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2009年3月期の決算の概要
2009年3月期の決算は、前半は原材料価格上昇の影響を、また後半は米国の金融危機に端を発した世界経済の悪化による消費低迷などの影響を受け、売上高は前期に比べ421億円減の1兆2,763億円(前期比△3.2%)にとどまりました。なお、海外売上高の為替変動の影響を除く実質増減率は、前期比△0.2%でした。利益面では、天然油脂や石油化学原料を中心とした原材料価格高騰の影響を受け、ケミカル事業製品の値上げやダウンサイジング、コストダウン活動の推進などで対応しましたが、営業利益は、前期に比べ194億円減の968億円(前期比△16.7%)、また経常利益は、前期に比べ196億円減の946億円(前期比△17.2%)となりました。営業外損益は前期の20億円の損失(純額)から21億円の損失(純額)となり、ほぼ横ばいでした。これは、持分法投資損益が、前期の損失から利益に転じた一方で、為替差損が発生したことによるものです。また、当期純利益は644億円(前期比△3.2%)となりました。なお、当期の年間配当金は、当初の予定どおり前期から2円増配の1株当たり56円とさせていただきました。
「日本を含む“アジア一体運営”」の成果と展望
アジアにおいては、約4年前から、「仕事の標準化」「仕事の連携」「花王ウェイの共有」という3点を柱に、「日本を含む“アジア一体運営”」に取り組んできましたが、これが着実な進展を見せ、見える形で成果が出てきております。
この「アジア一体運営」とは、一言でいえば、日本で長年培ってきた仕事の進め方を、アジア各国・各地域の実情に合わせて活用していくことであると考えます。マーケティングや販売、サプライチェーン等では、こうした活動が予想以上の進展を見せ、現地通貨ベースでは、毎年2ケタ近い売上げの伸びに結びついております。また、この「アジア一体運営」を成功させるために必要不可欠なのが、汎アジアブランドです。これは、ブランド像、すなわち商品のコンセプトや消費者の方々に約束するベネフィットが日本を含めたアジアで統一されている上で、各国・各地域への展開においては、使い方や香り、感触などといった面で、それぞれ最適化を図っていくブランドのことをさします。
従来から、「アタック」「ロリエ」「ビオレ」などの汎アジアブランドを育成してまいりましたが、昨年3月には上海とバンコクにおいて、プレミアムヘアケアブランドの「アジエンス」を、そして本年3月には台湾と香港において、同じく「エッセンシャル」を発売するなど、より多くの汎アジアブランドの育成・強化に努めております。
当社グループの課題と、その対応策
現在のような厳しい事業環境は、2010年3月期においても継続するものとみております。しかし、こうした時にこそ、新しい価値を提案する商品を創造・提供していくことが、メーカーとして最も大切なことだと考えます。
また、当面の当社グループの最大の事業課題は、プレステージ化粧品事業とケミカル事業の業績の立て直しを図っていくことです。プレステージ化粧品事業においては、美白やエイジングケアといった、お客さまのニーズが高い領域で、新しい価値を持った商品やサービスの提供に努めると共に、販売チャネルごとの体制を強化し、より強固な事業体質の確立に努めてまいります。
また、ケミカル事業においては、現在の油脂、機能材料、スペシャルティケミカルズの3つの事業分野それぞれの強化を図ると共に、環境問題への対応など、新しい視点から事業全体をいま一度見直し、世界の顧客に向けて高付加価値製品をお届けする体制を強化してまいります。
中長期的な経営方針、事業戦略
当社グループがさらなる成長・発展を遂げるためには、今後、世界の社会・経済の状況が加速度的かつ構造的な変化を遂げるであろうことを踏まえ、10年、15年先を見通した中長期の展望をしっかりと持っておくことが極めて重要であると考えます。
今後、当社グループにとって大きな影響を及ぼすであろう変化は、集約すると次の3つになります。1つ目は「経済の中心のシフト」です。これまでの米国一極集中から、いわゆるBRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)をはじめとした新興国が高い経済成長を遂げ、巨大なマーケットを形成していくことが予想されます。2つ目は、Web等のデジタルメディアに強く依存する消費者や、先進国において増大するシニア層といった、「新しい消費者」の出現です。3つ目は、資源の枯渇や地球温暖化への懸念等、「環境問題への関心の高まり」です。事業活動においても、この課題への対応を抜きにすることはできない状況となっております。
このような3つのメガトレンドは、私たち花王グループにとって、極めて大きな“転機”となるものであり、当社グループの将来の成長のための大きなテーマといえます。それと同時に、こうした大きな変化は、当社グループに
とって一大飛躍をもたらす、絶好の“機会”ととらえることもできます。私たちはいまこそ、世界市場において、真のグローバル企業となるべき時を迎えていると考えます。
こうした変化を見据え、当社グループの“新たな使命”、めざすべき事業像として、「エコロジーを経営の根幹に据え、清潔・美・健康の分野で世界の人々の“豊かな生活文化の実現”に貢献する」という目標を掲げました。
当社グループでは、この新しい使命に対応するため、本年6月、広く皆さまに向けて「環境宣言」を発表いたしました。私どもが考える環境、エコロジーのポイントについて申し上げますと、何より当社グループは、多くのご家庭で、毎日使っていただく商品を提供している企業であるということです。したがって、モノづくりの設計や製造プロセスだけでなく、お客さまに使っていただく場面においても、環境負荷の低減が図れるような商品をお届けしてまいります。環境宣言のスローガン「いっしょにeco」にもあるように、私どもの環境活動は、まさに、お客さまと共に達成していく活動なのです。
また、この環境宣言は、産業界を顧客とするケミカル事業においても同様で、まさに顧客企業と手を携えて共に実行するエコ活動をめざしてまいります。
さらに、当社グループは、この環境宣言と同時に、新しいCI(コーポレート・アイデンティティ)を発表いたしました。これは広く世界の人々に、「花王とはどういう会社であるか」を理解していただくためのものです。花王は、日本においては、多くのお客さまから厚いご信頼とご支持をいただいておりますが、グローバルな舞台では、まだ十分にご理解をいただいているとは言い難い状況です。
私どもの今後のグローバルな成長・発展においては、優れた製品の創造・提供が大切であることは言うまでもありませんが、同時に、花王という会社の姿勢、考え方をご理解いただき、お客さまの幅広いご支持、深いご信頼を獲得していくことが必要不可欠であると考えます。
これを踏まえた新しいコーポレートメッセージは「自然と調和する こころ豊かな毎日をめざして」です。これには、エコロジー経営に向かう姿勢と、企業理念である「花王ウェイ」にもある、“豊かな生活文化の実現”という、当社グループの思いが込められております。
また、この機会に、これまでも海外では表記していた「Kao」の英語ロゴを、日本国内においても月のマークと共に、本年10月より順次使用することといたしました。こうした環境宣言及び新CIを通して、世界中のお客さまに、未来に向かって新しく力強い歩みを踏み出す、花王の姿、姿勢を一層ご理解いただけるよう、努めてまいります。
株主の皆さまのご期待に応えるために
私は、株主の皆さまのご期待にそうためには、当社グループの企業価値を継続的に高めることによって、株主還元に注力していくことが大切だと思っております。
そのためには、前述いたしましたように、環境重視の経営への注力やBRICsなどの新市場開拓、コーポレート・アイデンティティの確立に向けた取り組みといった、中長期の投資や施策についても、一層のご理解をいただきながら、厳しい環境であっても業績の向上をめざし、努力を続けてまいります。
株主の皆さまには、以上、申し上げた施策と方針をご理解いただき、花王のグローバルなチャレンジにご期待
いただきますよう、お願い申し上げます。
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