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2011年3月期の連結決算の概要
当期の当社グループを取り巻く事業環境におきましては、日本におけるトイレタリー市場のデフレの進行や化粧品市場の縮小をはじめとして、前期に引き続き、極めて厳しい状況が継続いたしました。また、本年3月に発生した東日本大震災は、当社グループの業績にも少なからぬ影響を及ぼすこととなり、特別損失を41億円計上するに至りました。
こうした事業環境の下、当社グループは、消費者の皆さまの商品に対する価値観、購買意識の大きな変化に対応する高付加価値商品の開発や発売、さらにTCR(トータル・コスト・リダクション)の推進等に懸命に努めてまいりました。その結果、当期の連結業績につきましては、売上高は1兆1,868億円(前期比0.2%増)、営業利益は1,045億円(前期比11.2%増)、経常利益は1,033億円(前期比10.4%増)、当期純利益は467億円(前期比15.4%増)と所期の予定に沿って順調に推移し、おかげさまで増収増益を達成することができました。
また、当期の年間配当金は、予定どおり前期から1円増配の1株当たり58円とさせていただきました。
今後の重点事業施策
まず、先ほども触れた東日本大震災で当社グループが被った被害及び復旧状況についてご報告いたします。
このたびの大震災によって、当社グループの生産・研究拠点である栃木工場及び鹿島工場が被災し、サニタリー製品やケミカル製品などの生産ラインを一時、停止せざるを得ない状況に至りました。また、被災地域の販売・物流拠点においても、建屋・設備の損傷や交通網の寸断によって、一時、事業活動を停止せざるを得ない状況となりました。
私は、今回の大震災発生を受けて、生活必需品を数多く提供している当社グループの最大の使命は、被災された方々をはじめとした消費者の皆さまの日々の暮らしに、お役立ていただける商品を一刻も早く、かつ安定的に供給することであることをあらためて痛感し、そのために全社の力を合わせて復旧に努めるよう全社員に強く呼びかけました。
幸い、被災地の社員を中心とした担当者の懸命な努力、そして、お取引先からの温かいご支援を受け、当初の想定よりも前倒しで復旧活動が進展し、現在では、ほぼ安定供給ができるまでに至っていることをご報告いたします。
このような中で、私は、花王グループが現在対処すべき課題は、主要市場かつ最大の収益基盤である日本市場において、消費者の皆さまの生活に対する価値観の変化、そして、それに伴う商品購買意識の変化に的確に対応した事業活動を行なっていくことであると認識しております。
私は、その消費者の変化の中でも、次の3つの変化への対応が最も重要であると考えております。
1つ目は、「環境意識の高まり」への対応です。これに関しては、すすぎが1回で済み、節水・節電に効果のある衣料用超コンパクト液体洗剤「アタックNeo」をはじめ、当社独自の技術が生かされた環境配慮型商品の育成・強化に努めてまいります。
また、本年6月初めより本格的に活動を始めた、当社和歌山事業場の環境技術の開発を専門に行なう「エコテクノロジーリサーチセンター(ETRC)」を中心として、今後とも、特長ある環境配慮型商品を創造・提供してまいります。
2つ目は、ますます高まる消費者の皆さまの「健康志向」に対する対応です。私どもは、高濃度茶カテキンによって体の脂肪を消費しやすくする健康機能飲料「ヘルシア」シリーズにおいて、単に商品をおすすめするだけでなく、消費者の皆さまに「歩く習慣」をご提案するコミュニケーション活動を積極的に推進し、高いご支持をいただいておりますが、今後もこうした活動に一層注力してまいります。
そして、花王の研究知見を生かした温熱用品「めぐりズム」シリーズも、日常生活でさまざまなストレスを抱える消費者の皆さまに好評をもって迎えられ、まさに新しい市場を創造しつつあり、今後ともこうしたデイリーヘルスケア型商品の育成・強化に努めてまいります。
3つ目は、「社会の高齢化に伴う消費者の意識変化」への対応施策の強化です。私は、何歳になっても健康で活動的な生活を送りたいという方々、いわゆる「アクティブシニア」に向けた商品開発が最も重要な施策であると考えております。
具体的な商品の例で言えば、これまで50代以上の方々へお届けしていた化粧品「グレイスソフィーナ」からは、それ以上の年代の方々に向けて「薬用 濃厚とろみ 化粧水」「薬用 濃厚こく クリーム」を発売しており、またヘアケアの「セグレタ」シリーズなども一層の充実・強化を図ってまいります。
なお、日本における化粧品分野では、ここ数年の市場の低価格化及び消費者の皆さまの商品購買意識の変化に対応して、私どもは抜本的な事業の構造改革を進めておりますが、昨年度においては、新たな商品提案を踏まえたブランドの集約化、及びマーケティング費用や人件費などの効率化で成果を上げており、引き続き今年度においてもこの改革活動をより積極的に推進してまいります。
中長期の成長戦略
私は、「グローバルな成長」の実現なくしては、当社グループの将来にわたる発展はないと考えており、収益の基盤である日本市場でさらなる利益ある成長を遂げるとともに、そこで得られた利益を原資として、海外事業展開のスピードをあげ、広くグローバルな市場で存在感のある企業となることをめざしてまいります。
その際の基本的な事業方針は、花王グループが長年にわたって培ってきたイノベーティブな研究開発力を、欧米やアジアの台湾・香港・シンガポールなどの成熟市場、そして、中国やインドネシアなどの人口が多く市場の伸びも大きい成長市場のそれぞれの特性に合わせて積極的に活用していくことにあると考えております。
まず成熟市場においては、生活の価値観や商品購買意識を大きく変化させている消費者の皆さまの新たなニーズにお応えする高付加価値商品の提供に努めてまいります。
また、成長市場においては、増大する中間所得層をターゲットとして、かつ市場規模の大きいカテゴリー、すなわち衣料用洗剤、ベビー用紙おむつ、生理用品などの分野において、花王の差別化された技術が盛り込まれたコスト競争力のある商品の提供に努めてまいります。
私は、こうした成長市場においては、商品の投入と共に、花王という企業が、現地の消費者の皆さまにとって「どんな貢献をしてくれる会社か」「どんな暮らしを提案してくれる会社か」ということを明快に伝え、企業への信頼感、安心感を醸成していくことが極めて重要であると考えております。
たとえば中国においては、衣料用洗剤やベビー用紙おむつ、そして、生理用品などの分野、すなわち花王の基盤をなす事業ドメインである「清潔」に関わる分野で、消費者の皆さまの暮らしに貢献していくための企業活動を実践してまいります。
なお、花王グループの中で最もグローバル化の進んでいるケミカル事業においては、前述のETRCと緊密に連携しつつ、再生可能な植物原料の高度利用技術の活用等を通じて、環境対応商品でのさらなる伸長を期し、エコケミカル事業体への飛躍をめざしてまいります。また、トナー・トナーバインダー、ハードディスク用研磨剤などの情報材料分野及び独自の技術を活用した油脂アルコールなどのオレオ事業分野においても、対象市場の動向をしっかりと見据えた積極的な事業展開によってさらなるグローバルな発展を期してまいります。
株主の皆さまのご期待に応えるために
私は、株主の皆さまからのご期待に沿うためには、継続して企業価値を高め、株主還元に注力していくことが極めて大切であると考えております。
花王グループは、「グローバルな成長の実現」に向けて大きく舵を切り、グループの総力をあげて、海外事業展開を加速してまいります。そしてその際は、花王独自の「エコロジー経営へのシフト」、そして「花王とはいかなる会社であるか」という、いわゆる「コーポレート・アイデンティティの浸透」を企業戦略の両輪として、世界の消費者の皆さまの「豊かな生活文化の実現」のために、一層の努力を重ねてまいります。
こうした私ども花王グループの姿勢にご理解をいただき、今後とも厚いご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
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