広報部
電話 03-3660-7041~7042

※社外への発表資料を原文のまま掲載しています。